!新谷根千ねっとはコチラ!
[ 書く ]
日々録   2006年4月
No.1043  2006年4月18日(火)

[稲垣書店がやってきた!]

 8時半起床。寝るのは早くても3時、という生活をしているので正直つらいし、どうせだったらもうちょっとだけ早く起きて『純情きらり』が観たかったけど、その15分はどうしても動けませんでした。でも起きてしまえば気力充実。なんと言っても今日は「稲垣書店がやってくる」日なのですから。

 9時半頃に店に到着。車で出動してくれたミカコの父上と合流して、いざ三河島へ出発。自転車だとすぐなのですが、車だと結構遠回り。渋滞もしますしね。結局20分ほどで稲垣書店へ。「準備に4時までかかった」と店主の中山信如さんはお疲れ気味。お身体が心配ですが、ほうろうに運ばれるあれこれがきちんと用意されているさまは見事です。

 本が段ボール12箱。プラス特価本の束2本。額入りのポスターが大小合わせて13枚。予備のポスター11枚に、サービス品の山口百恵ポスターが4種80枚。色紙や生原稿などの資料類が2箱。大きめのバンがちょうど一杯になりました。会期後半に出す分もあるとはいえ想像以上の量で、中山さんの意気込みを感じます。

 10時半に店に帰還。まずは中山さんからいただいた出品リストと現物との照合、棚入れなどを、ほうろう4人で手分けして。こういう作業をしたのは多分はじめてなのですが、思ったよりも時間を取られちょっと焦ります。12時半頃中山さんがお見えになったった段階でもまだ済んでおらず、結局終わったのは14時ちょっと前。「結構大変でしょ」と、中山さん。

 ここでお昼休憩。応援に駆けつけてくださった奥さまのみなみさんもご一緒に、総勢6人で近所の定食屋「くりや」へ。古本屋稼業について、中山さんにあれこれお話を伺う。値付けについての話になったときの、「自分の付けた値段が一番正しいと思っている」というひと言に打たれました。もちろんそうあるべきなのですが、自分はまだまだその域に到達しそうもないです。

 15時、この企画の言い出しっぺである谷根千工房の山崎さんも加わり、作業再開。ショー・ウインドウとガラス・ケースに並べる本や資料の選別、展示するポスターの並び順などを決めていきます。ショー・ウインドウに並べる本について、見てくれより本の値打ちを優先しようとする中山さん、みんなにやんわりと却下されて、ちょっとしょんぼり。

 大枠が決まってからは、各自、分担して作業。ぼくはメインの本棚をいじるかたわら、壁にポスターを取り付けるミカコの補助を。見た目ほとんど同じ額が、実は微妙に細部が違って、天蚕糸が取り付けられたりられなかったりするのには閉口しました。勉強にはなりましたけど。あと、うちの店の壁や天井、場所によってはスカスカでネジが取り付けられません。これにも参りました。

 その間、中山さんは、展示販売する生資料類のキャプション書きを、奥さまと。仲睦まじいいおふたりの名コンビぶりに目を見張らされます。みなみさんの愛情あるツッコミは、常に場の雰囲気を明るくしてくれました。一方、文章を考えているときの中山さんの集中力は凄まじかったです。話しかけても反応がないこと、しばしば。

 19時少し前から、不忍ブックストリート実行委員会のメンバーがぽつぽつと集合。一箱古本市の打ち合わせです。本当はこの時点までに作業を終えていたかったのですがかなわなかったため、会議の方は神原と山崎に任せ、ぼくとミカコは引き続きポスターの掲示を。時おり奥から聞こえてくる発言に反応したりはするものの、事実上今日は不参加と相成りました。

 たぶん20時半頃、すべてのキャプション書きが終了した中山さんご夫妻が、店を後にされました。この段階で作業の進捗状況は「あともう少し」といったところでしたが、中山さんは以下のような発言で喜び?を表現してくださいました。
「こうして並ぶと、本もいつもよりよく見える。もっと高くてもよかったなあ。値段付け替えようか」。

 その後は、ぼくと山崎さんのみで黙々と最後の詰めを行い、22時頃とりあえず終了。額の仕様の問題でポスターが1枚貼れなかったり、看板をつくる暇がなかったりなどもありましたが、とりあえず明日スタートできる体勢は整いました。スチール写真や生原稿がガラス・ケースに飾られ、壁にポスターが並んだ様子はやはり壮観で、さながら「ちゃんとした古本屋みたい」(byミカコ)。

 古本市の会議に参加しようと奥に行くと、こちらもあらかた済んだとのこと。いつもは0時近くまでかかるのに。さてはいつも遅くなっちゃうのはぼくのせいでしたか。それでも、メンバーのみんなに一足早く展示を見てもらったり、後片付けをしたりしていたら結局0時をまわってしまいましたけど。解散したあとは、ミカコと小奈やさんで一杯やって、帰宅しました。おいしいお酒でした。

 出品物について、ぼくの趣味からちょっとだけ。

 まずポスターでは『女が階段を上る時』(25,000円)。成瀬巳喜男、高峰秀子、どちらの作品としてもかなり好みのものです。(悔しいですけど)黛敏郎の音楽が素晴しくて、映画全体のムードに大きな役割を果たしています。ただ、大好きなデコちゃんですが、隣に飾られている酒井和歌子(『街に泉があった』)の若々しさの前には、いささか分が悪いと言わざるを得ません。

 ショー・ウインドウに飾った、戦前の日本映画の主題歌楽譜もそそられる一品です。なかでも昭和10年松竹作品『悲恋華の歌』(5,000円)は、表紙がなんと桑野通子。ご多分に漏れず、ぼくも『淑女は何を忘れたか』で彼女を知った口ですが、この人はほんとに魅力的。滅多にビデオなんて買わないぼくがやむにやまれず買った『兄とその妹』は、今でも手元にあります。

 中山さんによると、戦前のブロマイドを集めている人たちの間で人気があるのは、おおむね若くして亡くなったり消えたりした人だそうで、桑野通子はなかでもとくに人気が高い一人だとのことです。そして、ほぼ生涯を通して演じ続けたデコちゃんは、ここでも旗色が悪いのでした。

 最後に本から一冊。月並みですが、小林信彦の『われわれはなぜ映画館にいるのか』(吉本隆明宛署名入り。20,000円)。学生の頃、かなり懸命にこの本を探したものです。とうとう買える値段では見つけられず、そうこうしているうちにほぼ同内容の『映画を夢みて』が出たので探すのをやめちゃったのですが、こうして自分の店に並んでいるのを見ると、感慨深いものはあります。

 以上、搬入当日の模様をお伝えしました。みなさんのご来場を、心よりお待ちしています(イベントも決まりました。詳しくはこちらをご覧ください)。また、出品物についても、少しずつ紹介していければ、と思っています。

(宮地)

最新

2006年
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2005年
12月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2004年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2003年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2002年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2001年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月

最新 2006年 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 RSS
ページトップへ