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日々録   2005年6月
No.983  2005年6月16日(木)

<今日出した本のことなど>
『クリスティー・ハンドブック』

 これは、映画「クリスタル殺人事件」(原作『鏡は横にひび割れて』)の公開に合わせて早川書房が作成した、文庫サイズの冊子です。中とじ32頁。以下は目次です。

 架空対談ミス・マープルVSポアロ「謎解きは人生の楽しみ」 数藤康雄
 死体にだって見おぼえがあるぞ 田村隆一
 イラストマップ「ミス・マープルのセント・メアリ・ミード村」桜井一
 映画『クリスタル殺人事件』 竜弓人
 ミス・マープル人名録
 クリスティー語る
 クリスティー・クロスワードパズル
 クリスティー著作リスト

 という訳で、販促の無料配布物にふさわしいつくりなのですが、田村隆一の詩と桜井一の地図が載っているところがミソです。田村さんの詩は有名なものですからここでとやかく言うことはないのですが、桜井さんの地図は知らない人もいらっしゃるでしょうから一言推薦させていただきます。

 桜井さんがどういう人でどういう仕事をされた方かについて、実はぼくはあまり知りません。ただ、節目節目で、この人が表紙を描いたおもしろい本に出会ってきたので、決して好きな絵柄というわけではないのに、とても良い印象を持っています。
 最初の一冊は『時刻表名探偵』。この本については以前ここでも書きました。凄く濃い内容の本ですが、カバーのイラストもそれに負けずエグく、著者のある意味尋常でない姿をよく表しています。子どもの頃はそんなことなど考えはしませんが、インパクトは強かったですね。だからその後、小林信彦の本を読んで、トニー・ケンリックの角川文庫を探しはじめた頃、どこかの古本屋の書棚でようやく水色の背表紙を見つけ抜き出したときは、「あっ、またこの人だ!」という、驚きとも喜びともつかぬ気持ちの高揚がありました。しかし、にもかかわらず、トニー・ケンリックをあらかた読み終えた時点でさえ、桜井一という名前がぼくの脳みそにしっかり定着するまでには至っていませんでした。桜井さんのことを本当にしっかりと認識したのは、もう少し後、偶然見つけた『ミステリマップ〜名探偵たちの足あと』によってでした。

 この本は早川書房から昭和57年に出ています。大きさはB5判。ミステリマガジンの連載をまとめたものです。有名なミステリ作品の舞台を桜井さんが見開きの地図にして、それに別の人のエッセイが付くというのが基本スタイル。具体的に挙げた方がわかりやすいでしょうから、以下、目次からいくつか書き出してみます。

 そして誰もいなくなった、インディアン島(数藤康雄)
 ホームズのロンドン(戸板康二)
 サム・スペードのサンフランシスコ(田中小実昌)
 マーロウのロサンジェルス(矢作俊彦)
 ナヴァロンの要塞(内藤陳)
 金田一耕助の東京(山村正夫)
 コーデリアのケンブリッジ(小泉喜美子)
 『深夜プラス1』の時刻表(伴野朗)
 樽(鮎川哲也)

 こんな感じのが全部で25点(括弧のなかはエッセイの執筆者)。『クリスティー・ハンドブック』に載っているセント・メアリ・ミード村の地図もここからとられているのですが、ともかくとても楽しい本です。なかでもぼくのお気に入りは、堂々4頁を使って描かれた「『深夜プラス1』の時刻表」。この作品に対する桜井さんの愛情が伝わってくるすばらしい出来ばえです。近所の図書館だと、谷中コミュニティセンターの図書室、および日暮里図書館に所蔵されているので、この手の小説が好きな方は、ぜひ一度手に取ってみてください。
 
(宮地)

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