今日も一日テープ起こし。お昼に蔵に行ったので帰り、泰平軒による。前にここの中華を谷根千でほめたら、「それを見ていったが、なんてことのない店だった」という感想をツイッターした人がいる。そういう人は縁がない。
ここに入ったとたん気持ちが昭和になる。たたき、壁の木目合板、手洗い場のタイル、バラ色のデコラのテーブル、ビニールばりのいす、古ーいクーラー、全部昭和。壁にはもう茶褐色になったメニューが張ってあるが、こんなに時間がたったのに、20年前くらいの値段でどうにかやっている。すごく気持ちいい店主の兄弟の笑顔。どうも、ありがとうございましたの独特なイントネーション。置いてある朝日新聞、きょうはラーメンと半チャーハン、700円。このラーメン、麺固めで、濃いめの醤油味で、シナチクに鳴門、子供の頃、昭和に食べた百亀のラーメンの味に近い。
出前している姿をよく見るが万が一、この店がなくなったら近所のお年寄りたちはどんなに困るだろう。どうしても残ってほしい店。名前が泰平というのも気持ちが落ち着く、前に瑞泰寺に住んでいたときよくお世話になり、こどもたちに出前を取って私は外出した。ありがとう、泰平軒。食べログなんかで料理の写真を撮り、あちこち一回だけおいしいところで食べたい連中とは無縁でよい。
それにしても食べログのコメント「お店に伺いました」「お邪魔しました」というのは客が使う言葉ではない。学生の作文で「スプーンを落としたらお店の方が新しいのをもってきてくださいました」とあって「客が従業員にこんな敬語をつかうことはない」といったら、「私もレストランでバイトをしているので」との答え。常に相互互換性があるというわけか。これはらいてうの「送るよう命じました」の上から目線よりは好感もてるが。いや、最近の若い人の過剰敬語は「いっときゃ間違いない」というわけらしく、本当のリスペクトから出たものとも思えないけど。