震災日録 9月7日 不適切テロップ

東海テレビの不適切テロップに関する陳謝番組を見る。長いわりに退屈。
それにしても23秒って長い。この間『怪しいお米セシウムさん』が流れていたとは。
もともと被災地岩手の米を応援しようという善意から出た企画だったのに。
さすがに岩手の農業者の声は重い。自分たちもびくびくしながら、しかし生活かかって米を作っているのになんだ! という怒りはもっともだ。
しかし当事者でもないのに、かさにかかって放送局ばかりを責め立てる視聴者にはあんまり共感できない。くわえて私の考えでは事前に知っておきながら訂正努力を怠ったタイムキーパーやAD、ダミーを放送したタイムキーパーやよそ見していたディレクターの罪の方が大きいと思うが、下請けの制作者が懲戒免職になっておしまい、という、よくあるとかげのしっぽきリ。しかもこの男性は我が社の社員でもないし、子会社の社員でもありません、という文言の冷たさ。
なお、だんじて岩手の「ひとめぼれ」のことをさして言うのではないが、政府や県が農作物の安全性についてのしっかりした対応をとらないでいるため、消費者の中には「お米にセシウムが含まれていないか、今までの農産物に付いての発表は怪しい」という気持ちが醸成されていた。おふざけとはいえ、今回のテロップにはなにがしかの民衆意識の真実は含まれると考える。懲戒免職になるべきなのは下請けのライターでなく、東京電力や政府の中にいるはずだ。
東海テレビの社員アンケートを全部公表すべきだ。この会社はドキュメンタリーなどではたくさんの弱いものに寄り添った傑作を作ってきた。「約束」は徳山ダムの住民が行政とした約束を破られる話、「黒と白」は名張ぶどう酒事件は冤罪ではないかという投げかけ、「光と影」は光市母子事件で加害者側の弁護士団の苦闘、ユニークな視点で多くの賞をさらっている。しかしピーカンテレビの二部を見るとどうだ、ほとんどCMとテレビショッピング、そんなのに放送法でいう大事な電波を占有されてたまるかと思う。東海テレビが営利追求、合理化による労働強化でなく、真にジャーナリズムに値する放送局に変身することを望む。