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日々録   2004年10月
No.896  2004年10月17日(日)

 非番。早起きできたら、という条件付きでいろいろと予定が入っていた一日。

 そのうちもっとも早かったのは東京古書会館でのガリ版教室で、19日まで開催中の「本の街のガリ版展」のなかのイベントだったのですが、さすがにこれは間に合わず。午前中は、ヤンキース対レッドソックス戦の松井大爆発と競馬中継を平行して眺めながら、出掛ける支度をしました。京都の3レース新馬戦には「ピアソラ」という名の馬が出走。「これは応援するしかないでしょう」と、昨日競馬新聞を見たときから興奮していたのですが、レースぶりはさっぱりでちょっと残念。長い目で見守ります。また、同じレースには僕がずっとひいきにしている一族の馬も出ていて、そちらは今後にに期待を抱かせるレースぶり。「殿追走直線一気根性抜群勝ちきれず」という、叔父の特徴を、しっかりと受継いでいました。名前はローゼンクロイツといいます。あと、秋華賞は大穴を800円購入(パソコンで)。

 13時ちょっと前に自転車で家を出発。目標は国立近代美術館フィルムセンターでの高峰秀子特集、14時の回の『浮雲』。よく考えたら映画館では一度も観ていないし、ミカコも未見。また最近彼女が贔屓にしている岡田茉莉子も出ているということで、ふたりで楽しみにしていたのですが、途中、小腹を満たそうとワンズ・バーガーに立ち寄ったのが運の尽き、結局東京駅に差しかかったところで時計の針は2時を回り、あきらめることに。先週の日曜日も満員で振られちゃったし(『朝の波紋』)、ちょっと相性が悪いようです。

 気を取り直して、途中通りかかった皇居外苑へ。日曜日は内堀通りを通行止めにして自転車に開放していることは先週も通ったので知っていたのですが(平川門から祝田橋まで)、今日のような快晴だと気持ち良さも格別。芝生の上で一休みして、遠く日比谷野外音楽堂から聴こえてくるレゲエのリズムと、植木屋さんが剪定するシャキシャキという音に身を任せて、のんびり日向ぼっことしゃれこみました。緑の匂い香しく、ビールの酔いでうつらうつら。「映画館のなかで鬱々とした映画を観るより、こっちの方が絶対よかったね」と、ふたりして上機嫌の結果オーライな午後となりました。

 陽もやや傾き、少し冷えてきたところで、神保町へ移動。古書会館での「アンダーグラウンド・ブック・カフェ」。大盛況。昨日も書きましたが、ゆったりと棚を見て回れるのが最大の特徴。自分の前でかがんで本を漁っている人のおならの臭いを嗅いじゃったりはしません。欲しい本はたくさんありましたが、なかなか手が出ない値段のものも多く、また商売柄仕入れ値のことなど考えちゃって二の足を踏んでしまったりと、結局買ったのは2冊。尾崎喜八の『音楽への愛と感謝』(400円)と「彷書月刊」'96年3月号(150円)。ともに西秋書店さんのブースで見つけました。

『音楽への愛と感謝』は串田孫一の装幀に惹かれてのジャケ買い。まだ読んでいませんが、『芸術新潮』に連載されたクラシック音楽についての本のようです。1973年刊。
「彷書月刊」は特集「古本屋へのパスポート」。なんと「谷根千」の山崎さんが「古本屋さんてナンなんだ」という文章を寄せていて、これは買わない訳にはいきません。早速読むと、最後の方ではうちの店のことが出てきて、びっくりすると同時に長年の謎(というほどのものでもないけど)が解けました。
 古本屋を始めてまだ間もない、でも少しずつ馴染みのお客さんなんかもできてきた頃、そのうちのおひとりが「『彷書月刊』という雑誌で谷根千の人がこの店のことを書いてる」と教えてくれました。なんでも「スマップの古本屋」と書いてあったとか!でもその頃の僕たちは誰ひとり「彷書月刊」のことなど知らず、うだうだしているうち、どの号に載っているのかわからなくなりそのままになってしまったのですが(それをきっかけにしばらくして定期購読は始めました)、それがこれだったというわけ。当時の僕たちにはもったいないような愛のある文章で、「今どきの若い男たち」はずいぶんおっさんになってしまいましたが、あらためて感謝します(締めの文章は「スマップの長命を祈りたい。」ですもの)。
 この号は、他にも西荻窪の興居島屋さんの日記や、編集長田村さんによる長井勝一さんへの追悼文など盛りだくさんで、お買い得でした。個人的には浅生ハルミンさんの文章の中に出てきた「駅通路の右側が古本屋、左側が卓球場という列がズラーっと120〜130メートル並んでいる」という高速神戸駅地下の古本屋街に興味津々。今でもあるのでしょうか。

 さて、そうこうしているうちにあっという間に19時になり、いよいよメイン・イベント「実況生中継 ラジオの学校」のはじまりはじまり。先日の「モクローくん大感謝祭」でもさわりを聴かせていただきましたが、河内紀さんがかつてTBSで手掛けられたラジオ番組の再生を交えながらのトークライブです。司会はもちろん南陀楼綾繁さん。
 前半聴いたのは、木島始脚本による黒人を題材に取ったラジオドラマ、37歳の野坂昭如が語る「ことば」、青森まで赴いてデンスケで録った鳴海助一氏の津軽弁についての講義の3本。それを基に当時の逸話などを河内さんに訊いていく訳ですが、もっとも興味深かったのは、日本のモダンジャズ創世記のお話。富樫、菊池、日野といった、今ではビッグネームの面々が、全然食えなかったその頃、河内さんは彼らと良い仲間であり、毎晩TBSのスタジオを開放してツルんでいた、なんていうあたり。河内さんの話しぶりからは当時の空気感がビシビシ伝わってきて興奮しました(あと、これは余談ですが、家に帰って先ほどの「彷書月刊」をきちんと読むと、河内さんによる巻頭エッセイがまさにこの津軽弁を取材に行った時の話で、自分の引きの強さに驚きました)。
 後半はゲストに鈴木清順監督を迎えて、監督も脚本に携わった宍戸錠主演のラジオドラマ「ヤング・パンチ・シリーズ」を。エースのジョーのファンとしては秘蔵録音を聴けたことも喜びですが、今日の主役はやっぱり清順さんで、そのトボケた人柄に魅了される1時間でした。河内さんの「監督は古本読みませんよね。お好きじゃないんですか」との問いに答えて、身震いしながら「うん、嫌い」。場所が場所だけに会場爆笑。なんでも監督のお父さんが古本が嫌いで、「何かが憑いてる」と子どもの頃から言い聞かされていたことが原因だそうです。あと、'70年代の日活ロマンポルノにかつて入れ込んだものとしては、これまで活字の上のお話としてしか知らなかった、大和屋竺、曽根中生といった方々との当時のあれこれが聞けたことも収穫でした。

 その後、晩ご飯はたまたま通りがかった白山通りの「北京亭」で。はじめての店でしたが、鳥のあれこれの部位を(正肉、砂肝、レバーなどなど)一緒に炒めたものがおいしかったです。ただ、ビールが高いのは玉にきず(大瓶750円。中国酒は普通の値段のようでした)。帰宅後は、録画していた日本シリーズ観戦。これが野球、これが日本シリーズ。面白くなってきました。

(宮地)

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