2009年11月 のアーカイブ

11月10日

2009年11月11日 水曜日

東京人の創刊二十五年の鼎談。そのあと久しぶりに中村彝や中原悌二郎のことを読み、考え、胸が熱くなる。大正のころ、どんなに貧乏しても描きたい絵を描き、作りたい彫刻を作り、仲間と芸術論を戦わした若者たちがこの町にいたかと思うと、励まされる。
『僕は漁師の息子だ。どんな辛抱だってできる』と言い切った中原等といまのロスジェネの若者はちがうような気がする。赤ん坊のころから大切にされ、保護されて育ち、50%は大学に親の金で行き、そのあと就職はじめ社会に放り出される。就職に失敗し、したけどすぐ辞めたりして次第に下層に落ちてゆく。世の荒波にさらされるのが遅すぎるような。彼らには辛抱なんてできないし、仕事は選ぶし、過保護のためか大人になるのが遅い。大学はまるで幼稚園だ。大学が父母の会を主催し、学生課が授業の取り方やシュウカツに着るものまで手取り足取り。20代は後期子供時代と言ってもよい。就職できないのは彼らのせいではなく、社会構造の問題はあるが就職先を増やしてもすむ問題ではないような。

11月9日

2009年11月9日 月曜日

一日雑用。朝日から出す紀行文の手直し。遠野、屋久島、対馬などに行ったときのことを思い出し、懐かしく、会った人はどうしているか、手紙を出したくなる。近藤梅子さんの息子さんの近藤雅之先生から「これでビラ辰の子はみななくなりました。森さんに書いていただいたのを母は大層喜んで居りました。冥土の土産にしたでしょう。ありがとうございました」というお葉書をいただく。谷根千をやっていてよかったと思う瞬間である。杉並の浴風会でお話を伺ったことを思い出す。あそこは新宿中村屋の相馬黒光ゆかりの土地でもあった。

11月8日

2009年11月8日 日曜日

町並みのコンクールのため,埼玉、藤沢を見学。埼玉は新宿のドンといわれた
実業家の広大な屋敷あとをすてきに和風の町にしていた。
しかしその周りには何の景観への配慮もない建て売りばかりの町が広がる。
格差社会というけれど景観格差も広がるばかりだ。
藤沢は鵠沼で少なくなって来ている松の木を保存する町並み。こちらも地価が高く、
この社会で成功した人しかすめない町だ。
帰り。藤沢に下宿するヒロシと久しぶりにあい食事。今年はものすごい就職氷河
期で、例年なら就職に強い彼の大学でもまだ内定の出ていない学生が多いと言う。本人はNPOをつづけようか迷ったが、専門性を持とうとどうにか法科大学院に引っ
かかった。どこの大学かなんて関係ないね、人間は、という認識に達しただけでも
成長が見られるというところか。

11月5日

2009年11月5日 木曜日

目が限界。平凡社のポン太を呼び出し、根津の「つばめや」にいく。

くま推奨店 其の六
山本さんはお肉がだめ。ここのメニューは肉と魚がはっきり別れているのでいい。ただお刺身はすごい盛りで二人でお刺身を頼むと、後は銀ダラの煮付けでおなかがいっぱいになってしまう。お隣さんを見ているとお刺身半分頼んでいた。かしこい。銀ダラにおいしいーと叫ぶと、ご主人が「まゆみさん、いつも食べてるのに」といわれる。焼き魚までたどり着かず、となりのおいしそうなのを眺め、鶴亀をすこし。ご夫婦二人でなかなか注文したものが来ないが、友だちとおしゃべりするには最適の、余り紹介したくないほどおいしくて良心的な店。私はいま、伊勢志摩を旅したときの紀行文を書き直しているので生ガキも食べました。

谷根千風景

2009年11月5日 木曜日

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谷中の路地

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上野公園内、黒田清輝記念館。画家の代表作が無料で見られます

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藍染川ぞい、谷中側の戦前の住宅

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どこかで見つけた、懐かしい洗濯物と昔のゴミ箱

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根津の藍染川ぞいの染め物丁字屋さん

11月4日

2009年11月4日 水曜日

夜、『彷書月刊』編集長田村治芳さんの独演会、サトコもちょっと出るので行く。娘のおさらい会を見ている感じ。田村さん前身雑誌編集者の話、雑誌から見える時代と文化、ずいぶん谷根千の話もしてくれて、自分の26年を思い出しながら聞いた。三河島の映画の古本屋中山さんも元気そうで嬉しい。そのあと打ち上げ、タクシーで帰る田村さんを不忍通りで万歳で見送る。

宮地さんが学生時代に谷根千工房を訪れ、私がいじめた?こと。田村さんたちがうちによく遊びに来た時代、中山さんの棚の本をほうろうで売ったこと、記憶の底にしまわれていたことが次々に思い出されてくる。

11月3日

2009年11月3日 火曜日

夜、鹿野町の小林さんと白山のリークック。

くま推奨店 其の五
そんなに古いお店ではないが、焼き肉を上品な環境で食べられる。内装はどっちかいうとバリ風でガムランなどかかっていることもあった。一時、大久保あたりの韓国料理がはやったが、値段のつけ方が大ざっぱで意外に高く、意外においしくない。そこに比べ、ここはチヂミやチャプチェ、いろんな家庭料理がありながら、値段もまじめで焼き肉は炭火でおいしい。私の好きなのは鳥のしお、シビレ、ナギラ、牛ホホの薫製。マッカリ。このところ夜遅く満員のこともあり、繁盛が嬉しいが、前の静かな店が恋しいことも。谷根千を置いて下さいました。