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日々録   2004年10月

来年のまだまだ先の話だが、内澤旬子さんに本づくりのワークショップをやりましょうという話をしている。今日は午後、その打合せを兼ねて、谷中のしごとばに伺った。折本、糸綴じ、アルバムの鋲綴じ、裏打ちをしない布装、革装の豆本など、いろいろ見せてもらい、その中から、せっかくなので糸綴じの革装でいきましょうということに。素人でもできる革装の豆本。今年中に、素人代表として宮地と私が体験受講してみて、かかる時間などの目処をたてる。
そうそう、見せてもらった中に鰻の皮があった。香ばしい蒲焼きからは想像できない、裏を返せばスエード調に毛羽立ち、それはれっきとした皮なのだった。

豊原エスさんの詩集最新作、入荷しました。新入荷横の棚にあります。
豊原エス/足田メロウ
『空を見上げる』840円(税込み)

自分で思うに「空を見上げる」は「裏・歌いながら生きていく」です。ファンシー度はゼロ。メロウ氏の気の狂ったような絵が最高ですよ!実は三年前に完成していたのですが、訳あってお蔵入りになっていたのをこの度再編集して自費出版しました。憧れの新書サイズ。(HPより引用)

夜は店で山崎のラジオを借りて、日本シリーズ。
え゛ーーーッ、いきなりですかーーーッ、と初っ端から凄まじい負けっぷりで、聴くのも辛い。家で観戦中の宮地はさぞや。
「五十年お化け」に名古屋ドームはすっかり飲み込まれちまったようで。
私でさえ、これはちょっとエネルギーのやり場に困ってしまったのだから、生粋のドラゴンズ育ちらの心中は察するに余ある。
ま、来年は8年ぶりくらいってことで、ファン共々暗示にかかっていこうじゃないですか。

遅番終わって晩ごはん作る気力もなく、鬱々とした空気を撒きちらしながら、小奈やさんへ。
あったけぇ牛スジ焼きが腹に滲みた夜でした。

(ミカコ)

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去年までは、下町まつりのときは団子坂より向こうが賑わっている分、うちの方は水を打ったように静かな印象だったけれど、今年は昨夜の「アドマチック天国」のお陰か、こちらの方にも随分と人が流れてきていた。実際レジで声をかけられたのは、常連さんで二、三人、最近越してきたばかりだという初めての方が一人。

宮地は日本シリーズを観るため、早上がり。
店もぐっと暇になる。今週滞りがちだった品出しに精を出す。
夜、年に数回見える業者さん。今日は9箱、オカルトっぽいのが多いかなぁ、とのこと。うーん・・・。
散らかっていたレジ周りを少し片付けてから帰宅。
名古屋に帰った中日は負け。

山あいでの地震のためか、ニュースを見ていても全体像がつかめない。

今週の日々録をまとめてアップしました。

(ミカコ)

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先月桂牧さんのライブのあと行った高円寺の飲み屋さんでお話しした、サボテンの松本さんが、千駄木在住のお友達と(すみません、お名前訊きそびれています)来てくださった。お客さんがレジに集中してしまいあまりお話しできなかったのが残念だったけれど、嬉しかった。ありがとうございました。
早番の宮地が帰る直前、大きな揺れ。棚の上の本も落下することはなかったが、外の古本の看板や道路標識が大きく揺れていた。余震も何度かあったので、以降トイレもなんとなく我慢してしまった。いつまでも身体が揺れているような変な感覚があった。暫くして宮地からの電話で、震源は新潟、新幹線が脱線したと聞き驚く。
(ミカコ)

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税理士さんに送る売上帳の整理やコピーなどで、結構時間が過ぎてしまった。
今日もあまり品出し出来ず。
早めにあがって、宮地と西武球場へ。
初めて行ったが、最近テレビで大リーグを観ているせいか、野球盤みたいに見える。
ここはドームといっても、周りが全部開いてるから夏だったら気持ちいいだろう。
ゲームは8対2で中日。岩瀬も観れたし、いい日だった。

(ミカコ)

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台風。
夜は西武球場の予定だが、さすがに怠い。雨だし、寒いだろう。いっそのこと中止になってしまえばいいのにと思っていたら、そうなった。文庫も漫画もたくさん入ってきたようだが、品出し捗らず。
時間にさっと帰って、早めに寝る。

(ミカコ)

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幸いにも今日は、定休日。
薬のおかげで、少し楽になったが朝はまだ動けなかった。今日は税理士さんが来て、今期のことを相談する日なのでそれまでに行く、ということにしてまた寝る。
夜のお楽しみもあるし、どうにか時間ギリギリに起き出して店に向かう。
着くとすでに始まってる。居眠りしてた学生みたいに、慌てて決算書の皆と同じ頁を開き必死に話に追いつく。

夜はお楽しみアンダーグラウンド・ブック・カフェの「八木福次郎夜話」。
先に出る山崎と神原を見送り、宮地と私は日曜日に古書展は一応見ているので、雨だし大事をとってギリギリに行くことに。
途中、不味い餃子屋で腹ごしらえし(わたしの鳥ネギ麺は美味しかったけど)、古書会館への道すがら「かげろう文庫」「ボヘミアンズ・ギルド」に寄る。「かげろう文庫」では、たぶん手作りであろう本棚を観察し、「ボヘミアンズ・ギルド」に八木福次郎さんの『古本便利帖』があったので、ふつうの値段だったけど縁起を担いで購入。

古書会館を前に、なんかがぜん元気出てくる。共に風邪気味の宮地の方がバテ気味。受付の西秋書店さんに挨拶、「栞今日全部なくなりました。」とのこと。よかった。誰も持ってってくれないのも悲しいから。
会場では、出来たてホヤホヤの『モクローくん通信』が配布されていた。なんと、宮地初登場。額の生え際デルタがちゃんと描かれててウケる。

八木福次郎さんは私にはちょっと思い出のあるお名前なのだった。私が古本屋になって右も左もわからず、藁もつかめず溺れていた頃(今もそうだけど)、どこでどうしたのか『古書通信』を手に入れ、そこに書いてある「八木福次郎」という福々しいお名前を遥か雲の上の別世界のお方だと神々しく眺めていたのだった。だから直にお話を聴くことが出来るというのは、ちょっと嬉しい。
上京したての頃のこと、乱歩とのエピソードなどの面白いお話しの他、お持ちくださった斉藤省三の一冊に30匹分の蓑虫の皮を使った小島烏水の『書斎の岳人』や、竹と平筍皮装の木村毅『西園寺公望』、古封筒を貼った『紙魚供養』などの「ゲテ装本」を実際に手に取らせて戴けたのは嬉しかった。全く流通していない本ではないらしいが、私なんかはこんな機会がなければお目にかかれないだろう。
休憩時間中『古本便利帖』に署名をしていただいた。我ながらシブいんじゃないかと思うが、実は自分の本に著者署名をもらうのが、初めてだったりする。

終わったあとは、大事をとって早々に帰宅。家でご飯食べてすぐに寝た。

(ミカコ)

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熱発。いくら青空が気持ちいいからって、芝生で寝るには季節外れだったのだ。
出勤する宮地に、あとで行くからと云ったものの、寝ても寝てもよくならず。
そんなに高い熱ではないのに、だるくて動けない。観念して、森谷さんへ。
「寒気、節々の痛み、微かな頭痛、だるさ」を訴え、薬を出してもらう。
心当たりを訊かれ、さすがに外で寝たとは云えず、最近涼しくなったのに薄い布団で我慢してたこと、日曜日に自転車で走り回ったこと、と別の心当たりをこたえると、「来年もまた同じ時期に風邪ひきますよ。」と、嫌な予言。
カルテを見ると、みなさん10日と違わずに来てるんですよ、ということらしい。
来年は涼しくなったらすぐに毛布を増やしましょう、と云われたので、年々寒がりになっている気がするから、あまり身体を甘やかしちゃいけないかなと思ってと、ささやかな健康法を打ち明けてみた。
すると、それはその通りです。が、薄着になるためには先ず、身体を動かしましょう、上着を一枚脱いだら、その分窓ふきをするとか、ちょっと遠回りして歩く時間を増やすとか、と全く当たり前のことを云われてしまった。
そうか、私のささやかな健康法には運動が抜けていたんだ。
結局店に行くことはできず、宮地に任せっきりにしてしまった。

(ミカコ)

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 非番。早起きできたら、という条件付きでいろいろと予定が入っていた一日。

 そのうちもっとも早かったのは東京古書会館でのガリ版教室で、19日まで開催中の「本の街のガリ版展」のなかのイベントだったのですが、さすがにこれは間に合わず。午前中は、ヤンキース対レッドソックス戦の松井大爆発と競馬中継を平行して眺めながら、出掛ける支度をしました。京都の3レース新馬戦には「ピアソラ」という名の馬が出走。「これは応援するしかないでしょう」と、昨日競馬新聞を見たときから興奮していたのですが、レースぶりはさっぱりでちょっと残念。長い目で見守ります。また、同じレースには僕がずっとひいきにしている一族の馬も出ていて、そちらは今後にに期待を抱かせるレースぶり。「殿追走直線一気根性抜群勝ちきれず」という、叔父の特徴を、しっかりと受継いでいました。名前はローゼンクロイツといいます。あと、秋華賞は大穴を800円購入(パソコンで)。

 13時ちょっと前に自転車で家を出発。目標は国立近代美術館フィルムセンターでの高峰秀子特集、14時の回の『浮雲』。よく考えたら映画館では一度も観ていないし、ミカコも未見。また最近彼女が贔屓にしている岡田茉莉子も出ているということで、ふたりで楽しみにしていたのですが、途中、小腹を満たそうとワンズ・バーガーに立ち寄ったのが運の尽き、結局東京駅に差しかかったところで時計の針は2時を回り、あきらめることに。先週の日曜日も満員で振られちゃったし(『朝の波紋』)、ちょっと相性が悪いようです。

 気を取り直して、途中通りかかった皇居外苑へ。日曜日は内堀通りを通行止めにして自転車に開放していることは先週も通ったので知っていたのですが(平川門から祝田橋まで)、今日のような快晴だと気持ち良さも格別。芝生の上で一休みして、遠く日比谷野外音楽堂から聴こえてくるレゲエのリズムと、植木屋さんが剪定するシャキシャキという音に身を任せて、のんびり日向ぼっことしゃれこみました。緑の匂い香しく、ビールの酔いでうつらうつら。「映画館のなかで鬱々とした映画を観るより、こっちの方が絶対よかったね」と、ふたりして上機嫌の結果オーライな午後となりました。

 陽もやや傾き、少し冷えてきたところで、神保町へ移動。古書会館での「アンダーグラウンド・ブック・カフェ」。大盛況。昨日も書きましたが、ゆったりと棚を見て回れるのが最大の特徴。自分の前でかがんで本を漁っている人のおならの臭いを嗅いじゃったりはしません。欲しい本はたくさんありましたが、なかなか手が出ない値段のものも多く、また商売柄仕入れ値のことなど考えちゃって二の足を踏んでしまったりと、結局買ったのは2冊。尾崎喜八の『音楽への愛と感謝』(400円)と「彷書月刊」'96年3月号(150円)。ともに西秋書店さんのブースで見つけました。

『音楽への愛と感謝』は串田孫一の装幀に惹かれてのジャケ買い。まだ読んでいませんが、『芸術新潮』に連載されたクラシック音楽についての本のようです。1973年刊。
「彷書月刊」は特集「古本屋へのパスポート」。なんと「谷根千」の山崎さんが「古本屋さんてナンなんだ」という文章を寄せていて、これは買わない訳にはいきません。早速読むと、最後の方ではうちの店のことが出てきて、びっくりすると同時に長年の謎(というほどのものでもないけど)が解けました。
 古本屋を始めてまだ間もない、でも少しずつ馴染みのお客さんなんかもできてきた頃、そのうちのおひとりが「『彷書月刊』という雑誌で谷根千の人がこの店のことを書いてる」と教えてくれました。なんでも「スマップの古本屋」と書いてあったとか!でもその頃の僕たちは誰ひとり「彷書月刊」のことなど知らず、うだうだしているうち、どの号に載っているのかわからなくなりそのままになってしまったのですが(それをきっかけにしばらくして定期購読は始めました)、それがこれだったというわけ。当時の僕たちにはもったいないような愛のある文章で、「今どきの若い男たち」はずいぶんおっさんになってしまいましたが、あらためて感謝します(締めの文章は「スマップの長命を祈りたい。」ですもの)。
 この号は、他にも西荻窪の興居島屋さんの日記や、編集長田村さんによる長井勝一さんへの追悼文など盛りだくさんで、お買い得でした。個人的には浅生ハルミンさんの文章の中に出てきた「駅通路の右側が古本屋、左側が卓球場という列がズラーっと120〜130メートル並んでいる」という高速神戸駅地下の古本屋街に興味津々。今でもあるのでしょうか。

 さて、そうこうしているうちにあっという間に19時になり、いよいよメイン・イベント「実況生中継 ラジオの学校」のはじまりはじまり。先日の「モクローくん大感謝祭」でもさわりを聴かせていただきましたが、河内紀さんがかつてTBSで手掛けられたラジオ番組の再生を交えながらのトークライブです。司会はもちろん南陀楼綾繁さん。
 前半聴いたのは、木島始脚本による黒人を題材に取ったラジオドラマ、37歳の野坂昭如が語る「ことば」、青森まで赴いてデンスケで録った鳴海助一氏の津軽弁についての講義の3本。それを基に当時の逸話などを河内さんに訊いていく訳ですが、もっとも興味深かったのは、日本のモダンジャズ創世記のお話。富樫、菊池、日野といった、今ではビッグネームの面々が、全然食えなかったその頃、河内さんは彼らと良い仲間であり、毎晩TBSのスタジオを開放してツルんでいた、なんていうあたり。河内さんの話しぶりからは当時の空気感がビシビシ伝わってきて興奮しました(あと、これは余談ですが、家に帰って先ほどの「彷書月刊」をきちんと読むと、河内さんによる巻頭エッセイがまさにこの津軽弁を取材に行った時の話で、自分の引きの強さに驚きました)。
 後半はゲストに鈴木清順監督を迎えて、監督も脚本に携わった宍戸錠主演のラジオドラマ「ヤング・パンチ・シリーズ」を。エースのジョーのファンとしては秘蔵録音を聴けたことも喜びですが、今日の主役はやっぱり清順さんで、そのトボケた人柄に魅了される1時間でした。河内さんの「監督は古本読みませんよね。お好きじゃないんですか」との問いに答えて、身震いしながら「うん、嫌い」。場所が場所だけに会場爆笑。なんでも監督のお父さんが古本が嫌いで、「何かが憑いてる」と子どもの頃から言い聞かされていたことが原因だそうです。あと、'70年代の日活ロマンポルノにかつて入れ込んだものとしては、これまで活字の上のお話としてしか知らなかった、大和屋竺、曽根中生といった方々との当時のあれこれが聞けたことも収穫でした。

 その後、晩ご飯はたまたま通りがかった白山通りの「北京亭」で。はじめての店でしたが、鳥のあれこれの部位を(正肉、砂肝、レバーなどなど)一緒に炒めたものがおいしかったです。ただ、ビールが高いのは玉にきず(大瓶750円。中国酒は普通の値段のようでした)。帰宅後は、録画していた日本シリーズ観戦。これが野球、これが日本シリーズ。面白くなってきました。

(宮地)

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 早番で出勤。午後には、J1昇格争いの天王山、モンテディオ山形対大宮アルディージャが山形で行われ、夜には名古屋で日本シリーズが開幕を迎えるという、贔屓のチームの大一番が続く一日。心落ち着かず、正直仕事の方はやや上の空といったところでしたが、今日は頭より体を使う仕事の方が多かったので、特に問題はありませんでした。

 昼食後、自転車で神保町へ。明日から東京古書会館で開かれる古書展「アンダーグラウンド・ブック・カフェ」(〜19日)で、うちの店の新しい栞を置かせてもらえることになったので、それを預けに。この企画、前回も楽しかったですが、今回も期待大ですよ。ゆったりとしたスペースでのんびりと本が選べ、たとえ安い本でも買うとコーヒーをいただけるし、夜にはトークライブもあります(17、19日のみ)。
 店に戻って、買取りの計算やちょっとした品出しをしたらもう18時。そそくさと帰宅しました(ちなみに品出しは下記など)。

 サンポウジャーナル『落語の若者』加太こうじ 630円 B初
 喇嘛舎『「ねじ式」夜話』権藤晋 1890円 B初帯(高野慎三名義の署名入り)

 もうかれこれ30年以上ドラゴンズとともに生きてきましたが、まだ一度も日本一にお目にかかれていません。でも、今年は勝てそうな気がしています。ここまで例年になく球場に足を運びましたが、落合監督の采配に対する信頼は、日を追うごとに増すばかり。はっきりと期待しています。今日は何だか信じられないようなプレーの続出で負けてしまいましたが、まだまだこれから。もちろん悔しいけど、ただの1敗です。

 帰宅したミカコと晩ご飯(おでんの残り汁を使った雑炊。旨!)を食べた後、今度は録画しておいたアルディージャの試合を観戦。こちらは勝つと負けるとでは大違い。勝てばいよいよ昇格が現実味を帯びてきます。結果は3対1で勝ち。しかし強くなりました。去年や一昨年のことを思えば、今こういう状況であるというだけでも夢のようです。ファン歴はドラゴンズの10分の1でも、今年観に行った試合の数ならこちらの方が上(ここまで15試合)。思い入れ強まるばかりのこのチームが、レッズやマリノスと戦うところが、いよいよ来年は観られそうです。 

(宮地)

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 アンダーグラウンドブックカフェで置いてもらう店の案内を急ピッチで製作中。といっても、色画用紙にコピーで作った栞だけど。パソコン使わず、すべて手書きの、またしてもローテクな作業で一日費やしてしまうが、楽しい。
 夕方、南陀楼綾繁さんが千代田線沿線の古本屋を取材された毎日ムックの『神田神保町古本屋散歩』が届く。うちの店も大きく載せてもらえて嬉しい。でも、うちの店もっと本増やした方がいいなぁ。ちょっと整然とし過ぎてるなぁ。よし、がんばろう。
 
 今夜も家おでん。蒟蒻が美味しいッ。

(ミカコ)

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 昨夜夕飯の支度中に指を切り、傷は絆創膏で済む程度の些細なものなのだが、なんだか気分が滅入りそのまま引きずっている。早番で出ていて、宮地に用があり家に電話したつもりが谷根千工房に掛けてしまった。疲れてるのかな。
 午後、うちではがきを置いているなよごんが新作を届けにきてくれた。今回は、旅シリーズや、やさいシリーズなど、色のきれいな作品がたくさんあって、見ていて楽しい。
 新入荷の棚の横のカゴに入ってますので、どうぞご覧ください。
 
 夜は家でおでん。大根が美味しく出来て嬉しかった。

(ミカコ)

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 今年は日頃からなんとなく町のざわざわとしたエネルギーを感じていたので、ちょうど休みもあるし久しぶりに芸工展をきっちり回ってみようと思っていた。なのに。
 ゆうべの深酒が効いた。起きてもそう簡単に行動させてくれない。それに、昨日いくつかスタンプ押した芸工展のガイドブックも無いじゃん。
 辛いけど、上野桜木市田邸は行ってみたいから、騙し騙し支度して出た。先ず店に寄り、ガイドブックを入手しすでに夕方になってしまったけど一から出直し。
 一番初めは近所の中原絵亜さん「空の日記」へ。今回の芸工展は雨続きで、外の展示が大変とのことだったけれど、昨日、今日はだいじょうぶだったようで、期間中一日ずつ書かれた詩やことばがひとつひとつの作品となって、トタン塀に飾られていた。扉を開けるとそこには無数の空が広がっていて、それはふだん見慣れた電線の走る空の写真なのだけれど、雨の続いた東京の小さなアパートの内階段の、更に小さな空間に広がった青い空は驚くほど晴れやかな気分にしてくれた。絵亜さんの作品が野の花のように壁にちりばめられ、語りかけてくる。
 ふたつめは、さっき神原が「月夜と眼鏡」の方が店に見えたよと言っていたので、寄ってみることに。ふつうのお宅に伺うのはやっぱりちょっとドキドキしてしまうが、植木が並んだアプローチに誘われ、そっと窓から覗くと、あら、神原の背中が見えた。玄関横の四畳半が展示とくつろぎのスペースになっていて、窓辺に展示されている小さなオトモダチや、本棚に並ぶ懐かしの児童書などを眺めながらお茶をいただけるようになっていた。毬藻も育てている実由樹さんの醸し出す独特の雰囲気に3人してすっかり和んでいると、遠くから聞こえてきたのは尺八の音色。近づいてくると思ったら、芸工展期間中尺八の吹歩をしているでうさんという男性だった。路地裏に尺八。偶然とはいえ、これ以上の演出はない。尺八は手作りだそうだ。でうさんにもスタンプもらう。
 「月夜と眼鏡」さんをおいとまし、指人形笑吉さんのとこに寄って露木さんにほおずき市の時はどうもなんて挨拶だけしてスタンプをいただく。ご無礼をお許しください。三崎坂を上がり、タムタムさんに昨日のガイドなくしてしまったことを云い、再度スタンプをいただく。(これじゃまるでこどものスタンプラリーじゃん。)
 坂を上りきったところで、ふたりとも空腹だったことに気付いて通りがかりの慶喜という蕎麦屋に入る。ざると冷やしとろろ。(このへんは大人)
 急げ急げ、上野桜木市田邸。たどり着くと門前に岩本さん。「民話と語りの会、今終わっちゃったよ。」と残念がられるも、写真だけでも、と中に入らせてもらう。入口で挨拶した女性は、なんと店のご近所、彦竜の隣のKYUさんだった。一緒にいたお友達は活弁士だそうだ。市田邸は明治末期の和風住宅で、戦後は芸大生の下宿として多くの声楽学生を育て、平成13年より、建物の保存修復を学ぶ学生や卒業生が暮らしながら保存するという形で現在に至っているのだそうだ(一部ガイドより引用)。すっかり陽も落ち、真っ暗な庭に縁側のガラスから漏れる裸電球の橙色でぼんやりと浮かびあがる明治の住宅は、その中で活動している若者たちを含め、正に夢のような光景だった。
 そこから更に大正8年築の町家「間間間(さんけんま)」に行き、実行委員の村山さんにご挨拶し、後片付けまっただ中の町家を外から拝見し、千駄木に戻り「D坂シネマ」に向かった。今日は途中からになってしまったが、戦後の東京の変遷を面白くみることができた。
 夜は谷根千乱歩号でお馴染みのイラストルポライターの内澤さんと一緒に鳥よし。今日はさすがに飲めないから、ちびちびと。でも、今後に向けて大きな楽しみとなる話が出来た。嬉しい。

 (ミカコ)

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 ふたり休み。宮地は、フィルムセンターへデコちゃんを観に、私はシビックセンターへ瞽女唄を聴きにという予定。しかし、宮地が出た後どんよりと重たい曇り空を眺めてたら、お出掛け心がだんだん萎えてきた。一応身繕いはしつつも、自転車で雨に降られたら嫌だな〜とぐずぐずしていたら、京橋まで自転車を飛ばした宮地から定員オーバーで入れなかったと電話。シビックセンターに回るというので、私もよっしゃとやっと重い腰を上げた。
 
 講演を聴きながら、ひと昔か、ふた昔前になるのか、瞽女さんたちが現役で村々を回っていた頃の日本に思いを馳せた。パソコンを開けば欲しい情報ほとんど手に入る現代と、瞽女さんが運んでくる流行歌を待ちわびる雪深き山村の人々。どちらが良いとは言えないけれど、随分と変わっちゃったんだなぁと思う。
 オフノートから瞽女うたのCDが出た時に、それが何かもよく解らないままイマイアキノブのジャケットの絵力にも後押しされ、これは買わねばと早速購入。店ではずいぶん聴いていた。今日は、現在105歳でたったひとりご存命の瞽女さん小林ハルさんから芸を受継がれた竹下玲子さんによる演奏で、私も生まれて初めて生の瞽女唄を聴くことが出来た。しかし、三味線の音色や、唄声は心地よく耳に届くのだけど、歌詞を読まずに聴いているだけだとことばがわからないのだ。日本の謡ものに耳慣れていないせいもあるが、自分が昔と今の断絶の世代なのだと悲しくも痛感した。
 宣伝ですが、オフノートレコードの新譜、当店でも取扱い始めました。『瞽女うた 長岡瞽女篇』も置いてます。
 
 シビックセンターを出た後は、ふたりで菊まつりへ。昨日は台風だったから、おでんもお稲荷さんもまだ残ってるだろうと、高をくくったら甘かった。大円寺手前で谷根千ねっと管理人の守ちゃんとそのお友達に遭遇、「もう売り切れだよ〜」と、菊酒吐息をかけられた。入ってみるとほんとうに、おでんもお稲荷さんもある筈の場所はすでに片付けられ、その名残さえ消えていた。嗚呼。
 しかし、私たちには菊酒がある。奥に突き進み、谷根千さんの店で菊酒大小いただく。ぷは〜ッ。この菊の香りがたまんない。疲れ目の私は目にいいという菊花茶もいただいた。美味しい。

 大円寺を出た後は、三崎坂をさらに上がったアフリカ市場タムタムさんへ。ご近所なのに、やっと伺うことができた。入口には花工房の佐藤寿子さんの植物画が飾られており(11日まで)、お店の中はアフリカの本を始め、カードや楽器、雑貨などが見やすく飾られていてお客さんで賑わっていた。木で出来たアフリカ大陸の国のパズルがあって迷った挙げ句、バナナの葉の切り絵風のカードを買って、芸工展のスタンプを押させてもらい外に出ると、パラパラとまたしても雨。
 
 守ちゃんたちと小奈やさんで合流し、ま、当然、飲、飲、飲。食、食、食、呑、呑、呑。
夜は更け、記憶は消え、知らないうちに一日は終わったのでした。

(ミカコ)

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 台風。

 15時前、まず雨が激しくなり、出勤見合わせ。結局、店の方はいったん閉めることにし、中番で出勤していたミカコも16時過ぎに帰宅。自宅で遅めの昼食を取りながら、テレビの台風情報を眺めることに。その後のことはみなさんご存知でしょう。

 雨も止み吹き返しもなさそうなので、再び店を開けることにし、20時ちょっと前に出勤。開店するとすぐにご近所の名賀さんがみえて、「水、入んなかった?」と訊かれ、びっくり。何でも、うちの店の2軒ほど上野より辺りまでは、家や店のなかに水が入ってきたとのこと。そういう可能性などまったく考慮せず、雑誌の入ったカゴや、預かりの段ボール箱(良い本がたくさん入っている)など、入口付近に置き放しだったので、肝が冷えました。

 その後の3時間はのんびりと店番。お客さんもぼちぼちとみえ、しかもみな「やってて当然」という雰囲気なので、まあ開けて良かったです。売上げはそれほどありませんでしたけど。品出しは下記のものなどです。

 中公文庫『江戸の夕栄え』鹿島萬兵衛 1050円 初
 新潮文庫『堀辰雄 妻への手紙』堀多恵子 編 840円 初帯
 新潮文庫『時間』堀田善衛 525円 B帯
 新潮文庫『地獄の花・夢の女』 525円 B帯
 角川文庫『井原西鶴』武者小路実篤 1050円 帯

(宮地)

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 朝から雨。またしても台風だそうで、またしても週末。中番で出勤するも終日暇、一人一人のお客さんのことを思い出せるくらいに。

 たとえば、今日はCDの試聴を希望する方が2名いました。総客数に対する割合でいったらかなりのものです。うちは店員に頼んで店のステレオで再生するという方式なので、忙しそうだと頼みにくいのかもしれません。
 最初の1枚は、春犬バンドの『Afterimage』。去年出た今のところの最新アルバム。ピアノとベースのデュオになっての初めてのもの。久しぶりに聴いたのですが、雨の降りしきる午後にしっくりとなじみ、これまでで一番心に響きました。ただ、肝心のお客さんには買っていただけませんでしたが。
 もう1枚は、ご存知近藤十四郎さんのCD。今うちの店で開催中の小林幸弘写真展(谷中芸工展参加)にいらしたご夫婦からのリクエスト。ジャケットが醸し出す雰囲気に惹かれたのでしょうか、「これはどんなの」とお持ちになり、2曲ほど聴いたところで、「せっかくだから記念にもらっていくよ」とお買い上げくださいました。おそらく近藤さんとは同世代で、通じ合うところがあったようです。「このところライブも頻繁にやられてますよ」と伝えると、「じゃあ、家でじっくり聴き込んで行こうかな」と答えてくださいました。

 ご近所のお友達、中原絵亜さんもみえました。絵亜さんも芸工展に自主企画で参加されているので(「空の日記」という詩展。すずらん通りにて)、どうしても「まったくこの天気には困っちゃうよね」という話になります。「こんなに雨にたたられた芸工展は記憶にない」。絵亜さんの展示は屋外でのものもあるので、雨だと本当に困ってしまうとのこと。

 常連の久保田さんも、編集に携わっている『大好き沖縄』最新号の納品をかねて来店。現在公開中の『珈琲時光』の話から、「東京人」での候孝賢監督と川本三郎の対談のことへ。監督の鉄道や商店街についての並々ならぬ知識に驚いたことなどで盛上がりました(尾久駅の地下通路なんていう、地元の人以外マニアしか行かないところに行ってたり、「谷中銀座は昔の方が良かった、今のレトロ風はちょっと」という発言があったり)。

 買取りは1件のみ。青年マンガ20冊ほど。

 売れた本でうれしかったのは『福永武彦全集第12巻(小説12)』。単行本未収録作などが集められたもので、買ってくださったお客さんもうれしそうだったのが印象的でした。

 品出しは引き続き文庫中心ながら、昨日入荷したハードカバー類も出しました。

 青土社『おぱらばん』堀江敏幸 1470円
 図書新聞『風太郎はこう読め』平岡正明 1995円 初帯
 岩波書店『書物について』清水徹 3150円
 みすず書房『異郷の季節』鈴木道彦 1575円 初
 現代教養文庫『試合 ボクシング小説集』ジャック・ロンドン 630円
 ちくま文庫『陽水の快楽』竹田青嗣 630円 初
 文春文庫『たべもの芳名録』神吉拓郎 525円 初

『おぱらばん』は著者署名入り、3刷で三島賞受賞の帯が付いてます。好きな作家なので高めに付けてみました。

<今日店でかけたCD>
『武満徹全集』第3巻「映画音楽1」

 一昨日に引き続き武満三昧。今日は300頁以上もある解説本を読みながら、観たことのない映画のものも聴いてみました。『不良少年』(監督:羽仁進)と『弾痕』(監督:森谷司郎)が気に入りました。
 ところでこの解説本は、映画のスチール写真がたくさん載っていて楽しませてもらえるのですが、僕にとってのベストショットは羽仁進監督の『充たされた生活』のもの。ベッドの上に横たわりながらギターを弾いているアイ・ジョージと、その横に腰掛けている有馬稲子。有馬稲子の表情が何とも言えず良いのです。
 あと、この解説本には「谷川俊太郎が聞く、連続インタビュー」というコーナーがあって、この巻でのお相手は坂本龍一。面白かったところを以下ちょっとだけ引用します(武満さんが亡くなる何年か前、ロンドンで、デヴィッド・シルヴィアンとの3人で食事をしたときのことだそうです)。

 そのときはじめて、年は離れているしジャンルも異なるけれど、同じ音楽をやる者として、うちとけて話すことができた気がしたんです。前から武満さんの意見を聴きたかったんですが、「小津安二郎ってすごいよね」という話になって、「あれは絶対にバウハウスや構成主義の影響を受けてますよね。バウハウスのモホリ・ナジに、すごく近いものを感じる」と言ったら、武満さんが「僕もそう思うんだよ!今まで誰も言ってないけど」と、ぴったり意見があったんです。「だけど小津の映画についている音楽はひどいよなあ、全部やり直したい」とふたりで意気投合しました(笑)。

(宮地)

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 非番。ヤンキース対ツインズのプレーオフをテレビ観戦。そうそう観られないすさまじい試合でした。午後は9月分の日々録を書いたりしながらのんびり過ごし、18時からは谷根千工房へ。D坂シネマ3日目。
 今日は鉄道関係映像満載の日で、期待通り楽しめました。京成上野地下駅の大改築工事の宣伝映画がもっとも見応えがありました。これからは上野公園に行くたび、自分の踏みしめている地面の下に思いを馳せることになりそうです。「この辺りにコンクリを流し込んだ壁があるな」とか。「緑は護られた」というのがウリですが、工事をしないのが自然への最大の配慮、という視点は最初からないことにされているところがミソ。改築前のかっこいい旧地下駅が見られたのは収穫でした。もう1本挙げるなら「都電銀座線最後の日」。その人出の凄まじさは想像の範囲内でしたが、最終電車が出るや否や電停をなぎ倒し、線路を引っぱがし始めたのには驚かされました。都電のフィルムのなかには、常磐線の蒸気機関車が映っているのもありました。
 終映後は、一緒に観にいった一緒に観にいったお隣の尾関さん夫妻、小森くん、山崎で小奈やさんへ。途中からは根津のオヨヨ書林の山崎さん、店番を終えた神原も加わり、結局2時頃まで飲んじゃいました。

(宮地)

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 遅番で出勤。これを書いている段階で3日前のことに過ぎないのに、何があったかほとんど思い出せず愕然としてます。雨が止んだこと、ポポー(開成高校前)にサンドイッチを買いに行ったら品切れで明富夢(谷中銀座)のバゲットにしたこと、食事をしていたら小森くんが来て写真を撮られたこと。少しずつ思い出してきました。品出しは昨日に引き続き文庫中心。下記のものなど。

 ちくま文庫『明治バンカラ怪人伝』横田順彌 840円 初帯(解説:森まゆみ)
 現代教養文庫『黄金遁走曲』久生十蘭 630円 B初(装幀:司修)
 現代教養文庫『テキサス無宿』谷讓次 840円 初(装幀:黒田征太郎)

<今日店でかけたCD>
『武満徹全集』第3巻「映画音楽1」

 先々月は三百人劇場で渋谷実監督の映画をたくさん観ましたが、音楽は『もず』がピカイチでした(次点は黛敏郎による『バナナ』)。観終わった後も、メインテーマのメロディーが耳に残り、まだまだ聴き足りないという気分だったので、すぐに図書館に足を運びリクエストしたのがこれ。先週の土曜日にようやく届いたのですが、雨のため今日まで取りに行けませんでした。
 この巻だけでもCD10枚というボリュームなのですが、とりあえずはお目当ての『もず』から。改めて映像なしで聴き直しても印象は変わりません。メロディが良く、美しい響きが聴け、細部まで作り込まれています。ただ、こうして音楽だけで聴くと、映像と込みの時に比べ、悲しみの色がより濃く感じられました。
 そんなわけで、今日はこの『もず』と、初めて作品を観た時からその音楽に強く惹かれた『乱れ雲』(成瀬巳喜男監督作品)を、交互にかけました。『乱れ雲』は後に武満本人が「僕にしてはすごく甘い音楽だったんじゃないかと思いますね」と語っていて、まあそうかもしれませんが、とてもメロディアスな音楽。バンドネオンが奏でる主旋律からは、「武満さんもピアソラ聴いてたのかしら」などという思いが浮かんでくるほど。

(宮地)

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 連実の雨で、今日も暇でした。こういう日は、何をするにもはかどるわけで、昨日などはふと気付くと1時間ほど読書していたりもしたのですが(講談社文庫『渡辺恒雄 メディアと権力』魚住昭)、今日は気を入れて品出しをしました。

 講談社文庫『風の歌を聴け』村上春樹 1050円 初帯

が、今日の目玉。この文庫本、もちろんまったく珍しいものではありませんが、帯の付いているのに当たったのはこれが初めて。おまけにぴかぴかの美品、ということで、少々高めに値付けさせていただきました。「ハードカバーより文庫でしょ」という、同好の士に買っていただければうれしいです。
 
 さて、そのあまりお見かけしないところの帯をつらつらと眺めていると、裏表紙側には講談社文庫の「今月の新刊」が列記されているのですが、なんと川上健一の『サウスポー魂』も入っていて、ちょっと驚きました。どうしてかと言えば、ひとつは、村上春樹と川上健一はほぼ同じ頃のデビューだったのだ、ということに(『サウスポー魂』はデビュー作ではありませんが、比較的初期のものだったと記憶しています)。もうひとつは、つい先頃『サウスポー魂』の文庫本も品出ししたばかりだったので(525円。全体的にヤケていて、状態はあまりよくありません)、その偶然に。どちらも大好きな小説ですから(参考までに記しておくと、奥付は昭和57年7月15日です)。

『サウスポー魂』は江夏豊についての本です。山際淳司の「江夏の21球」とこれのどちらを先に読んだのかはもう忘れてしまいましたが、阪神タイガース在籍時の伝説に彩られた豪速球投手としての江夏の姿を教えてくれたのは、こちらの本でした。僕がプロ野球を観始めた頃、江夏はもうホークス(南海)のピッチャーでしたから。この頃の僕は、ドラゴンズの歴史についての本をいろいろと読みあさっており、江夏のことも断片的に知りはじめていたのですが、この本は、そんなある意味数字上の存在だった江夏に血を通わせてくれました。カープ時代にはずいぶん煮え湯も飲まされましたが、それでも僕は江夏というピッチャーが大好きです。

 川上健一についてもひとこと。当時わが家では、父が「小説現代」を購読していて(たぶん藤沢周平か池波正太郎がお目当てだったのでしょう)、それを僕もたまにパラパラとやっていたのですが、そんななかで何人かの未知の作家を知りました。最大の出会いは橋本治だったのですが、川上健一もそんなひとりでした。ただ、川上健一はそのうち書かなくなってしまったので、つい数年前までは半ば忘れてしまっているという状態でした。だから、東販に勤める学生時代の友人から、「川上健一って知ってる」と訊かれ、なおかつ「最近出た新刊良かったよ」と教えられたときには、たいそう驚きました。すぐに読んでみると(『翼はいつまでも』)、これがまた素晴らしい青春小説であり、野球小説で、「ああ、これからまたこの人の小説が読めるのだなあ」と、とても嬉しい気持ちなったものです。そんな訳で、個人的にはここ数年川上健一ブームが続いているので、『風の歌を聴け』の品出しに無理矢理からめて、あれこれ書いてみました。

 今日は他にも品切れや絶版の文庫をいろいろ出しました。もう1冊だけあげると、

 新潮文庫『ラインダンス』井上陽水 840円

 いっとき新潮文庫からたくさん出た、ミュージシャンの詞集(プラスあれこれ本)のなかの1冊で、桑田圭祐のものなどはよく見かけますが、これにはあんまりあたりません。まず、横尾忠則の素晴らしいカバーに目を惹かれ、ページを開くと、今度は色川武大による序文が飛び込んできます。アルバムごとにまとめられた詞と写真、陽水本人によるコメントが続き、最後は沢木耕太郎による一文で締めるという、何ともまあ豪華なつくりで、ファンならずとも持っていたいと思わせられるものです。自分で買っちゃおうかどうか悩み、しばらく寝かせておいたのですが、出すことにしました。

(宮地)

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今日から谷中芸工展
早番で店にいくと、ウインドウと店内にコバちゃんこと小林幸弘さんの写真が飾られていた。
コバちゃんもご近所在住なので、よく見ると私も見慣れた景色が多い。よく見ると、というのはモノクロだということもあるのかもしれないけれど、眼差しが私と微妙に違うから一瞬全然知らない風景に見えるのだ。たぶん、コバちゃんの眼差しは優しいのだ。同じ景色でも私が見るのよりも温かい感じがする。おもしろいなぁと思う。

昼はひとりなので、届いていた『未来』と『シェルタリング・スカイ』を持って久しぶりにドトールに行った。『未来』は古書現世のセドローくんこと向井さんの「開店まで 早稲田古書店街外史」を毎号楽しみにしている。今回は金峯堂書店。店の隣が火事になって、放水しなければならなくなったところ、胸がつぶれそうになって読んだ。
ポール・ボウルズの『シェルタリングスカイ』は、ベルトリッチの映画を先に観ているのだけど、2、3年前には掃いて捨てるほど、は大袈裟にしても、必ず一冊は店にあるような本だったのに、原作を読みたくなって気付くと全然見かけなくなり、やっと入ってきたので読んでいる。
余談ですが、『ポール・ボウルズの告白』という亡くなる直前のボウルズのインタヴューフィルムが面白いので、DVDを店に置くことにしました。

夜は、宮地とD坂シネマ館へ。
これは、谷根千さんの谷中芸工展参加企画。今日、5日、7日、11日の夜、谷根千工房が映画館に変身し、それぞれすべて違うプログラムが上映される贅沢な企画。
お腹が鳴るといけないと思いバナナ2本平らげてから出掛けたら、飲み物も、スナックも豊富に用意されていた。10円から300円までとお値段も良心的。腹ヘリで駆けつけても問題なし。
今日のプログラムは、団子坂上にお住まいだった熊沢半蔵さんのアニメーション、池之端七軒町パチリ会撮影の「わたくし達の街」(53年)、本郷通り沿いの床屋さんがお父さんから聴いた昔の町並みを絵図にしそれをもとにした「絵図に偲ぶ江戸のくらし」(77年)、「谷中の住まいと生活」(80年)。それと、11日に上映予定の「20年後の東京」(47年)。
熊沢さんのアニメーションは、ちょっととぼけたような絵が、時に郷愁を誘い、時にナンセンスなおとぎ話になっていて、いくつ観ても飽きることがない。
古い町並の映像は、私たちは越してきてまだ10年に満たないが、それでもふだん暮らしている町の昔の風景は興味深く、どれもとてもおもしろかった。
特にタイトルからは想像できないほどおもしろかったのは、「20年後の東京」。冒頭の映像は戦後二年目の焼け野原、そして「今こそがチャンスです」という衝撃的なナレーションで始まる。これは東京都の都市計画の部署(正式な名称は忘れてしまいましたが)が制作したもので、西洋コンプレックスの裏返し、突抜けてしまったポジティブさで「民主主義の友愛あふれる町づくり」を目指した東京都の、今なら不適切な表現炸裂、お上の本音が気持ちよいほど無邪気に語られた、笑わずにはおれない衝撃作だった。
やはり近所に映画館があるっていうのはいいもんだなぁと、ご満悦で帰路についた。

(ミカコ)

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