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日々録   2004年11月
No.910  2004年11月17日(水)

 向島歩きの日。(今日は、長ーいですよー。)
 昼過ぎ、日暮里から「里22」亀戸行きのバスに乗って、先ずは終点亀戸駅前まで。この路線は東日暮里からぐいんと北上し、宮地の交差点で明治通りに入る。三ノ輪を通り、隅田川は白髭橋を渡り、所要時間およそ40分。あとで歩く辺りを斜めに突っ切ることになる。
 
 亀戸では腹ごしらえ。亀戸餃子。千駄木に引越してきてから初めてなので、何年ぶりになるんだろう。ここのメニュー、飲み物以外は、一皿250円の焼き餃子だけ。白飯もなし。潔いのだ。決まり事は、一人二皿以上ということなので、席につくと何も言わなくても、順に二皿出てくる。終わりそうな頃におばちゃんが「次どうする?」と訊いてくれるので、頼んでも頼まなくてもいい。時々ビールで口の中を冷やしては、焼きたてのアツアツをはふはふし、「うっめー」「おいしー」を連発。亀戸餃子は、サクッと軽い餃子なので、いくらでも食べられるのだ。結局、一人三皿ずつ、最後にもう一皿追加して、七皿平らげた。「一気に食べちゃったわねー。」と、おばちゃん。
 
 亀戸から東武亀戸線で三駅目の小村井へ。宮地の解説によると、昔はこちらが東武の本線で、曳舟を経由して日光の方まで行っていたのだけど、結局利便性のよい浅草の方が本線になり、今は亀戸と曳舟の間を行ったり来たりしているのだそうだ。二両編成で、路面電車のような可愛らしい電車だった。
 
 小村井からは、北北西に位置する今日の集合場所、東向島の地蔵坂商店街を目指しつつ、気ままに歩く。小村井の駅を出たところに、寿司屋の暖簾。65円の張り紙が気になって正面にまわると、あ、中里さんの写真集に出ていたショウケース。握り寿司の食品見本と一緒に、なぜか30センチほどありそうな木彫りのへら鮒が鎮座ましましている。
 
 あっちに寄り、こっちに寄りしながら、出たのはキラキラ橘商店街。この前は、夜遅くて店は全部しまってたけど、今日は賑やか。いきなり、宮地がじじシャツを購入。エンジンがかかってきた。褞袍にも迷い始めるが、谷中ぎんざと比べてから。ここはお惣菜屋さんがとても多い。おまけに安い。お腹いっぱいなので、コロッケひとつも買えないけども。と思ったら、この前気になったコッペパンのお店。サインがたくさん飾ってあったから、たぶん有名な店なんだろう。ジャムか、ピーナツ入り150円、なし100円。一度通り過ぎたが、戻ってピーナツ一個。おじさんは愛想がなかった。
 
 この街は、四つ角でも十字の線が引けるように交差してないことがあるので、見る方向によってまったく違うような景色に見えるのだ。とても不思議な感覚。そうかと思うと、初めて通るのに、ここさっき来たよね、ということもある。迷路。
 
 歩いているうちに、陽が落ちてきて段々空が染まり始めた。建物が低いから、空が広い。話をしながらも、あまりにも夕焼けがきれいで、西に吸い寄せられるように路地をすすみ、角を曲がった。視界の先に、家並の遥か上まである大きな樹が見えた。あの樹まで、そう思って、耳では宮地の話を聞きながら夢中で歩いた。両側に家が並ぶ道を樹を見上げながら突き進むと、急に視界が開けた。ざわわと葉を繁らした大樹はたぶん楠、その下一面にコスモスのお花畑。チャンバラをする子どもたち。その向こうには線路。背景は真っ赤な夕焼け空。「うわーっ、天国みたい。」思わずふたりして声を上げてしまった。看板を見ると「お花畑と芝生の広場 ピクニックにいかがですか」と書かれている。どなたかが丹誠込めて手入れしている広場なのだった。ベンチに腰掛けてしばらくの間、行交う電車と、移ろう夕焼けと、走り回る子どもたちを眺めていた。
 
 6時の集合時間が気になってきたので、また歩き始め、大きな京成曳舟駅を越して目的地を目指す。
 5時過ぎ「橙屋」到着。「橙屋」は、棟割り長屋の一軒で10年くらい前に閉店した元床屋さんの内装をそのまま使った、今回の中里さんの写真展をしている会場の名前。向島にはなぜか夏みかんの木が多く、去年地物の夏みかんでジャムなどを作ったから、その延長でのネーミング。内装は変えていないのだけど、一階の店舗部分には中里さんの小屋が配置され、夜は床屋さんの椅子に座りながら「橙ドリンク」が飲める、バーにも化すという不思議な空間。小屋の設置や展示の準備をした「橙屋」看板娘の茎子ちゃんと話していたら、なんと「青空洋品店」の内装も手掛けたというので驚いた。
 
 写真展は二階の元住居部分。階段を上がったとこの二畳ほどの部屋は暗くして、ビデオを映し、通りよりの畳を剥がした六畳間で壁一面に中里和人さんの写真、続く通りに面した一畳ほどの隠りたくなるような部屋が「(中野)純の間」、反対側の物干に続く部屋には、亡くなった床屋のご主人が描きためていた油絵や、スケッチブックが展示されていた。
 
 六日月が南西の空にくっきりと浮かんでいる6時半、いよいよ中野純さん主催の「向島・ムーンセットウォーク」。総勢30名ほど。隅田川が大きく曲がる鐘淵の川岸から月の入りを観るため、道々、写真集に出てくるシーンなどを案内してもらいながら、20時時59分の月の入りを目指して夜の街を歩くという企画。とはいうものの、夜の住宅地、年代もばらばらな30人の男女がぞろぞろ歩くのはかなり変。それだけいれば泥棒にこそ間違えられないだろうけど。まだまだ荒らされていないところなので、悪い印象を置いてくるわけにいかない。気を使う。
 
 私たちは午後からずっと歩き続けているので、魅力的な町並や建物も、一日にこれだけ観るとさすがにお腹いっぱいな感じ。楽しいけど、ちょっと疲れた。
 鐘淵に着くと、残念ながら空の下の方に霞がかかってしまい、月の入りは拝めず。しばらくそこで過ごしたあと、堀切駅へ出て解散。
 
 私たちは北千住へ出て、行き当たりばったりで「千両」という飲み屋へ。名物「鮪の中落ち」、「葱トロ」ともに350円、ビール大瓶450円。ここは、当たり。長歩きで乾いた喉にビールがぐびぐび吸われてく。三十年値段を変えてないという名物二鉢も、思わずお替わりするほど美味しかったし、秋刀魚昆布〆も蛸の唐揚げも旨かった。冷えた身体に最後は熱燗がきいて、種々の悩みごとは消えないけど、ま、ほんのり酔っぱらって、長ーい一日無事終了。

(ミカコ)

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