!新谷根千ねっとはコチラ!
[ 書く ]
日々録   2005年12月
No.1020  2005年12月2日(金)

ああーーー。遂に11月は一日も書きませんでした。
ほうろうでは未だに店にパソコンがないため、ネット作業などはそれぞれが家でしていたのですが、それにも限界があるので店にADSLを通し、iBookとともに通勤するようにしたのです。
そしたら、今までは私が早番で出た後、中番までの間に宮地が書くとか、私が早番で上がって、中番の宮地が帰ってくるまでの間に書いていたのが書けなくなってしまいました。ささーっと書ければいいのですが、結構時間がかかってしまうので、仕事中には書けないし、で。あー、情けな。
それと最近、ちょっとブログ酔いみたいなのもあって・・・。

まずは11月のことを月録で。
11月初めは、「水族館劇場」の北九州公演へ。
ほうろう初の社員旅行を自分たちへの言い訳に2日間店を閉め、光源寺の奥さまをはじめとする、ほおずき市メンバーの水族館好きが集った二十名近くのツアーに参加しました。九州人の厚い人情にもてなされ、またこんなにご近所の顔ぶれで移動するのは初めてのこと、ここは小倉か、大観音か、と不思議な浮遊感も味わい、1泊2日でしたが、楽しいツアーとなりました。
小倉駅の海側の工業地帯を背景にした広大な空き地は、水族館劇場のテントがよく似合い、工場の煙突が噴く焔も、すべては水族館のために存在しているようでした。芝居は大変盛況で地元客で毎日大入り。(ブログaquariusでテントが組まれる様子から、解体して更地になるまでの写真がアップされています。)
80年代に筑豊で旗揚げしたという「水族館劇場」が、再び旧知の仲間とともに小倉の地で芝居を打つ機会に立ち会えたのは、感慨深いものがありました。

中頃の日曜日の夜は、誘われるまま「間間間」に。
いい空間です。発売中の『暮しの手帖』で、南陀楼綾繁さんが不忍ブックストリートを紹介していますが、その中にも載っています。
築100年って云ったかな、酔っぱらって忘れてしまったけど、古いので大家さんが壊そうとしていた建物に、芸工展スタッフが住むことになり、今は毎週末、金曜日はバー、土日がカフェとして開けはじめたそうです。店ということにこだわらず、人の集まるオープンな空間を作りたいという思いから、今回のお店屋さんナイトみたいな企画もしているようで、『不忍ブックストリートMAP』の話なんかもさせてもらいつつ、なんだか楽しくて、寛いでしまいました。ここ1年でも新しいお店が増えてます!

11月のおしまいには、往来堂の「不忍ブックフェア」の打上げ。
往来堂の一番いい場所使って、売れなかったら大迷惑だよなーと、不安のうちに始まった企画でしたが、売上げもよかったようだし、店長笈入さんには今後の展望にも繋がったようで、よかったです。(今配布中の未來社のPR誌『未来』にも笈入さんがそのことを書いています。)
メンバーにとっても、笈入さんのブログでの売上げ報告に、ハラハラ刺激的な日々を送れたし。あまりに心配で往来堂を覗きにいくと、そこでやっぱり心配で看板などの設置に来てた内澤さんにバッタリなんてこともありました。
さて、冊数チャンピオンは「文庫、新書、コミック」部門と、「それ以外(単価の高い本)」部門に分けられ発表されました。
「文庫」部門では、オヨヨ書林セレクトの『小さなスナック』ナンシー関+リリー・フランキーで、15冊。
「それ以外」では、結構人ミルクホールの『タモリのTOKYO坂道美学入門』タモリで、9冊。
『浅草紅団』川端康成が健闘の8冊で、私も笈入賞をいただきました。往来堂ウキウキお買い物券1000円です。イエーイ!
買ってくださった方、どうもありがとうございます。

冊子の紹介文には、コラージュ的、と書きましたが、それは小説として筋を読もうとすると大変読みづらいものであるけれども、断片を追っていく楽しさ、それらを俯瞰することで当時の熱気を今味わえる本だと思えること、そして、私の選書テーマである「水族館劇場」に絡めて云えば、現在の浅草木馬亭の隣に当時ほんとにあった「水族館劇場」の描写にワクワクしたので『浅草紅団』を選びました。
ややこしいのですが、今年の5月には現「水族館劇場」が、劇場公演をしない彼らの念願の劇場だったという浅草木馬亭で公演し、カジノ・フォーリー水族館レビューも演っています。
当時の「水族館劇場」には水槽もあり水族館(今見たらきっとインチキ臭い)で客も来ていたようですが、それが廃れ始めると、二階で客を呼ぶためカジノ・フォゥリィと銘打ったレヴュウを始め、そこに川端も通いました。『浅草紅団』は、新聞小説としてリアルタイムで連載されていたため、川端が書くことにより、第何次だかの、カジノ・フォウリィブームを巻き起こしたようです。
この小説は読みづらいが故に、川端が上野桜木の家から毎日通い詰め彷徨った浅草が、どんなに手を伸ばしても捉えきれない迷宮であり、それは川端の筆を持ってしても、まるで熱病にうなされているかのような文章を書かせてしまうほどだったのだと思うと、浅草の魔力が伝わってきます。そして元来持ち合わせていた川端の流浪者への果てしない憧憬は、どうしても私の中で現「水族館劇場」へと結びついてしまうのです。うーん、紹介するのもむづかしい本です。
『浅草紅団』を紹介するにあたり、堀切直人さんの『浅草』や、季刊『ブッキッシュ』4号「特集 海野弘が歩いたモダンシティー」(オヨヨ書林で売ってます)の力を借りました。そうして更に当時の浅草にドキドキし、にわか浅草入門を果たした気分になりました。自分なりの副読本を見つけると楽しいかもしれません。
そうそう、初版の『浅草紅団』は、吉田謙吉のアバンギャルドな装幀が、ズバリこれしかないという感じで素晴らしいのです。興味のある方、探してみてください。

他の選書『ラフミュージック宣言』大熊ワタル、『忘れられた日本人』宮本常一は、それぞれ3冊ずつ売れました。まだ紹介していない『忘れられた日本人』について少し。
これは、私にとってものの見方を教えてくれた礎の本です。
この本には、彼の祖父の話のほか、あまりにも有名な馬喰翁の語り物「土佐源氏」など関西方面の古老の話が中心に収められています。
辺境の地に連綿と受継がれてきた、誰の目にも留められることのない個々の小さな暮しには、日本人の情緒の奥深さ、思いがけない奔放さ、生活の厳しさや豊かさが幾重にも折り重なって、静かで力強い物語りがいくつも潜んでいました。この本を読むうちにそれまでぽつねんとした存在だった私の足元にも、細くて長い長い道が続いているのが見えてきたのでした。
あえて紹介するには定番すぎる本なのですが、未読の方も多いはず。ぜひ、読んでみてください。
もう、往来堂フェアが終わってからひと月以上経ってしまいましたが、フェアの本は常備しておくとのことですので、後から読みたくなっても安心ですね。

来年の「不忍ブックストリートの一箱古本市」の日程も決まりました。4月29日(土)開催です。詳細は改めて。
また、地図も改訂版を出すつもりでいます。

さすがに月録は長くなってしまいました。
ここまでお付き合いくださった方に、耳より情報です!
あさって12月4日(日)、ほうろう奥のスペースで、「師走の近藤十四郎シークレットライブ」やります。入場無料です。たぶん19時半くらいから始まります。
近藤さんソロで、アコースティックな感じでやります、とのこと。
先日店の控え室にいて、レジでの話し声に「おぉ、このいい声は誰じゃー?」と見てみたら、近藤さんでした。なんか、例えが変かもしれませんが、和田アキ子みたいでした。ちなみに和田アキ子は、私のソウルクイーンです。
シークレットライブですが、誰でも入れますので、ぜひお越しください。

(ミカコ)

最新

2006年
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2005年
12月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2004年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2003年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2002年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月
2月
1月

2001年
12月
11月
10月
9月
8月
7月
6月
5月
4月
3月

最新 2005年 12月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 RSS
ページトップへ