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日々録   2004年10月
No.886  2004年10月5日(火)

 連実の雨で、今日も暇でした。こういう日は、何をするにもはかどるわけで、昨日などはふと気付くと1時間ほど読書していたりもしたのですが(講談社文庫『渡辺恒雄 メディアと権力』魚住昭)、今日は気を入れて品出しをしました。

 講談社文庫『風の歌を聴け』村上春樹 1050円 初帯

が、今日の目玉。この文庫本、もちろんまったく珍しいものではありませんが、帯の付いているのに当たったのはこれが初めて。おまけにぴかぴかの美品、ということで、少々高めに値付けさせていただきました。「ハードカバーより文庫でしょ」という、同好の士に買っていただければうれしいです。
 
 さて、そのあまりお見かけしないところの帯をつらつらと眺めていると、裏表紙側には講談社文庫の「今月の新刊」が列記されているのですが、なんと川上健一の『サウスポー魂』も入っていて、ちょっと驚きました。どうしてかと言えば、ひとつは、村上春樹と川上健一はほぼ同じ頃のデビューだったのだ、ということに(『サウスポー魂』はデビュー作ではありませんが、比較的初期のものだったと記憶しています)。もうひとつは、つい先頃『サウスポー魂』の文庫本も品出ししたばかりだったので(525円。全体的にヤケていて、状態はあまりよくありません)、その偶然に。どちらも大好きな小説ですから(参考までに記しておくと、奥付は昭和57年7月15日です)。

『サウスポー魂』は江夏豊についての本です。山際淳司の「江夏の21球」とこれのどちらを先に読んだのかはもう忘れてしまいましたが、阪神タイガース在籍時の伝説に彩られた豪速球投手としての江夏の姿を教えてくれたのは、こちらの本でした。僕がプロ野球を観始めた頃、江夏はもうホークス(南海)のピッチャーでしたから。この頃の僕は、ドラゴンズの歴史についての本をいろいろと読みあさっており、江夏のことも断片的に知りはじめていたのですが、この本は、そんなある意味数字上の存在だった江夏に血を通わせてくれました。カープ時代にはずいぶん煮え湯も飲まされましたが、それでも僕は江夏というピッチャーが大好きです。

 川上健一についてもひとこと。当時わが家では、父が「小説現代」を購読していて(たぶん藤沢周平か池波正太郎がお目当てだったのでしょう)、それを僕もたまにパラパラとやっていたのですが、そんななかで何人かの未知の作家を知りました。最大の出会いは橋本治だったのですが、川上健一もそんなひとりでした。ただ、川上健一はそのうち書かなくなってしまったので、つい数年前までは半ば忘れてしまっているという状態でした。だから、東販に勤める学生時代の友人から、「川上健一って知ってる」と訊かれ、なおかつ「最近出た新刊良かったよ」と教えられたときには、たいそう驚きました。すぐに読んでみると(『翼はいつまでも』)、これがまた素晴らしい青春小説であり、野球小説で、「ああ、これからまたこの人の小説が読めるのだなあ」と、とても嬉しい気持ちなったものです。そんな訳で、個人的にはここ数年川上健一ブームが続いているので、『風の歌を聴け』の品出しに無理矢理からめて、あれこれ書いてみました。

 今日は他にも品切れや絶版の文庫をいろいろ出しました。もう1冊だけあげると、

 新潮文庫『ラインダンス』井上陽水 840円

 いっとき新潮文庫からたくさん出た、ミュージシャンの詞集(プラスあれこれ本)のなかの1冊で、桑田圭祐のものなどはよく見かけますが、これにはあんまりあたりません。まず、横尾忠則の素晴らしいカバーに目を惹かれ、ページを開くと、今度は色川武大による序文が飛び込んできます。アルバムごとにまとめられた詞と写真、陽水本人によるコメントが続き、最後は沢木耕太郎による一文で締めるという、何ともまあ豪華なつくりで、ファンならずとも持っていたいと思わせられるものです。自分で買っちゃおうかどうか悩み、しばらく寝かせておいたのですが、出すことにしました。

(宮地)

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