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日々録   2005年2月
No.949  2005年2月14日(月)

 遅番で出勤。非番明けの月曜日は週末に預かった本の計算に追われることが多いのですが、今日もそんな一日。計算して連絡して、また計算して連絡して。でも良いものが多くうれしい。

 とまあ、そういう事情で品出しははかどりませんでしたが、そんななかでのおすすめは本日の品出しにも書いた『久保田万太郎集』。ひと昔前の新潮社日本文学全集のなかの1冊なのですが、良いところがいくつかあります。
 ひとつはこのシリーズ全体についてなのですが、サイズが小さいこと。この手の文学全集はおおむね大きく重く、図書館で読む分にはともかく、自分で持つとなるとうんざりさせられるわけですが、これはコンパクト。『チェーホフ全集』と同じ大きさと言えばおわかりかと思います(関係ありませんが、色も同じ赤です)。このサイズの2段組というのはある程度分量も入りますし、決して読みづらいということもなく、僕は好きです。
 もうひとつは、1冊まるごと久保田万太郎だということ。漱石や鴎外、あるいは太宰や谷崎であればそんなことは当然なのですが、万太郎ぐらいのポジションの作家の場合、こういう全集では他の作家との抱き合わせになりがち。それはたとえば里見だったり、たとえば水上瀧太郎だったりするわけで、それらの作家のことも決して嫌いではないのですが(というより好きなのですが)、やっぱり一人一冊というのが正しい姿でしょう。
 ちくま文庫の日本文学全集がロングセラーになったのは、以上の2点を満たしているからだと僕は思っています(もちろん安野光雅の絵を含めた装幀の勝利という面も多分にあるのでしょうが。このシリーズの安野さんの絵を集めた本も先週出しました)。ただ残念ながらあの中に万太郎は入っていないので、そういう意味でも、これは重宝な一冊、というわけです。以下は収録作品。

「末枯」「露芝」「春泥」「花冷え」「樹陰」「市井人」「三の酉」「冬田道」「きのふの今日」

 どうせだったら「続末枯」も入れてほしかったですが、取りあえず文句のないラインナップではないでしょうか。手頃な価格で入手しやすいとは決して言えない岩波文庫の数冊と、まだ新刊書店で買えるものの値段が高い講談社文芸文庫の『春泥・三の酉』を足したぐらいのボリュームもあります。俳句が入ってないのは残念ですが、河盛好蔵さんによる解説もついて840円はお買い得かと思いますが、いかがでしょう(以前今月の一冊でも紹介しましたが、万太郎さんはこの界隈ゆかりの作家でもあります。一時、諏訪神社の前あたりに住んでらっしゃいました)。

(宮地)

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