2014年4月 のアーカイブ

2月11日

2014年4月10日 木曜日

鴎外記念館で「雁」の映画会。森鴎外の名作。明治13年のことと覚えている、とはじまる。映画では飴細工やの老人の娘お玉が高利貸しの末蔵に囲われる。お玉が高峰秀子、イメージよりは相当豊満、はかなげではなく、すらりとはしているが肉感的。鼻も高いし、目も大きい。高利貸しは東野英治郎、肌の汚い、小柄な男で、ハンチング帽をかぶって鳶を来ている。囲うのは無縁坂のセット、しかしこんな目に立つ人通りの多いところによくぞ。その上入り口も素通しで窓からなかも丸見え。
手に職もなく、男にすがって生きるしかない娘の悲しさ、学歴などなくてももっと商売するとか、やりようがあるはずなのに。女中はがさつで怠け者、お隣の仕立物のお師匠さん三宅菊子はそれ者上りのような妖艶美、浦辺久美子のおかみさんはやつれて、芥川宏志と宇野重吉の学生はとうが建っている。雁を石で撃つ原作のシーンはない。とはいえ、なかなか見応えがありました。

2月10日

2014年4月10日 木曜日

田部さんというジャーナリストが新しい市民メディアを作るので、新国立競技場とオリンピックなどについて撮影をしに見える。夜は田端の守本さん宅で新年会。仲のよい石井・中村組。中村さんは台湾の有名女優だったお母様金馬奨さんのお供で台湾の映画祭でレッドカーペットを踏み、トニー・レオンとかとあったそうな。うらやま・・。

2月9日

2014年4月10日 木曜日

清水さんがあげてくれた資料から、JSCの計画はIOCのアジェンダ21に抵触していることが明らかだ。これは1980年代のリオの環境サミットを受けて1999年に同じリオで採択されたもの。なんとIOCは「出来るだけ既存のスタジアムを使え」といっているではないか?「どうしても既存の改修では出来ない場合に限り新築を認める」といっているが、その「出来ない理由」がトラックが8レーンしかないこと、これは陸上を国立でやらなければいいだけの話。ザハ案だってどうせサブトラックないんだからさ。しかも陸上はオリンピックのもっとも基本になる由緒ある競技だが、通常8万なんて集められない競技で、4000万円もの賃料を払って国立を使うことはできない。それと130平米、都の道路に飛び出している既存不適格。でも1964年以来、都に賃料を払って何も問題は起きていない。上野の松坂屋だって、公共道路の上に連絡通路をかけて誰も文句をいっていないではないか?
「新設の場合でもその土地の制限に従わなければならず、文化、環境、景観などを壊してはならない」という条項にも背馳。15メートルの風致地区で70メートルオーケーのコンクールをやって、あとで都の都市計画審議会で何の論議もなく追認させたんだから。IOCにお仕置きをしてもらわなくっちゃ。

都知事選当日。いつもは早く不在者投票をすますのだが、今回はぎりぎりまで見極め、もし脱原発の候補が勝つようならば、そっちに入れようかとおもっていたが、保守政権の推す候補の有利は変わらず、結局、二人の候補のサイトと政策をきちんとよみ直し、人柄と政策でいれた。8時ちょっと過ぎに「世界一の都市」をめざすという候補でもう当確がでてしまう。この人のポスターには「都民一人一人が輝くオリンピックを」と書いてあったが、なんという空疎なスローガンだろう。美濃部さん以来、私は都知事選で勝ったことがない。早く政策も作って立候補した人に降りろと行った人々、元首相二人掛かりなら勝てるかもと思った人々、(私も一瞬そうぶれたことを恥じる)いろんな人の動きが面白くも恥ずかしくもあった。政治はそんなものだ、という人もいるが。田母神候補60万票をどう見るかも・・・。

2月8日

2014年4月10日 木曜日

建築家協会のホールで第三回の勉強会。きょうの着地点は、
1、球技か、陸上に特化して、8万人のイベント会場を作るのはやめる。
2、商業施設やホテル、映画館なども組み合わせていつもにぎわう施設にする。
3、初期投資をケチってみせても劣化や維持費がかさむだけ、
4、オリンピックやワールドカップだけを目的に騒ぐのでなく、あとでなんにどう使うかをよく考える。
5、70メートルのところに屋根があっても急な雨が振れば吹き込んで屋根の役を成さない。あの局面をどうやって掃除するのか。このところみたいな大雪が降れば重さでたわまないのか。真夏は暑くて冷房費がかさむだろう。あの屋根の形状では芝生は育たない。しかもイベントやアメフト、ラグビーをすると芝が荒れる。もう虻蜂取らずというか、負のスパイラルなのだ。
改修するにせよ、改築するにせよ。
本当にオリンピックのあと、解体されたスタジアム、使われていないスタジアム、多いのだなあ。反対に上手に地域のサッカーチームのホームスタにしてにぎわって使われているところもある。
今川先生と学生さんの 、現競技場を8万人に増築した後、それを減築して東北で避難しそこで避難生活もおくれる津波タワーをあちこちに建てるというプラン、すばらしいと思った。
私の目のアレルギーは一進一退。薬をつけると少し良くなり、お酒を飲むとまたカサカサして。禁酒。
1日15時間もパソコンの前にすわっているような生活はよくない。
たまに六義園や小石川植物園などを散歩するが、いまは寒いしなあ。
保坂正康さんの『昭和史の大河を行く』の解説を書かせていただいた。現場主義の著者ならではの面白い本だが、いくつも個人的な思い出と重なるところがあった。鈴木貫太郎のお孫さんが小石川丸山町でケア付き老人ホームを始めたこと。
2・26のとき鈴木侍従長は官邸にいたのか、小石川の私邸にいたのか、資料はまちまち。総理大臣を辞めてからは関宿にひっこんだはず。
斎藤実の身代わりになった松尾伝蔵大佐の孫にあたる松尾文夫さんは共同通信の記者で私は大学出たての頃、アメリカ大使マンスフィールドの本を訳していただいたことがあった。いまどうしておられるのかなあ、検索してみたら共同通信常務までなさり、屈指のアメリカ通として講演をしておられた。私が大学を出て初めて作った『燃えるパレスチナ』の著者酒井定雄さんは龍谷大学の教授になられていた。

2月7日

2014年4月10日 木曜日

槇さんが4日の記者クラブでの会見で 「悲しいことにPoint of return  をすぎてしまった」「こういうことには勝者はいない」と首を振られていたのは鈴木先生の逝去を知っていたからなのかなあ、と今思う。
オリンピックのために8万人のスタジアムを作るんじゃなく、オリンピックの時、絵画館前を解放してパブリックビューイングをすればいいと言う説に賛成。ただマナーの悪い人たちが大量に入ってくることは困るので、廻りに屋台を出すとしてもで3000円くらい入場料を取ればそう変な人は来ないでしょう。
私は湘南の海の家でレゲエなど聞きながら潮風に吹かれて飲むのが好き。
とってもおしゃれな仮設のバーとか、ジャズ、アフロ、なんでもあって、昔ながらのさざえのつぼ焼きもいいけど、こういうところのつまみもいい。
今日は日経新聞の井上記者がインタビュー、青鞜と平塚らいてうについて。彼は明治神宮についての本も書いており、「1964年のオリンピックの工事が間に合わなくて、ハンセン病の療養所まで労働者に使われたと聞く。今日はしんしん冷える。

2月6日

2014年4月10日 木曜日

伊藤谷生さんより。新宿高層ビル群はヒートアイランドどころかヒートボルケーノ。それをかろうじて押さえているのが新宿御苑、東宮御所、明治神宮。
まったく新しい視点に目が覚める。そうか、ここだ。環境問題だ。

鈴木博之先生が亡くなられた。11月26日にお会いした時は久しぶりとハイタッチした手が冷たいので心配した。建築史家としての業績は大きい。ビクトリア朝建築とか、「建築の七つの力」とか「東京の地霊」とか、影響も受けた。
「明治東京畸人伝」の解説も書いていただいた。明治村館長になられてからシンポジウムにもよんでいただき、カラオケもやったのに。なんで安藤さんチームにいっちゃったんですか! 無念、という言葉しかない。

2月5日

2014年4月10日 木曜日

民主党有田芳生議員、参院予算委員会で国立競技場問題を取り上げる。短い時間でよくやってくれたと思う。文科省久保局長の答弁は間違いをいくつも含み、めろめろだった。特に葛西臨海公園については場所の変更も含む答弁を首相から引き出した。中西悟堂以来の日本野鳥の会の権威はたいしたものだ。
前半、NHKの会長発言についても質問しなければならず、こっちばかりマスコミは取り上げたようだ。NHKもヘイトスピーチも大事な問題。
長谷川三千子はあの、野上弥生子の孫かとおもうとびっくり。
与謝野馨が与謝野晶子の孫というのも驚きだが、まだわかる。

2月4日

2014年4月10日 木曜日

文化庁への質問と要望には返事がない。文化庁は文科省のアネックスなので本省がやっている計画に反旗を翻すような回答は出来ず、とにかく青柳長官に直接手渡しできたことだけでもよしとするしかないか。
カタールのワールドカップの競技場もザハ建築で、地元では「巨大な女性器のよう」として反対がおきているとのこと。日本でも新国立はそれに似ているとマツコデラックスがラジオで発言。槇文彦氏が外国人特派員協会で英語でスピーチ。今日の槇先生は悲しそうだった。「もう引き返せないポイントを超えてしまった」とも。「誰も勝者はいない。まったくfruitlessだ。しかしこれからもこのようなプロセスを繰り返すのはよくない。こんな大きなモンスター、ダイナザウルスを作って維持費、改修費などオリンピック後の方が、少子化の日本に重くのしかかる。審査委員会はザハ案を「日本を元気づける」と評したが、私にはそうは思えない。建築はアリナミンじゃない」と。
しかし国民新聞とかいう右の記者が「我々は明治天皇の聖蹟を守ろうというあなたに賛成だ」を始めとして質問はみんな質が低く的外れだった。

2月3日

2014年4月10日 木曜日

ようやく文科省とJSCに直接懇談する時間を取ってもらった。聞きたいことはいろいろ。

1、開閉式屋根の、制作費用、開閉にかかる費用とメンテナンス費用。材質。
制作費:148億円

2、ザハの賞金、監修費、JVの設計費、それが1300億円に含まれるか否か。
監修費(13億円)、JV設計監理費(91億円)は、1300億円には含まれず。

3、建設費のなかの国税の割合、維持費、改修費の中の国税の割合。
建設費(1971億円)-都負担分(500億円?)-TOTO収益を引いた額

4、建設費、維持費、改修費が膨らむ場合の国税の補填。

5、ソウルのザハ建築の工期のおくれ、建設費の傍聴をどう見ているか。

6、選考委員の謝礼、来なかった委員にも同じく払ったのか。

7、コンクール設営のコンサルタント、イギリスの会社?
株式会社都市計画設計研究所

8、発表写真の向きはおかしいのではないか? 写真の掲載許可を出さない理由。
あとから変えた。平凡社の本はJSCがデザイン写真を出さないからだという。

9、外側の材質、反射、換気、入退場、避難方法、人の流れ、風害、高さの測り方。

10、監修費としてザハは何をしてくれるのか、既に契約を結び払ったのか。

11、スポーツ施設の避難所としての活用方法。

12、サブトラック問題。

いってみてわかったことは、もともとのデザインコンクールの応募要項にも安藤さんや内藤さんが関わって決めたということ、ザハの監修費とJVと足して91億ということがわかったくらい。文科省もJSCも担当者は去年の秋からの担当者でその前の事はよくわかりません的な対応。まあ、かなり無理なことをやらされているようだ。

2月2日

2014年4月10日 木曜日

「建築ジャーナル」二月号を見る。スポーツライター中西正紀という人が、

1、建て替えは不可避、1958年時の劣悪なコンクリート、記者席に屋根がないとパソコンがぬれる、トイレがない、ろくな食べ物がない、階段も踊り場がない。森たちはそれでいいとおもっているのか? 歴史性の尊重よりアスリートや観客の事を優先せよ。

2、ザハ案は妄想、失格を通告し、直ちに二位のリチャードソン案を採用せよ。

3、後藤健生さんのいう球技場特化には反対。

4、むしろ老朽化した岸体育館に入っているスポーツ団体をみんな国立に集中。

5、商業施設にも、国立なら何でもそろうスポーツ用品店などでにぎわいを。
と主張している。このかたは以前はザハ案を賞賛していたはず。

1については、その当時のコンクリートはその後の高度成長期より堅牢、またトイレ、階段、バリアフリー、おいしい食事の提供は改修でも十分可能と思う。