2009年4月 のアーカイブ

4月24日

2009年4月24日 金曜日

秋田県の仕事がはいったので、真理ちゃんと白石でまちあわせ、鳴子で昼食、4時頃、秋田の小安温泉につく。渓谷に間欠泉があり、スゴイながめだった。温泉のPR冊子にエッセイを書く仕事。ひろっこ、ほんな、など知らない山菜がでる。フキノトウ味噌のことを当地ではバッケ味噌というらしい。
翌日,帰りがけ秋宮の稲住温泉に寄り、白井晟一が浮雲と名付けた建物を見る。昭和3、40年頃のモダニズムがそのままに残っており、石原裕次郎と浅丘ルリ子がでてきそうだ。こんなすがれた宿もいいのに。そこから丸森。小屋で読んだ本「未完の女」「リリアンヘルマンの生涯」入澤さんの「東北からの思考」。であったのが一回きり、もう入澤美時さんはこの世からいなくなってしまった。でも本を読んで、こういう人は生きて行くのがつらいだろうと思った。

4月23日

2009年4月23日 木曜日

夜、かつてのオズマPRで先輩だった油井文江さんの依頼で、中小企業診断士の方達にお話しする。油井さんが新しいしごとを広げていることに驚き、この仕事のことも知らなかったので新鮮だった。聞いてくださった中にお茶の水の先輩がひとり、日暮里の平塚春造さんのお孫さんがひとりいた。

4月22日

2009年4月22日 水曜日

谷中の詩人岸田衿子さんのところへ行く。髪の毛を三つ編みにしてらした。話が面白すぎて何時も長くなる。衿子さんて、どうしてこんな普通のことをあんなに面白くはなせるのだろう?最近、谷中のあるお家に、ほこりのかぶった絵が出てきて長谷川利行らしいとテレビのお宝探偵団に出したら3000万円の評価額だったとか。ろばさんが何度も紅茶やコーヒーを入れてくれる。

4月19日

2009年4月19日 日曜日

2時より日暮里のエキュートで「女三人のシベリア鉄道」のサイン会。駅中の人が行きすぎる中でサインなど恥ずかしいことこの上ない。最近往来堂も自分の本が並んでいてはずかしい。ぎゃくに岩波ブックサービスセンターなど最新刊すらないのでかなしい。売ってくださるんだからありがたいと思わなくては。リブロの菊池さんは谷根千を最初に池袋西武店に持って行ったときの担当者。ちっともかわらない。吉村昭さんのお嬢さんもリブロにいらしたことがあり、初期のころ、谷根千に葉書を下さった。日暮里駅店は吉村昭先生の本も山積み。そういえば最近、河出から「時代の声、史料の声」という吉村さんの対談集が出たのだが、私との対談もはいっていて懐かしい。その日、今日はおわったらモリさんを銀座のバーにでもお連れしようと思っていたんだがな、急に不祝儀があって残念だと黒い背広の吉村さんがおっしゃったのを覚えている。

4月16日

2009年4月16日 木曜日

やっと冷蔵庫が来る。冷蔵庫がない間、乾麺やへそ大根や凍み豆腐や昆布で食いつなぐ。サバイバル生活みたいで面白し。

4月15日

2009年4月15日 水曜日

一日中ぐずぐずして、夕方、読売の丸山さん、水島さんと荒木町でいっぱい。楽しいのみ仲間だが、今日は二次会まで行く元気なし。

4月14日

2009年4月14日 火曜日

ロンドンから帰って以来のかぜが抜けず、来日中の森島瑶子さんとなかなか逢えない。きょうは中学時代のともだち太田君の紹介で日暮里在住の建築家吉池さんピアニスト小形さんご夫婦に会う。すっかりご馳走になってしまった。太田君は石油会社に勤めていたころ、なぜかキャビアをお土産にくれた。そのころはアラビアから帰るのにアラスカ経由だったのである。今は中東協力センターにいるようで、アラブの王様を連れておいでよ、谷根千を案内してあげるなんて、ノーテンキなことを言ってしまった。

4月6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日

2009年4月13日 月曜日

4月6日(月)
ロンドン、カムデンロックから運河をボートに乗り、リトルベニスまで行ってみる。途中川沿いに散策路あり。野宿者もいる。ボート生活者、デッキに自転車を のせ、お茶を飲んだりして優雅。日本は係留費が高いからなあ.ハイドパークは折しもイースターの休みが始まり子供連れで大にぎわい。ケンジントンパレス、 ダイアナ妃と皇太子の住居なれどいまは観光施設。もともとジェームスとメリーとかいう王と王妃がロンドン市内の空気の悪さに耐えかね、郊外の貴族の館を改 装したらしい。こんな陰気なところにいたら、ダイアナさんもヤンなちゃうよ。でも王室誰彼のブロマイドなど売って商魂たくまし。そこからビクトリア・アン ド・アルバート美術館に行く.広大。鉄の扉だけで何百とある.すべて博覧会の収集品のようなリ。

4月7日(火)
朝、タクシーでディケンズの家に行く。16ポンド.地下鉄は初乗り4ポンドで高いがタクシーは東京より安い気がする.
黒塗りで威厳あるし.なんとかストリートの何番地でぴたっと着く。オリバーツイスト、クリスマスキャロル、二都物語、少女期から親しんだ作家。
ソーンズ美術館。有名な建築家が趣味で集めた骨董屋敷といったおもむき。国営のため入場はただ。そのまえのリンカーンフィールドなる緑地も美しい.高級そ うなたてものまるまるto let とのこと。 for sale とともに今回よく見かけた看板。アメリカのサブプライムローンに始まる不況、イギリスも同じ。誰彼を思い浮かべても、そしてまずは我が身も未曾有の恐慌の ただ中に生きるも案外自覚なし.贅沢している人はやはり贅沢。最高裁にて裁判を傍聴、テンプルなる法科大学院など見学。緑濃き荘厳な学校だ.お世話にな りっぱなしの恩田邸にてパーティー。旅行会社に勤める人の日本の旅行者の生態、おもしろし。違いを楽しめない人は海外旅行は文句ばかりとか。真実なり。

4月8日(水)
あさ、王立美術協会に行ってパラディオ展を見る。ヴィチェンチアにて多く見しものなり。だいすき。国芳点も同時開催なれどももあれほどいっぺんに見たこと なし。スイスコテッジの駅前の屋台店にてタイ料理をテイクアウト.イギリスではテイクアウェイという。おいしい。4、5ポンド.高いけどひとつでたっぷり 二人前ある。住宅地なれど肉や、魚屋、八百屋、コーヒーや、チーズや、ピクルスや、各国料理の店軒を並べ便利なり。一泊69ポンド、二人でわれば一泊 5000円で、やや水回りに問題あれど安くて静かで便利で、この次もここに来よう。フロントにイングリッシュいず.みなアラビア人。バイバイと素っ気な い。

4月9日(木)
12時に無事成田着。家に着くのは三時。イギリスの整然たるレンガ建築を見し目には、沿線の蜘蛛の巣のような電線とマッチ箱のような家がなさけない。それ と若い女性のアナグマメークと子供っぽくしかもお水っぽい服装が気になる。やまのような新聞、メール、FAXの処理あり。でもこれ、なんか張り切って好き な仕事なり。イチローがWBCで決勝打を打ったこと。老人ホームの火事。50下の妻をストーカーする夫のはなし。不思議な事件だ.

4月10日(金)
冷蔵庫が壊れ、わが生活の脆弱を痛感す。氷がないので冷たいものは飲めないし、肉は買ってこられない。毎日肉を食べる生活なんておかしいということ。毎日 殺すわけにはいかないとしたら。沖縄で一年に一回自家の豚を殺して塩をまぶしスーチカを作ることの合理性を思う。今時の冷蔵庫2つ冷凍庫あるが必要なし. 冷凍食品は利用せず、氷を作るのみ。あるいはアイスクリームを冷やすのみ.無印良品にてそのような冷蔵庫を買う.16日配達のよし。夜、『一枚の繪』の市 川氏きたる。よく勉強する珍しい編集者と一杯飲んで楽しい。今日、天皇皇后金婚式なり。

4月11日(土)
昼眠くマンションの総会に遅れる.小さなことを突っ込む人何人かいて大幅に遅れる。いうなら自分でやればいいのに。人の批判はうまいが、寛容と妥協のでき ない小人日本には多し。政治家もしかり。tolerannce and compromise と心の中でつぶやく。そのいいつのりかたもこれまたarrogannt. 帰りやりきれなく、中華やでビールを飲む。夕方、借りてきたビデオ『レミゼラブル』と『十二夜』を続けてみる。どっちもすでに見たことがあった。

4月12日(日)
日曜日なり。午前中、河北新報書き、ねむいので昼寝して夕方より、鏑木清方について書く。10時よりNHKの鶴見俊輔さんのインタビューを見る。聞き手黒川創。お元気そうで安心する。日米交換船、べ平蓮のことなど。

4月13日(月)
昨日からのどが腫れてせきこむ。イギリスでは花粉症をヘイフィーバーというらしいが、イギリスにいる間はさわやかだった。帰って来て以来、目がゴロゴロす るのは中国からの黄砂らしいし、あいかわらず花粉症もおわっていないらしい。サトコも同じ症状。「いよいよ日本中の杉を切る結社を立ち上げなくては。竹の 子掘りも」という。あるいは国外脱出か。金井さん来て『大阪不案内』のゲラをわたす。妙に眠くて4時からの原武史さんとの対談に少し遅れる。打ち上げは大 好きなろしあ亭。

森まゆみ