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日々録   2004年7月
No.857  2004年7月30日(金)

 モクローくん感謝祭初日。中番で出勤。夜のイベントを控えやや緊張ぎみ。南陀楼さんも午前中から出勤!机に向かって補充用古本の値付けなどをされてる模様。僕たちは交代で食事や銀行を済ませ、15時頃より準備に。本日の座談会イベント、当初は棚の配置はそのままでこじんまりと行うつもりだったのですが、日に日に参加希望者が増えたため、結局少年少女コミックと均一棚はつぶして奥のスペースは全開とすることに。いつもながらの、棚から本を出し、空の棚を移動し、また本を入れる、という作業は、イベントを重ねるごとに効率化は進んでいるものの、体力が年々落ちているため、スピードはあまり変わらない、といった印象。17時半頃、とりあえず棚移動終了。

 18時半。すべてのお客さんにいったん店から出ていただき(一般のお客さんに帰っていただくため)、あらためてイベントの受付を開始する時間。しかしまさにその寸前に、買い取りが。ああ。とりあえずお預かりして、名前を伺ったりしていると、外では入場希望者が急増中。わあ。ままよ、とばかりに受付を開始すると、また買い取りが。うああ。ほかにもあれこれ重なって、ややパニック。この時間帯にいらした方には失礼な対応をしたと思います。申し訳ありませんでした。

 19時15分頃、座談会「古書目録の遊び方」開始。遅れて入場する方などもあり、しばらくは片手間に話を聞かざるをえませんでしたが、落ち着いてからはどんどん話に惹き込まれていきました。なかでも印象に残ったのは、古書日月堂の佐藤さんのお話。日月堂さんの目録の、まずゴシック体の小さい字によるタイトル、値段があり、そこにさらに小さい明朝体の字による、本文や目次からの引用などを駆使した解説が付く、図版を使う時はドカンといくぞ、というスタイル(モクローくん曰く「共同目録でもすぐにわかる」)が、どのようにして創られたか。「いつも、今回のがもしコケて売れなかったら次にはもう何もできない、という背水の陣で挑んだことが、自然とこういう形を生んだ」。要約するとこのようなことを佐藤さんはおっしゃったのですが、「この1冊必ず売ってやる」という気迫は、店売りだけでぼんやりと構えている僕なんかからはどこを探しても出てこないもので、圧倒されました。目録をつくることは今のところ考えていませんが、1冊でも多くの本に気を込めることは可能なわけで(実際目線ひとつ与えるだけで本は売れていきます)、気持ちを新たにさせられることしきり。その後、古書現世の向井さん(セドローくん)による、即売展の面白いお客さん話などで会場が和やかになったところで、第1部終了。

 休憩を挟んでの第2部は、ゲストの一人である河内紀さんがかつて手がけたラジオの秘蔵音源を聴くコーナー。秋本松代(劇作家)と金子光晴、それぞれの話による「言葉の交差点」も、まるですぐそこに金子さんがいて僕たちに話しかけているようなつくりで感心しましたが、僕にとってのこの晩最大の出し物となったのは、鈴木清順監督によるラジオドラマ。主演は宍戸錠!で、当然殺し屋の役。ふたりの組み合わせで一番好きな『野獣の青春』に比べると、やや「渡り鳥シリーズ」風の(いわゆる)ジョーさんでしたが、こういうものの存在すら知らなかったので、大変興奮しました(20代の長い期間、僕の財布にはジョーさんのブロマイドが入っていました)。河内さんによると、清順さんが日活をクビになって仕事がなかった頃のもの。音楽は菊池雅章コンボによる演奏で(素晴らしい)、荒木一郎による唄も含め毎回オリジナルを持ち寄っていたそうで、何ともぜいたくな番組なのでした(ちょっと脱線しますが、荒木一郎の小説『ありんこアフターダーク』は面白いですよ。渋谷百軒店に何らかの思い入れがあれば、なおさら)。ニッカのコマーシャルも可笑しかったです。

 打ち上げに向かう人々を見送ったのちは、後片付け。これまでにはお酒飲みたさに「明日でいいか」と先送りしたこともあるのですが、次の日は二日酔いでもっとツラいということがようやくわかってきたので、最近はその日のうちにやることにしています。「早くビールが飲みたい」という、これ以上ないモチベーションがあるので、仕事も速い速い。準備のときの半分とまではいきませんが早々に済ませ、会場である「大栄」へ。モクローくんをはじめとするみなさんと乾杯を交わし、おいしい韓国料理とビールに舌鼓を打ったのでした。

*今日のイベントについては南陀楼さんの日記も是非ご覧ください。

<今日店でかけたCD>
『ゴースト・サーカス』シカラムータ

 モクローくん感謝祭は本だけではありません。音楽の方も南陀楼さんから「期間中時々かけてほしいCD」として1箱預かっています。今日からはこのコーナーもしばらくそれらのCDを中心にいきます。

 初日の今日、棚移動の作業に勢いを与えてくれたのは、大熊ワタル率いるシカラムータの新譜。大熊さんには去年の環音のイベントの時にほうろうでも演奏していただいたのですが、そのとき聴いて感銘を受けた「平和に生きる権利」や「鳥の歌」(カザルスで有名なカタロニア民謡)も収録された好盤です。8月22日にはダンス白州での野外コンサートもありますよ。

<品出し情報>
 ここ数日思うように品出しができなかったため、保留扱いにしていた本をどかっと出すことにしました。以下はその一部です。別に出し惜しんでいたわけではなく、品出し情報としてアップする際にコメントを付けたいものを取って置いただけなのですが。

 潮出版社『東京きらきら日誌』稲垣足穂 3500円 B(初)
 而立書房『都市音楽ノート』浜野サトル 1500円(初・帯・函)
 晶文社『ディランにはじまる』浜野サトル 1800円 B(初)
 晶文社『踊る地平線』室謙二 2000円(初)
 晶文社『駆け出しネット古書店日記』野崎正幸 1200円(初・帯)
 日本文芸社『作家との一時間』富岡幸一郎 1500円(初)

 そんななかで、浜野サトルの2冊はやや出し惜しみの気もあります。『ディランにはじまる』のなかに「南佳孝に出会って」という項があるためで、当時の南佳孝についてのまとまった文章なんてあんまりないですからね。これは手元にあった方が良いかなと思ったり。「最近、大滝さんたちと野球をやってるんだ。キャッチャーをやらされてね、しんどくて」なんてエピソードが載っています。

『東京きらきら日誌』は装幀および造本が素晴らしい。戸田ツトムと松田行正によるものなのですが、ひとつひとつの見開きが美しく決まっています。「田端時代の室生犀星」や「滝野川南谷端」なんて章もあって、そうそう「今月の一冊に使えるな」と思って取って置いたのでした。これはちょっと失敗しました。

『踊る地平線』はサブタイトル「めりけんじゃっぷ長谷川海太郎伝」。この本の平野甲賀の装幀も良いですよ。昔店のショーウインドで甲賀さんの本をまとめて展示した時にも出した、個人的にお気に入りの本。谷譲次の本はかつて僕のお気に入りでした(教養文庫版)。

『作家との1時間』は1989年の1月から12月まで「すばる」に連載されたインタビュー集。青野聰、後藤明生、田中小実昌というあたりが、それぞれのファンにとってはうれしいかも。

(宮地)

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