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日々録   2003年6月
No.649  2003年6月15日(日)

 アオキと二人でアル・クーパーの初来日公演に行ってきました。渋谷クラブ・クアトロ。

 アル・クーパーは、60年代後半から70年代の初めにかけてのロックのもっとも素晴らしかった時代に、大きな足跡を残した人。一般的には、数えきれないほどのアルバムに参加した鍵盤奏者として知られています。なかでもディランの『追憶のハイウェイ61』(「ライク・ア・ローリング・ストーン」でのオルガン!)やストーンズの『レット・イット・ブリード』は歴史に残る大名盤ですから知っている方も多いでしょう。
 もうひとつの顔、美しい曲を書くソングライター兼歌手としての彼は、自身の国アメリカではいまだに知る人ぞ知るといった状態のようですが、ここ日本では90年代以降再評価が進んで、今やそちらのほうが有名なほど?になりました。そうした中での初来日公演。開演前、フロアを見渡せば客層も幅広く、アルバム『赤心の歌』が大好きに違いない若者たちの姿も、想像以上に多かったです。

 さて、初めて見るクーパー氏は何とピカピカのジャケット(エルヴィスが着るようなの!)に身を包んで登場、いきなり超満員の観客の度肝を抜き、その余韻が収まらぬうちに今度は日本語によるスピーチを始めました。

「セカイデ、イチバン、ワタシノ、ファンガイル、ニホンニ、コラレテ、トテモ、ウレシイデス。キョウハ、イッショウケンメイ、エンソウシマス」

 こういうサービス精神を発揮するタイプの人ではないと思っていたので、とてもびっくりしたのですが、日本が、彼の過去の作品のほとんどをカタログのリストに載せている、世界で唯一の国であるのもまた確かで、そのことは自身のホームページでも触れていたので、案外正直な気持ちの吐露なのかも知れません。僕はと言えば、すっかり感激してしまったのですが。

 演奏の方は予想通り、期待通り。黒人音楽の影響を強く受けた楽曲の数々で、トランペットとサキソフォンを含む5人のメンバーを従えオルガンを弾きまくる姿は、僕たちみんなが待ち望んでいたものです。そして彼の歌。味わいは深いけれど、上手いとは言い難いそのボーカルは、ライブではより一層バンドの音にかき消されがちで、シンガーとしてはメジャーになり得なかった訳がはっきりとわかりました。でもまあそれはわかっていたことですから、全然問題はありません。僕たちは声量がなく声域も狭い彼の裏声が大好きなのですから。

 本人による「ジョリー!ジョリー!」という掛け声から始まり、一瞬客席を固まらせた「ジョリー」ももちろん 良かったのですが、この日最大の聴きものはその後に待っていました。ブラッド・スウェット&ティアーズ時代の名曲でありダニー・ハサウェイもカバーしている「アイ・ラヴ・ユー・モア・ザン・ユール・エバー・ノウ」からオルガン・ソロを挟んで(「ライク・ア・ローリング・ストーン」を始め、ロック黄金期の名曲のフレーズが次々と披露されました)、ストーンズの「無情の世界」、そしてドノヴァンの「魔女の季節」と続くメドレー。最高でした。
 アルバム『スーパー・セッション』収録の「魔女の季節」は、個人的にはアル・クーパー全録音のなかでももっとも繰り返し聴いた曲で、オルガンの弾くフレーズにスキャットがユニゾンでかぶさっていく大好きな部分が再現された時の興奮といったら、もうありませんでした。また、観衆の大合唱のなか繰り広げられた「無情の世界」も感慨深いものがありました。この曲のレコーディングへの参加が彼のキャリアにとって大きな意味を持っていることはわかっていましたが、自分のライブで演るほど思い入れがあるとは知りませんでしたからね。『レット・イット・ブリード』のラスト2曲をこよなく愛する僕にとっては二重の喜びでした。

 そんなあっという間の2時間弱。熱さと気だるさの同居したおじさんバンドのグルーヴに身を任せる至福の時間でした。

 この公演は東京では後2日、17、18日と渋谷AXであります。チケットもまだ残っているようですよ。

(宮地)

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