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日々録   2005年2月
No.943  2005年2月1日(火)

 今日から2月。良い区切りなのでショーウインドウの模様替えをしました。今回の特集は「競馬」です。ミカコの「酒・食」、神原の「絵本・児童書」と、続けて反応が良かった後だけに、正直「こんなに趣味に走ってもいいのかしら」と思わなくもありませんが、それなりの本がこれだけ集まったのも何かの縁なので、やっちゃうことにしました。今日新規に出した40冊弱のうちの目ぼしいものは本日の品出しでアップしました。ぜひご覧ください。以下はそれらについての簡単なコメントです。

 まずは『年金老人 奮戦日記』から。一見競馬とは関係なさそうなタイトルですし、実際競馬の本ではないのですが、山口瞳が日記を書けば、競馬とは無縁ではいられません。何せ東京開催時の土日はほぼ例外なく府中に出掛ける方ですから。いつもながらの柳原良平による表紙も、馬と戯れるヒトミ先生、といった絵柄の可愛らしいものです。平成2年の晩秋から5年暮れまで、競馬について言えば、オグリキャップの劇的なラストランに始まり、トウカイテイオー、ミホノブルボン、ウイニングチケットという、3頭のダービー馬が誕生してゆく時期を背景に、ヒトミ先生の毎日が綴られています。ままならない自らの健康、庭の植物、大好きな国立の町、野球に将棋、そしてもちろん文壇の動向といった様々な出来事の中で、競馬も間違いなくその中心に腰を下ろしています。馬主席での殿様競馬についてはあれこれ言う人もいるようですし、今日同時に出した地方競馬場巡りの労作『草競馬流浪記』に顕著なように、鼻につく部分がないわけでもないのですが、この人の競馬への思いはそういったあれこれを吹き飛ばして余りあるように思われます。僕は楽しめました。
 この本は昨年暮れに買い取りで入ってきて、このひと月、出掛けるたびに持ち歩き、少しずつ読み進んで先週読了したのですが、その間行く先々で、競馬の本が見つかりました。それはこの1ヶ月が「非番の日はセドリ」という習慣が確立した期間だったこととも間違いなく関係があるのですが、それだけでは説明できないほど競馬の本が拾えました。たぶんこの本の導きだったのでしょう。よって今回の特集は山口瞳のおかげで実施できたといっても過言ではありません。何しろ普通の買い取りで入ってきた本は数冊しかないのですから。感謝の気持ちを込めて、冒頭に掲示しました。

 次はアンソロジー2冊。どちらも巻頭の一編は山口瞳です。阿佐田哲也編の方はがエッセイ中心なのに対して、常盤新平選は小説が中心。期待したのはやっぱり阿佐田さんの方だったのですが、「優駿」に掲載されたものを中心に選ばれているせいか(そもそもがそういう企画だったのでしょうかね)思っていたほどではなく、常盤選の方が楽しめました。ヒトミ先生の「逃げの平賀」に始まり、井崎脩五郎、沢木耕太郎、阿刀田高、虫明亜呂無、寺山修司ときて、最後が古井由吉の「中山坂」。最初と最後の印象が特に強いです。古井さんのものでは他に『折々の馬たち』も棚にあります。

 織田作之助の『競馬』については、去年の日々録でも触れたました。戦後まだ間もない頃の新潮文庫、カバーも帯もありませんが、その佇まいと小説の内容がうまく重なっているせいもあって、何とも言えない味わいが醸し出されています。現役の新潮文庫版『夫婦善哉』と内容はまったく同じで、6つの短篇が同じ順番で収録されているのですが、タイトルが「競馬」というだけで、ぜんぜん違う本に見えるから不思議。東京古書会館でのアンダーグラウンドブックカフェで見つけたのですが、うれしかったですね。これだけは自分用に取っておくぞ、なんて思ったものでしたが、売っちゃいます。見つけて手に取ってレジに持って行ってお金を払ってという過程で、欲望のほとんどは達せられてしまったようです。

 いよいよ真打ち。油来亀造の『春が来た!』。何を隠そう、本日出した中でもっともおすすめしたいものです。しかし、残念ながら時間切れ、そろそろ出勤しなければいけません(ただいま2月2日の朝9時30分)。この続きは明日のこの欄で書きます。ではまた。

(宮地)

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