古書ほうろうの日々録を読んでくださり、ありがとうございます。
ちょこっと試行していたのですが、写真の掲載が簡単そうなので、今日から正式に「はてな」のブログに移行することにしました。
ブックマークしてくださっている奇特な方、アドレスの変更をお願い致します。
新しい、古書ほうろうの日々録はこちらです。
これからもどうぞよろしく。
(ミカコ)
南陀楼綾繁/著『路上派読書日記』2,310円(税込み)、入荷しております!
・ボリュームたっぷり、厚さ350ミリ、456ページ。(12ページもの索引が!)
・豪華執筆陣による栞付き。
・『ブログ・街・人と本 ー 「追憶の二〇〇五年」』のテーマで、書肆アクセスの畠中理恵子店長との対談も集録。(書肆アクセスHP→http://www.bekkoame.ne.jp/〜much/access/shop/)
・もちろん署名・落款入り。内澤旬子さん作、モクローくんのハンコも押してあります。
はてなダイアリーのブログ、『ナンダロウアヤシゲな日々』の2005年分の抜粋であるこの本、「古書ほうろう」は、最多出場じゃないかなー、とのこと。嬉しいなー。ご近所でよかった。
南陀楼氏、エンテツこと遠藤哲夫氏、浅生ハルミンさんによる「圧巻の注、300個」は、読み応えがあるうえ、ひたひたと笑いがこみ上げてきます。地元衆としては、「小奈や」とか、「大栄」の注があるのが、嬉しいなー。
栞の執筆陣は、津野海太郎氏(評論家・和光大学教授)、坂口 仁氏(さっぽろ萌黄書店)、郷田 貴子(貸本喫茶ちょうちょぼっこ)、山本善幸(書物雑誌「スムース」代表)、堀切直人(文芸評論家)。愛情のこもった文章です。
そして、すてきな装幀、題字・イラストは、デザインユニット「きりん果」によるもの。
この方たちのことを知ったのは最近なんだが、それ以来気になる存在だったので、勝手に近しくなった気分を味わわせてっもらってます。スリップにも、題字と、帯に描かれた自転車が印刷してある懲りよう。
新刊の本屋さんで買うと、このスリップ抜かれちゃうけど、古書ほうろうでお買い上げいただくと、スリップもそのまま付いてくる、というスバラシイ特典があります。
1年半ぶりのお目見え、『モクローくん通信』22号も好評配布中です。
あのですね、1日に1つのことしかできない私からすると、本を求め、音楽を求め、人に会うため、酒を飲むため、ナンダロウ氏の行動力には、ちょっと舌を巻く、というか、畏怖の念すら感じます。出歩いてると思うと、家で炒め物作ってごはん食べてたりもする。昼寝もしてる。
よくこんなに移動できるなー、と思いますが、ひとつ私の体験をもとに書きますと、ナンダロウさん、かなり、歩くの早いです。1度、三百人劇場の映画上映で同じ回になったことがあり、出口でお見かけしたので、自転車を取りに行ってからご挨拶しようと思ったら、見当たらない。帰る方向は同じはず、と思って自転車で走り出すと、遥か彼方に後ろ姿。次の目的地に向かって、つととととー、と猛進している。足早にペダルを漕ぐも、なかなか追いつけず、息を切らした思い出があります。
どうぞ、ご贔屓に。
関係ありませんが、私のパソコンで「ろう」を変換すると、一発目に「楼」の字が出てきます。
(ミカコ)
いつも閑散としている代々木公園駅、階段を上がって行くと、プーンと草の匂いがした。
決算棚卸しの集計もどうにか終えたので、昨日から始まった、日月堂さんの「印刷解体」展に行くため、仕事が終わってから渋谷に行った。
店から渋谷に行く時は、たいてい千駄木から千代田線に乗り代々木公園駅まで行って、そこから歩く。
人で溢れる渋谷の中心街をできるだけ歩きたくないのと、代々木公園の脇の道は、夜の、ちょっと湿った芝の匂いが嗅げるから。公園は道路より1メートル以上高くなっていて、顔の高さの石垣から芝生が始まっているので、鼻に直球で匂いが届く。
でも、そんなのはほんの束の間で、週末の渋谷は、若いお兄さん、お嬢さんたちで溢れていた。
ロゴスギャラリーに直行し、文選箱を手に取り前回の展示即売で揃えられず心残りだった、「ほ」「う」「ろ」「う」の活字を探す。
そうだ、そうだった、活字ってのは、当たり前だけど、印鑑と同じで文字が反転してて、しかもケースには、文字が横向いて収まってんだった。前回、お客さんたちは、一様に頭を左に傾け、文字を追ってたっけ。段々目が寄ってくる。漢字を追う気力はないので、ひらがなだけ、正楷書体と明朝体でそれぞれ4文字ゲット。文選箱も2つ買う。
日月堂の佐藤さんにご挨拶して、閉店の館内放送が流れる中、帰路につく。
10月16日(月)まで、開催。3回目を迎える同展は、これが最後になるそうです。名刺フルオーダー受注会日(要予約)もあります。詳しくは、こちらをご覧ください。
古書ほうろうからの重要なおしらせです。
10月1日(日)から、営業時間と定休日が変わります。
定休日を増やすのは悩ましいのですが、集中して本の整理にあてることにしました。ご迷惑をおかけ致しますが、よろしくお願い致します。
月〜土 11時〜23時 (これまでから開店を1時間繰り下げ)
日・祝 11時〜20時 ( 〃 繰り上げ)
定休日 毎週水曜日 (これまでは、第3火曜日のみでした。)
(ミカコ)
祭りの余韻。
ようやっと、ふくらはぎの筋肉痛と、肩の打ち身が癒えてきました。
新刊入荷のお知らせ。
中里和人写真集『東亰 TOKEI』 2940円 木土水
向島です。隅田川と荒川の分岐点を頂点にした三角州、土地が三角形のせいか、路の走り方がおもしろい一帯です。私も二度ほど中里さんの案内で歩きましたが、路地から路地を渡るうちに前後不覚に陥りました。
古い路地にモルタルアパート、懐かしい風景に没頭しながら歩き続けていると、建物の切れ目から更に路地、そしてアパート、行っても行っても奥がある。長い年月風雨に晒され、ずっとそこにあり続けるものたちは、色褪せ、ひび割れ、壊れていく途上にあるのだけれど、むしろその年月が育んだ存在感は増している。
中里さんの写真は、塀や、煙突、多肉植物やら、そこいら辺にあるものたちが醸し出す、珍入者を鼻で笑うような気配や、尋常ならぬ存在感で満ち満ちています。
『中央線で行く東京横断ホッピーマラソン』 1470円 酒とつまみ社(仮)
大竹編集長と、伴走者たちが、中央線、東京駅から高尾まで32駅、全駅で降りてホッピーを飲むというこの企画、2002年5月から2004年1月の21ヶ月の歳月をかけ、トータル160杯で見事完走。
で、行ったもんは帰ってこなくちゃいけないってんで、第2部は、八王子から「今度は京王線だよ!帰ってくるホッピーマラソン」。
行って帰って、1年の執筆期間を経て、ここにようやく、めでたく、上梓されました!
頁を開いたとたんに、飲み屋の匂い、紫煙やら、焼き鳥の煙やらが目に滲みるようで、なんで人は呑んじゃうのかねー、なんて思いつつ、実は自分も早くこの霞の中に身を置きてー、というのが本心で、そわそわ、そわそわ。手始めに、不忍ブックストリートマラソンでも始めてみるか。
『酒とつまみ』8号も、再入荷してますので、こちらも合わせてどうぞ。
いよいよお待ちかね、水族館劇場、九州は小倉、博多にてさすらい姉妹の連続公演「地上を旅する者」作・演出 桃山邑が決定しています。
詳しくは、公式サイトを。
10月7、8日です。
この日程では今年は行けそうもないんだが、小倉は、旦過市場で大九州イチバ劇場だそうで、うーん、オモシロそーです!
時間がある方は、九州へ、ゴーッ。
(ミカコ)
この週末は根津神社のお祭りです。今年はこの地に現在の社殿が建って300年にあたるということで(詳しくはこちらを)、あちこちで例年になく盛り上がっています。なかでも神社側の力の入れようはやはりただ事ではなく、日曜日には、往時の祭りの様子を再現すべく、大神輿三基を古式装束に身をまとった氏子が担いで練り歩くことになっているのですが(神幸祭といいます。こんな巡路)、ぼくも町会の方のお誘いを受けて、この大神輿を担ぐメンバーに混ぜていただきました。何しろかつて江戸城内に担ぎ込まれたという由緒正しいものだそうですからね、正直うれしいです。
さて、今日はそんなワクワク気分の最初のひとつの山、やはり大神輿を担ぐ近所の方の言葉を借りれば「着付会」の日でした。正確には千駄木三丁目北町会による参加者への説明会。まず、当日の集合場所や順路、禁止事項などの確認が行われ、その後いよいよ着付会がはじまりました。といってもモデルの男性が着ていくのを観察するだけなのですけどね。この「古式装束」というもの、神主さんの着るような山吹色の服で、頭には烏帽子を冠り、足袋を履きます。写真で見るとずいぶん物々しい雰囲気だったのでうまく着られるか心配だったのですが、当時のままというわけではなく、要所要所にはゴムなどを駆使し着やすくなっていました。これなら大丈夫そうです。
こんなふうに書いても実際どんな服なのかはあまり上手く伝えられていないでしょうね。まあ当日になれば否応なく見られるものですが、それまでに確認したいという方は、ぜひ町内のあちこちに貼られているお祭りのポスターをご覧ください(ほうろうでも掲示してます)。そのなかでお神輿を担いでいる人たちが着ている服がそれです。といっても、ほんとのところ確認云々というのは別にどうでも良いことで、ともかくこのポスターをじっくり見ていただきたいのです。
山口晃の手になるこのポスターの出来映えは素晴しいですよ。現在と過去、実在と空想が入り混じった、でもまったく奇を衒ったようなところのない三百年祭に相応しい逸品です。今日いただいた古式装束について町会の方が「お祭りが終わったあとは記念にお持ちください。ただしネット・オークションなどでは売らないように」と仰っていましたが、いずれ価値が出るのは間違いなくポスターの方でしょう。
さて、ここからはふたつほどお知らせを。
説明会から店に戻ってしばらくすると、南陀楼綾繁さんが来店。10月2日にいよいよ発売となる『路上派遊書日記』(右文書院)のチラシをお持ちになりました。ご存知ナンダロウアヤシゲな日々の2005年分を1冊にまとめ、300個にわたる詳細な注を付けたものです。先日ゲラをちらっと見せていただいたのすが、南陀楼さんによる活字の嵐を、ひと月ごとに入るnakabanさんの繊細なイラストが鎮めるといったつくりになっているようで、造本もきっとよい佇まいに仕上がっていることと思われます。不忍ブックストリートMAPと一箱古本市へ向かっての怒濤の日々が背景とあって、索引によるともっとも登場する本屋はうちの店なのだそう。これはちょっとうれしい。ほうろうでも発売日には並ぶ予定ですのでみなさんお楽しみに。
もうひとつのお知らせは、その南陀楼さんもオヨちゃんの助っ人として参加する神保町の古書会館でのイベント、題して「古本屋になるための1日講座」。10月9日(祝)の午後2時から4時まで。入場無料ですが事前の申し込みが必要です。詳細はこちらの特設ホームページをご覧ください。夜には古書ほうろうで友部正人さんのライブもあります。チケットは残念ながら売り切れましたが、すでにご予約されている方は、神保町を覗いてからほうろうにお出でになるのもよいかもしれません。
(宮地)
日曜日の近藤ヒロミさんのライブは、猛暑の中、たくさんの方がお運びくださいました。どうもありがとうございました。
親指ピアノと云われている、アフリカのカリンバ、ムビラという楽器は、自分が共鳴体の中に入ってしまったかのような、あるいは、ウィ〜ンと響く音に身を守られているような、何とも不思議な感覚がとても心地よかったです。
アフリカでは、何人かで演奏し続けトランス状態に入っていくそうです。うむー、なるほどー。
(「ムビラ友の会」サイトに楽器の説明、近藤ヒロミさん勝手に応援コンテンツあります。)
さて、「秋も一箱古本市」、みなさまもうご存知とは思いますが、店主さんの募集開始しています。先着順、9/21締め切りです。
春のとはまた少し違う趣で、店主さんは古本を10冊以上用意できれば、あとはCDや、自作の本、小物など飲食物以外ならなんでもよし、ということなので、ふるってご応募ください。
谷中芸工展の会期中ですので、今回売り場となる大家さんは、4ヵ所と春よりぐっと少なくして、いろいろな町歩きを楽しんでいただけるようになっています。
ご協力してくださる大家さんは、ほうろうお向かいのカフェ「イマーゴ」さん、谷中ぎんざの呉服屋「まるふじ」さん、三崎坂のライオンズ・マンションさん、大名時計博物館の近くの「宗善寺」さんです。
「のこぎり演奏」、「琵琶演奏」、「谷根千写真展」、と、イベントも次々決定しています。盛上がりそうです。
お申し込み先は、春のアドレスと違いますので、ご注意ください。
詳細は、「秋も一箱古本市 / 青秋部 東奔西走の記」をご覧ください。
助っ人も募集してますので、フレッシュな「秋も一箱」をよろしくお願いします。
(ミカコ)
皇室に何十年ぶりかの男児が誕生して盛上がってるけど、興味ないので私事を。
8月31日夜遅く、祖母が永眠した。数えで101歳、大往生だ。
1906年(明治39年)丙午生まれ。
前年、日本は日露戦争に勝利。1906年の11月には「南満州鉄道株式会社」設立。
アサヒビールとサッポロビールの前身である「大日本麦酒会社」もこの年に設立している。
同年生まれは、豊田四郎、坂口安吾、海外では、ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(作曲家)、ルキノ・ヴィスコンティなど。この辺りの縁の人で、近い生まれは、林芙美子(1903)、森茉莉(1904)、幸田文(1904)。
前年、夏目漱石が38歳で「ホトトギス」に『吾輩は猫である』を発表し、続いてこの年『坊ちゃん』『草枕』を発表。島崎藤村の『破戒』、岡倉天心の『茶の本』なども発表された。
ちなみに国産の活動写真第一号が公開されたのは1899年、東京歌舞伎座にて。
おじいちゃんがなんの仕事をしてたのか、何度聞いてもわからないのだが当時は会社を持ってたらしい。しかしお人好し故かあまり商才には恵まれてなかったらしく、そんな祖父と結婚した祖母はかなり苦労したことだろう。戦前から戦後にかけて、私の父を頭に、三男三女の六人の子どもを育て上げ、全員を上の学校まで通わせた。戦争が始まったときは、35歳。丙午の手本のように、気の強い人だった。
孫の私も気の強さは祖母譲りだと云われ続けて今に至るのだけど、できれば気の強さでなくて、生活力を譲り受けられればよかったのに、とつくづく思う。
私は高校一年まで祖母と同居した。
今でもよく憶えてることからひとつ。
小学生の頃、都心の一軒家の陽のあたらない庭で私はジャガイモを育てたことがあった。時期が来て嬉々として収穫するも、根っこの先についてきたのは、大きくても2センチくらいの、ままごとのようなのがのがころころとささやかに5、6個。小さいのは小指の先くらい。それでも得意顔。おばあちゃんに渡したら、湯がいてから小さなザルの中で転がした。そうしたら、魔法のように薄い皮だけが剥け、小指の先くらいのジャガイモまで、ちゃんと食べられるようにしてくれた。戦争中はこうやって少しでも無駄のないように工夫したんだよ、と。
子どもたちが独立し、世の中が豊かになっても、自分にも人にも厳しいおばあちゃんの生活は、最期まできっちり慎ましかった。
遺影は、白寿のお祝いのときの、きれいにお化粧をして中華料理屋でみんなにお祝いしてもらって嬉しそうな顔のおばあちゃん。
葬儀の控え室の各テーブルには、おばあちゃんの子どもたちの一家がそれぞれ仲良さそうにお見送りの時を待つ。宮地曰く、「ここにいる人の多くが、おばあちゃんなしでは存在しない人たちだと思うとスゴイよ。」。いや、ほんとに。
同年の著名人はみな鬼籍の人だ。
明治、大正、昭和、平成、天皇が人間になろうが、世相がどんなに変わろうが、100年間自分のスタンスを貫いたおばあちゃんには、いくつになっても追いつけそうにない。あっぱれ、おばあちゃん。
(ミカコ)
今日も店頭の箱減らし。ただ、意欲は相変わらず高いのですが、日曜とあって買取りもそれなりにあり、ここ2日ほどははかどらず。そのほどほどの成果については本日の品出しをご覧ください。
出した本の中には他に多和田葉子さんの『容疑者の夜行列車』もありました。うちの店に入ってくるのはこれで3度目か4度目なのですが、いつもその佇まいに惚れ惚れとします。「容疑者の夜行列車」というタイトルと、写真を含めた表紙の装幀があまりにもしっくりきて、いろいろと想像がふくらむのですね。そのせいか、いまだに読んでいないのに、よく知っているような気になってしまっているのは問題ですが。
その印象深い写真(ヨーロッパのどこかの国の線路上で、バンドネオンを手にこちらを視ている男性とその仲間たち)についても、これまでは誰が撮ったのだろうとか、不思議に気にならなかったのですが、今回ミカコに「写真は誰なの」と訊かれ、はじめてクレジットを見てみました。
斎藤忠徳さん、というのがそのお名前(ちなみに装幀は中島かほるさん)。ちょっと調べてみると、もうすぐ新宿で写真展が催されるとのこと。これも何かの縁なので、観に行ってみようかなと思ってます。
(宮地)
昨日の続き。とりあえずでも新音楽棚の格好を付けねば、と奮闘しました。段ボール2箱分ほどの本を新たに出し、それに伴い棚の配置を多少変えました。暫定的と考えればまずまずの出来かと。今日のところはロック関連がメインでクラシックはありません。目ぼしいものは本日の一冊にアップしておきましたのでご覧ください。
なお、今回の増棚の最大の目的はCDの収容量拡大なのですが、そちらの方はもう少し時間がかかりそうです。モノはあるのですが、どうしても本に比べて手間がかかるので。友部さんのライブの日が目標ですね。
と、これでお終いのつもりだったのですが、余力があるのでもう少し書いてみます(自分にとっての覚え書きのようなものですが)。
今日出した、別冊宝島のユーミン特集号。どちらかと言えばその他大勢の部類に入る本ですが、興味深い記事がありました。ぼくにとって松任谷由実といえばまず「埠頭を渡る風」なので、それについて何か書かれてないかなあと思って探したところ行き当たったもので、書き手は高橋道彦さん。曰く、
「埠頭を渡る風」は、八神純子の「みずいろの雨」と似ている。よく動くベースライン。華麗なブラスとストリングス。そして決め手となるのはラテン・フレイバーである。
ふむふむなるほど。「みずいろの雨」もシングル盤を買ったほど好きな曲だけど(ホイッスルも欲しかった)、なんかそういう風に分析されると自分のわかりやすさを指摘されているようだな、などと思いながら読みすすめると、
そして、その両曲に大きな影響を与えたと思われるのは、スティーヴィー・ワンダーの名盤『キー・オブ・ライフ』に収録されている「アナザー・スター」である。
と、とどめを刺されました。確かに言われてみればその通り。そして、ぼくはそういう曲がほんとに大好きなのです。でも、「埠頭を渡る風」と「みずいろの雨」がほとんど同じ時期の発売だったというのは(ひと月違いくらいだそう)、今回初めて知りました。「埠頭を渡る風」はリアルタイムで聴いてませんからね(その頃は『ザ・ベストテン』に出てくる曲しか知らなかったので)。勉強になりました。
(宮地)
3日間かけた決算棚卸しも無事おわり、また新しい1年がはじまりました。あちこちの段ボールのそこここで、買われたことを忘れられた本がその存在をアピールしていました。経験上、今月出さないとまた一年埋もれてしまうのは確実なので、せいぜい励みます。
あと、棚の配置を若干変えました。翻訳文庫が国内文庫の隣りに移動し、音楽書とCDのスペースが広がりました。中に入れるものの準備がまだできていないので今はまだがらんとしてますが、月末頃にはいい感じになる予定。今日は『ボブ・ディラン全詩集』(晶文社)や、リロイ・ジョーンズの『ブルース・ピープル』などを出しました。
また、入ってすぐ、委託の新品CDが並んでいた棚は、雑誌タワーとして生まれ変わりました。そのサイズゆえ、どうしてもお客さんの目に触れにくい大判の雑誌が、面出しで並んでいますので、ぜひご覧あれ。長年売れそうな気配すらなかった「LITERARY Switch」の小林信彦特集号が、早速売れてご機嫌です。
本日の品出しには1冊しかアップしていませんが、ほかにも均一本を中心にたくさん出しました。
最後にひとつお知らせ。
今度の月曜日(9月4日)、NHKのハイビジョンで、昆虫写真家の栗林慧さんがヘラクレスオオカブトを追う、という番組をやるのですが、現在盛んに放送されているその番宣(「プレマップ」)で、活弁士の坂本頼光さんが大フューチャーされています。ご近所の方々にはお馴染みの喋りはもちろん、不思議な魅力を発する絵も登場する豪華版。時間は5分ほどですが、これは見逃せませんよ。放送時間が不明なのが問題ですが、キリのいい時間のちょっと前(55分とか、朝ドラの直前)が狙いめかと。たぶん明後日までの放送と思われますが、ぜひご覧ください。
(宮地)
『秋も一箱古本市』のブログが立ち上がりました。
秋の運営の中心となっている田端の若手ふたり組による、「秋も一箱古本市 / 青秋部 東奔西走の記」でごさい。
詳細は順次こちらにアップされますので、ブックマークよろしくお願いいたします。
(ミカコ)
風が、そよとも吹かない、寝苦しい夜でございました。
今夜はいくらか涼しいでしょうか。
リコシェさんから、新刊の詩集と折り紙キットが入荷しました。
折り紙、最近ではいつやりましたか?
この折り紙キットは岡山の折り紙ユニット、cochae(コチャエ)によるもので、出来上がりに合わせて図柄がプリントしてあります。紙のままだと、なんじゃこれ、という柄が、例えばきれいな鶴になったりする訳です。
折り紙なんて、なんて思わないで、これを機に、ぜひやってみてください。
脳味噌の、ここ久しく使ってないって部分が、あ、今ギシギシいいながら動き始めた、というのが実感できます。
お子様にも楽しいですが、なんか最近物忘れ多いなー、と感じているあなた、折り紙が抑止力になるのかわかりませんが、錆ついたとこをちょっと動かしとくのは、放っておくよりいいでしょう。
あと、スローハンド第2弾も、入荷しています。
近所在住の友人、金富隆39歳の、ローリング・ストーンズ取材記が臨場感あふれてます。あー、この肩にキースの腕がのったのかーと思うと、金富氏をベタベタ触ってみたくなります。
それからもひとつ、以前ご近所に住んでらしてよくほうろうに来てくださっていたお客さまが、オンライン古書店を始めました、とショップカードを持ってきてくださいました。
Totodo 東塔堂さんです。いい本ありますよー。
最後にもうひとつお知らせ。
三崎坂のタムタム工房さんが、春の一箱古本市の写真をとても丁寧に整理してくださいました。どうもありがとうございます。こちらです。
春の、ってことは、もうみなさまご存知だと思いますが、秋も、あります。一箱古本市。2006年10月22日(日)です。春よりも、スポットは少なくなりますが、いろんな案がある模様。ほうろうは、今月が決算なので後援というかたちでの参加になりますが、不忍ブックストリートのアンダー30と呼ばれる(自称も含む)強力な若手たちが、着々と話をすすめております。芸工展中ですので、谷中散策と合わせてお楽しみください。店主募集などは、詳細が決まり次第お知らせします。
(ミカコ)
残暑お見舞い申し上げます。
1日経ってしまいましたが、17、18日と開催した内澤旬子さんの「革手帖のワークショップ」は、無事終了いたしました。参加してくださったみなさま、猛暑の中お運びくださりほんとうにありがとうございました。
今回は、うちのワークショップでは初めて小学4年生の参加がありました。
「子どもにもできるかしら?」と始まる前お母さんは心配顔でしたが、全く問題なし。わからないことはすぐ訊き、快調におやじギャグも飛ばしつつ、一番始めに完成しました。
背バンド付き革装本をつくる小学4年生って、かなり羨ましい体験だと思いました。
彼は自分が「紙」に興味があることをしっかり自覚していて、特に再生紙が出てきた時には歓喜の声を張上げてました。後で訊いてみたら、再生紙はぷつぷつと模様があるから好きなんだって。マニアだー。綴じの工程も楽しかったようです。
ほかの大人の方々も、それぞれご自分で選んだ革ですてきな手帖を完成させていました。
背バンド付きの本にはなかなか出会うチャンスがないかもしれませんが、内澤さんがしてくださったいろいろなお話が、本屋さんなどで本を手にした時に蘇ってきて、きっと本の見方が前と変わってくるはずです。
写真はこちら
(ミカコ)
内澤旬子さん『革手帖ワークショップ』は、8/17、18とも、定員に達しました。たくさんのご応募、どうもありがとうございました。
(ミカコ)
内澤旬子さんの「革手帖ワークショップ」は、たくさんのお申し込みをいただき、ありがとうございます。
定員以上のお申し込みでしたので、内澤さんと相談しまして、急遽翌日の8月18日(金)も募集をすることにしました。こちらは、5名以上のお申し込みがあれば開催いたします。みなさまのご参加を心よりお待ちしています。
革という素材は、手芸するにも素人にはちょっと扱いづらそうで敬遠しがちですが、私も内澤さんのワークショップに参加して、びっくりするほど革が身近な素材になりました。服屋出の私は、革は伸びるから扱いが大変という石頭のまま生きてきましたが、伸びるから馴染むんじゃん!というのはまさに目から鱗でした。
綴じの行程も、自分の手で丁寧に頁を綴じていくことで、本を見る目がちょっと変わってくるような気がしました。
綴じのことを云ったら、今本屋さんに並んでいるのは、背中にボンドがっしりの本が多かったりもするのは色気がありませんが、でも、よーく見てみると、量産のラインでも可能な範囲で楽しい工夫を凝らしている本が目に入ってくるようになるのです。
1冊の本にかかわる人たちの、その本への思いの深浅がわかるような。
あー、思いが深すぎちゃったのねー、というのもあります。中には。
新刊でも、古本でも、本屋で過ごす時に、タイトルや内容を追う楽しみのほかに、表紙の素材や本文紙の手触り、造り手たちの遊び心、その本が纏っている時間、そんな諸々も味わってもらえたら嬉しいな、と思っています。
ミカコ