2011年9月 のアーカイブ

震災日録 9月9日 新米を買う

2011年9月13日 火曜日

今日は久しぶりに北里の検診で漢方の薬を貰い、鍼を打ってもらった。そのためか夜、近所の楽しい飲み会に行ったのに酔いが回って団子坂で倒れそうになった。病人継続中ということも忘れないようにしなくては。
それこそお米がなくて台所の隅にあった古米を炊いていたのだが、さすがに文句がでて本郷通りのお米屋さんで3キロ買った。その場で精米してくれた。食べたことがないから宮崎の新米。やっぱり西の方が売れますか、と聞くと「どこのも安全性は検査済みです。あんまり気にすると食べるものがなくなるよ」とご主人。本当だ。次は福島や宮城を試してみよう。石巻からサンマが届いた。これは北海道産だった。三枚におろし、身は刺身にして、骨つきのところは焼いて、大根おろしとすだちで食べる。うまし。

震災日録 9月8日 食べるものへの心配

2011年9月13日 火曜日

一日家でしごと。9月になっても暑さ去らず、この夏は本当にクーラーなしで乗り切った。テレビも地デジ化せず見られない。人のうちに行くと見せてもらう、そのくらいでじゅうぶん。
こんなブログを何人の方が読んでくれているのかわからないが、このおそろしい時代を記録しておくことは意味があるとおもう。しかし自分でもハイになったり、冷静さを欠いたり、断定的になったりしている。正直に書いたことが人を傷つけることもある。丸森で買ってきた野菜をめぐる話は親子の葛藤、食物に関する世代の感じ方の差について書いたつもりだったが、友人からメールが来た。
自分の第二の故郷、人ごとではないと思っているのだが、地名を書くことで嫌な思いをさせることもある。書き方が不正確でした。娘は福島の子どもたちの被曝量を政府が上げたことについてずっと取材していて、わたしより内部被曝についてしっかりしたデータと考えを持っている。私が「一回だけだし」といったのを「毎日食べている」当地の子どもたちのことを心配しろといったのだ。トウモロコシもおいしい、あまいと食べていました。
9月4日の陸前高田の松の京都でのお焚きあげについても、もっと複雑な事情と意見があるようで、撤回。認識がすすめば前言を訂正することはあり得る。愚かで弱い人間の言としてお許しください。しかし訂正するときはちゃんと断ります。
東京にいるとどうしても消費者目線になりがちだ。ダイヤモンドの吊り革広告『汚れるコメ』を見て、いやな特集だなあ、と思ったのに。
きのう仕事できた人は「結婚したばかりでこれから子どももほしいし、外食は避けてます。水もペットボトル、食品は産地を見て買っています」といっていた。その気持ちもわかる。でもこんなことが続くと、生産者と消費者、親と子、情報を持つ人と持たない人、または気にする人としない人、いろんなところに分断が生まれていく。厳しい中で農業を続けている人があきらめてしまう。それがこわい。

震災日録 9月7日 不適切テロップ

2011年9月9日 金曜日

東海テレビの不適切テロップに関する陳謝番組を見る。長いわりに退屈。
それにしても23秒って長い。この間『怪しいお米セシウムさん』が流れていたとは。
もともと被災地岩手の米を応援しようという善意から出た企画だったのに。
さすがに岩手の農業者の声は重い。自分たちもびくびくしながら、しかし生活かかって米を作っているのになんだ! という怒りはもっともだ。
しかし当事者でもないのに、かさにかかって放送局ばかりを責め立てる視聴者にはあんまり共感できない。くわえて私の考えでは事前に知っておきながら訂正努力を怠ったタイムキーパーやAD、ダミーを放送したタイムキーパーやよそ見していたディレクターの罪の方が大きいと思うが、下請けの制作者が懲戒免職になっておしまい、という、よくあるとかげのしっぽきリ。しかもこの男性は我が社の社員でもないし、子会社の社員でもありません、という文言の冷たさ。
なお、だんじて岩手の「ひとめぼれ」のことをさして言うのではないが、政府や県が農作物の安全性についてのしっかりした対応をとらないでいるため、消費者の中には「お米にセシウムが含まれていないか、今までの農産物に付いての発表は怪しい」という気持ちが醸成されていた。おふざけとはいえ、今回のテロップにはなにがしかの民衆意識の真実は含まれると考える。懲戒免職になるべきなのは下請けのライターでなく、東京電力や政府の中にいるはずだ。
東海テレビの社員アンケートを全部公表すべきだ。この会社はドキュメンタリーなどではたくさんの弱いものに寄り添った傑作を作ってきた。「約束」は徳山ダムの住民が行政とした約束を破られる話、「黒と白」は名張ぶどう酒事件は冤罪ではないかという投げかけ、「光と影」は光市母子事件で加害者側の弁護士団の苦闘、ユニークな視点で多くの賞をさらっている。しかしピーカンテレビの二部を見るとどうだ、ほとんどCMとテレビショッピング、そんなのに放送法でいう大事な電波を占有されてたまるかと思う。東海テレビが営利追求、合理化による労働強化でなく、真にジャーナリズムに値する放送局に変身することを望む。

震災日録 9月6日 重茂の原始共産制

2011年9月9日 金曜日

NHKの漁業の再建を目指す岩手県宮古市重茂の漁協の番組を母と見る。泣けて仕方ない。日本一のわかめ養殖の湾も船は800艘流され、50人の住民も流され、住宅は全壊。そのなかで伊藤隆一漁業組合長は立ち上がる。当てにならない政府を当てにせず、中古の船を買い、漁業の共同化を目指す。みんなでわかめ取り、売り上げは公平に参加者で分配。定置網の売り上げは復興に。
私も三陸の漁業を取材したことがあるが、あわび取り、ウニ取り、いずれも健全な競争が生きていた。重茂でもキャリア、腕に差がある漁師は何となく納得できない。悪平等ではないかと考える人もいる。しかし伊藤さんは災害の後、復興するにはひとり一艘の船を得られるまでは平等分配しかない、前へ行くしかない、とみんなをまとめて引っ張る。みんなもナットク。相互扶助的原始共産制があたたかい。『もう被災者じゃない、復興者とよんでくれ』という誇りに満ちた響き。
いろいろ試行錯誤のすえ、谷根千でも年齢、キャリア、能力は無関係に売り上げから経費を除いた残りの千円札をトランプよろしく公平に配ったことを思い出す。それでいいんだ! 日本にもまだ惚れられるオトコがいたんだなあ。

震災日録 9月5日 地すべりで出来た道

2011年9月9日 金曜日

朝、アーティストのやなぎみわさん、蔵へ。大正のダダイズムなどについてよく調べられていてびっくり。24日に雑司ヶ谷明日館で林芙美子『放浪記』の改造社版を朗読したいので、それを発掘した森さんに挨拶をしてお話もうかがいたいということであった。チャンと筋を通す。大事なことだ。最近、谷根千を商標に使う店や医院もあるがあいさつに来た方はいない。動坂でやねせんうどんなども始まるそうだが当方とは関係ありません。

地質学者のイトウさんからの『誤解を生んではいけないから』という捕捉。勝手にブログに載せて失礼しました。
「自然現象は我々にとって味方にもなれば破壊者にもなります。地震を起こす断層や住居を押しつぶす地辷りというと困ったものだと考えておられる方も多いでしょうが、変動帯に位置する日本列島では実はそれらのお陰で生活が成り立っていることにも注目しておく必要があるのです。野を越え山を越える直線的な街道は過去の断層運動、つまり地震の結果という例が多いですし、急峻な山地でも生活(住居や畑)ができるのは地辷りによる緩斜面形成があってこそということがしばしばです。ですから、私達は地震や地辷りをただ憎むのではなく、地球、とりわけ変動帯である日本列島の地質現象をよく調べ、その法則を理解して、上手につきあうことが大切だと思っています。この前ご紹介した街道と関連する断層や構造線についてはよく調べられており、不安に陥る必要はないでしょう。ただ、今回の大震災でいやというほど思い知らされたように、自然は計り知れないほど奥深いので、予断をもたず謙虚に研究しなければと肝に銘じています。自然を侮ると、味方はたちどころに私達を押しつぶす破壊者に転じるからです」

震災日録 9月4日 核汚染物質を県外移転?

2011年9月9日 金曜日

台風12号の爪痕深し。神様、もうそろそろ勘弁してくださいよ。和歌山の息子に電話。無事、でもスゴイ雨だった。
細野豪志氏が「福島の痛みを日本全体で分かち合う」として核汚染物質を福島以外に処分場を設けると発言したことについて冗談じゃないという声しきり。陸前高田の被災木を京都でお焚き上げしなかったというのは行き過ぎだと思うが、これは地域エゴではない。核廃棄物は拡散させてはいけない。普天間基地の問題とは根本的に違うのだ。
この日、やねせん寄席。落語は1人の素がたり、究極のエコだというのにはナットク。
であれば出ばやしも生でやってほしいものだ。私の友だちの蓄音機屋さんは手回し蓄音機こそ究極のエコ、買ってくれたひとにエコポイントを出してほしいといっていた。
帰ってサトコと白山上商店街の盆踊りを観に行く。盆踊りとは亡き人を慰めるための踊りなのだから、東京音頭も炭坑節もこんなに明るくリズミカルでマイク音なのはいただけない。生きているひとが楽しむためのものになってしまっている。今年くらいは津波に流された人々をしのんで静かにゆっくりとやってほしかった。しかも西条八十・中山晋平コン
ビによる東京音頭は、戦争へ向う時代の目くらましになった。ええじゃないか、のようにみんな踊り狂って、何も考えなかった象徴。今と同じだ。

震災日録 9月3日 野田侮るべからず

2011年9月9日 金曜日

朝、大相撲場所前の総見に行った。大勢の幕内力士が八百長問題で引退したわけだけど、後を埋める力士は育っているのか?
その足で野田市での講演会へ。野田はキッコウマン醤油が有名で茂木一族のすばらしい邸宅群などがそのまま残されている。中には市に寄贈され公開されているものもある。興風会館という昭和4年の登録文化財が会場。千秋会館など洋風建築にも見るべきものは多い。駅前は閑散としているのに不思議な町。またゆっくり来たい。
急いで帰って、映像ドキュメントの研究会に参加。黒沢ビキビ水爆実験のとき、日本の政府は放射能の影響などについてちゃんとした調査をし、データも出したというのに、今回はなんという不誠実。いっぽうビキニの時はこどもたちを放射能から守る活動が行われたとおもう。幼児だったわたしですら「雨の日はおもてに出ちゃ行けないよ」「牛乳は放射能に汚染されているかも知れないから飲んじゃだめ」と母親にいわれたのを覚えている。原爆と水爆実験と原発事故がなかなか結びついていない。
前の大学出の同僚だった前田哲男さんが来てくれた。マーシャル諸島の米核実験の被害のルポ「棄民の群島」を著し、今の仲間荒川俊児さんは、「反核太平洋・パシフィカ」という月報をだしながら、日本の原発の核廃棄物をマリアナ海溝に投棄することを告発していた。

震災日録 9月2日 朝日はどうなってんの?

2011年9月2日 金曜日

朝から頭が瞬間湯沸かし器になりました。

朝日新聞が、あの、福島県放射線リスク管理アドバイザー山下俊一氏に『朝日がん征圧大賞』を贈るそうです!

http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY201108310495.html

トンデモ佐藤雄平知事がトンデモなアドバイザーを選んで、元長崎大教授なんていう名前に惑わされちゃいけない、山下氏は当初『100ミリシーベルトまでは妊婦・子どもも大丈夫』といっていた人です。いまは長崎大を休職して福島医大副学長になっています。もちろん福島県民は前から彼の解任署名を5万以上集めていますが、受賞にかんかん、抗議行動をはじめました。

【怒!】山下俊一への「朝日がん大賞」を撤回させよう!/杉原浩司(福島原発事故緊急会議)

福島に居座り、日々被ばくによるがんの危険を押し付けている張本人である山下俊一に、「朝日がん大賞」(副賞100万円)が授与されることが決まったそうです。まさにアンビリーバブル!です。まるで、朝日「がんにさせる」大賞です。「被曝させる医療に貢献」したことを称え、権威づける、しかもこのタイミングで。9月11、12日には、山下が仕切る「放射線と健康リスク」に関する「国際専門家会議」が福島で開催されます。

授賞式は9月2日、いままさに最中だが、今からでも抗議はできる。

朝日新聞(選考委員には上田俊英科学医療エディター(部長)も。こんなことで朝日の原発関係の記事は信用できるのか?)

日本対ガン協会(事務局は有楽町の朝日マリオン。理事長は武富士リース問題で朝日の社長を引責辞任した箱島信一氏、こういうのって天下りっていうの? 会長は垣添忠生氏、年上の妻の看取り記はよかったけどな)

このところ、朝日は有能な記者はつぎつぎやめちゃうし、二世記者が石巻のにせ医者を人の欄で取り上げるわ、どうなっているんだろう。仙台市役所が配水所を壊す時も、朝日は『河北が前に取り上げたから』と動かなかった、と市民運動の人はいっていました。朝日は反体制セレブ化しているのか、もともとエリートの高給とり、被災地の痛みや脱原発をいっても本気かよ、と思うことが多いです。周りでは朝日から東京にかえるひと多し。今回の受賞が読者の信頼を失い、毎日における西山記者事件になって、部数をがた落ちさせるかも知れない。心ある社員、がんばってくれ!

震災日録 9月1日

2011年9月1日 木曜日

関東大震災の日。吉村昭『関東大震災』、鈴木淳『関東大震災』お薦めします。

地質学者イトウさんより、またまたこわいご指摘。

◎日本の高速道路やその基となる街道の少なくない部分は大断層と関連している。まあそうでなければ野を越え山を越える街道はできませんよね。

・東北縦貫、奥州街道=盛岡-白河構造線。日本海が拡大した際(1500万年前)、その東の縁。

・北陸自動車道のうち賤ヶ岳~敦賀=柳ヶ瀬断層(活断層、100年前に地震)。これ、北国街道の一部。紫式部が通り、戦国の武将が大軍を率いて走 り抜けた道。

・これも中部地方の武将が太平洋岸に進出する際に駆け抜けた秋葉街道=赤石構造線・光明断層

・山陽道の一部:山崎断層と一致

・徳島道=完全に中央構造線の真上。恐ろしいです。

おそろしい時代に生きてしまいました。国家とか経済とかの視点でなく、いつも「普通の人の暮らし」を物差しに考えればどうにか間違えないで生きていけそうです。福島の小学生の「私は結婚して子供を生めるのでしょうか?」という疑問に母は絶句したと言います。うちの娘は「これで20年くらい寿命が縮まったかも知れないけど覚悟してる」という。刃は高度成長に浮かれて何もしてこなかった私たちおとなに突きつけられています。

震災日録 8月31日 除染より避難が先

2011年9月1日 木曜日

ドイツのテレビ局はこんな番組も作っています。NHKは3月27日の反原発デモも報道せず、朝のBSニュースでフランスの報道として流していました。また同じことで日本人フリージャーナリストが危険を冒して福島原発に潜入したルポが西ドイツのテレビ局で放映され、それをNHKが紹介する、そんなバカな。ぜひご覧ください。

http://www.youtube.com/watch?v=YNZ3bFUGyq4&feature=share

風評被害とは「根も葉もない噂」であって「根も葉もひどく汚染されている場合」つかうべきではないと、通訳の方はいっています。

外国人ジャーナリストたちは『なぜ誰も刑事被告人にならないのか?』と不思議がっているそうです。私もそう思う。

28日のNHKの中ではがんばっておられる七澤ディレクターの番組、娘と見て違和感をもちました。除染すれば放射線値は半分になる、というのですが、半分になっても赤ちゃんが住んでいい値とは思えません。除染が先、ではなく疎開(避難)が先ではないでしょうか。

石巻から魚が届いた。漁業も魚一尾ずつ放射線量を計測しているわけではない。魚はお米のようにじっとしていないしなあ。細胞分裂の終わっている(?)母と私でせっせと食べる。サンマの刺身、ツブ貝にホタテ貝、サンマの塩焼き、ああ、サンマにがいかしょっぱいか。