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日々録   2004年11月
No.906  2004年11月13日(土)

 早番。
 浦沢直樹の『MONSTER』や、冬目影の文庫版『黒鉄』、原哲夫の文庫版『北斗の拳』、他は新谷かおる、司馬遼太郎の文庫『翔ぶが如く』などセットものをビニール梱包。値付け済み棚空き待ちの文庫を気まぐれに数冊だけ棚に差したり、あとは何をしたかな。今日の品出しは、完成されたものがないな。先月末頃から、嬉しいことに結構お客さんが多くレジでのやり取りが多いのだ。
 夜は宮地と東向島へ。中里和人さん写真集『長屋迷路』の出版記念イベント
 はじめて降りた東向島の駅。目指すは「現代美術製作所」、案内には徒歩3分とある。地図を片手に線路に沿った路を進む。この辺なんだけどな、と立ち止る宮地。時間が迫っていたので、目の前の八百屋さんに尋ねると、元気なご夫婦が笑顔で交互に応えてくれた。お礼を言って歩き始めた私たちに「ほら、みんな歩いてくから、付いてけば大丈夫だよ。」と、ご主人の声が追いかけてきた。あぁ、ここはいい街だ。別に緊張してたわけでもないけれど、その八百屋さんで私たちは一気にほぐれた。初めて訪れる場所は、相性の良し悪しを感じることがある。その場所がいいとか悪いとかではなく、単に自分との相性だ。だから、ここは大丈夫。身を委ねられる、そう感じた。
 この4年間、中里さんは戦前からの家並が残る向島に通い、歩き、迷い、魅せられ、シャッターを切った。それが今回完成した中野純さんとの共著『長屋迷路』という作品。ノスタルジーではない。夢の中で見た景色にちかく、引き寄せられるように路地に入り込むと、また別の路地に吸い込まれる。角を曲がるたびに驚きがあり、そんなことを繰り返すうちにすっかり道に迷っている。しかし迷うことに焦りや不快を感じないのが、この街の不思議な魅力だと思った、と語っておられた。それが私にはさっきの八百屋さんで感じた、街に包まれたような気持ちと通じるような気がした。
 イベントは向島百花園200周年記念の企画ともリンクしていて、向島の家々になる橙を子どもたちがもらってきて、ジャムにしたりジュースにする中里さん企画のワークショップのビデオ上映に始まり、『長屋迷路』の新作ビデオ上映、中野純さんとのスライドトークショー、「向島で迷う」と題した座談会、と盛りだくさんで楽しい時間だった。
 そう、中野さんの印象的な解説があって、なぜ向島に来ると人は迷うか、という分析なのだけど、もともと複雑に路地が入り組んでいるところに、区画整理がないまま三角州のような土地に明治通りと水戸街道が斜めに突っ切り、しかもその両道路をはさんで路地と路地が繋がっていないという現状が、迷う事態を招いているのだという。地図を広げてみると、うーん、納得。
 帰りは、じゃあちょっくら歩いてみるか、という気分になって、京成曳舟に出た。終電が差し迫っていたので、身を委ね過ぎてあんまり迷子にならないように気をつけながら。写真集に出てきた風景が不意に目の前に現れたり、柳がしなだれる長屋があったり、太くなったり細くなったりしながらくねくねと曲がる道が、谷根千界隈とも違う雰囲気で、なんとも視覚的に新鮮だった。

 17日(水)は、地蔵坂通商店街の元理髪店「橙屋」で写真展と、ビデオ上映があります。夜は、中野純さんの『月で遊ぶ』の出版を記念して「向島・ムーンセットウォーク」なるイベントもあります。(こちらは要予約、参加費500円)詳しくは、HPの案内をご覧ください。

(ミカコ)

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