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日々録   2001年5月
No.71  2001年5月30日(水)

注:今日は長めなので、一旦接続を切るか、読まずにすっとばすことをおすすめします
(山)



 初音湯が好きだ。
 なんといってもあの白湯がいい。
 わっしは谷中に来てから環境の変化のせいか、子供の頃苦しんだアトピー性皮膚炎に悩まされている(寝てる間にムカデをつかんでるようないぶし銀住宅なのでいたしかたない)。昔はかゆくなると、医者からもらったステロイド剤の軟膏をなんの疑いもなく塗っていた。成人するにつれいつのまにか出なくなってたが、あれは対症療法で根本的に直すものではないという知識が入り、また副作用も、わっしは十代のおわりに右目が白く濁り急激に視力が低下したのだが、そういうことだったのかと考えている。で、ふたたび出始めたときに店にあるアトピーの本を読みあさったのだが、いちばんしっくりきたのが「アトピーは温泉で治そう」といった内容のものだった。新陳代謝をよくして、リラックスして、ストレスをためないで、薬に頼っていてはかゆみは抑えても症状は悪化してゆくだけだと......そんな感じだったかな(もしかすると酒やたばこはひかえましょう、といったこともあったのかもしれないが忘れた)。
 それで初音湯の白湯だ。実はうち、シャワーも風呂もあるのだ(越して来た当初は使っていた)が、アトピーが出て以来この付近の銭湯を一通り巡って出た結論、運命の出会いとさえ言ってもよいくらいだ。こんないい湯が近くにあるなんて。わざわざお金のかかる温泉療法をせずとも普段の生活の中で可能なのだ。ありがたい。
 初音湯は白湯だけではない。湯舟が真ん中にあるつくりなので後ろの人を気にする必要がない。カランはすべて壁際に付いているのだ。そのカランも、嬉しいことによその銭湯と比べてカランとカランの間が広い。こうして浴室は広々とした印象を受ける。そして立ちシャワーがふたつ、しかも固定式のものでないのがうれしい。ケツの穴だって流せるのだ。さらに水道がひとつ。これ小さいようで結構ポイント高い。あがるときに水をかぶる際にまわりに人がいないので気兼ねなくかぶることができるし、普通の水道水であることを気にしなければ水分補充も浴室にて可能だ。
 脱衣所だって負けてはいない。まずはあの高い格子天井。見事だ。そこから吊り下がっている大きなシーリング・ファンはレトロな気分、夏はきちんと回っている。それから畳一枚を使った腰かけは横にもなれるし、湯上がりの幸福なひとときを十二分に満喫できる。その腰掛けがふたつある。また番台でないのが功を奏して気兼ねなくのんびりできるのがいい。わっしは使ったことないが電動マッサージのソファーもある。年輩の方々に人気だ(一回20円ナリ)。そしてなにより、喫煙OK......ああ、これであとビールがあればいうことないんだがなぁ、本上まなみのCMみたいにさぁ。
 ではここでわっし流の初音湯の入り方を偉そうに伝授いたそう(アトピーびと向け)。
 まず立ちシャワー。ここで他人が不快と思うところをざっと洗っておく。これ大事。そりゃ男湯なんていきなりザブンな人が多いけど、やはり最低限のマナーは心掛けたい。
 さて、ざっときれいになったところでビニール袋から文庫本を取り出して白湯につかる。ここでは胸下までつかるにとどめておく。というのはいきなり肩までつかると心臓への負担が大きい。あと文庫本を持っているので本が濡れてぐしゃぐしゃになってしまうのを避ける意味もある。もちろんタオルを湯舟につけてはいけないのと同義の意味もある。なんでそんなもん持って入るんだって?そりゃ読むんですよ。非常識じゃないかって?いや、けっこう増えてるみたいだよ、最近、銭湯で本読む人。あ、ここでひとつ注意。風呂で読む本は、ほうろうの100円コーナーのものに限る。新刊本や欲しくて買ったものはだめ。もったいないから。
 で、文庫本を読む。じわじわと額に汗が吹き出してくる。ここまでかな、の手前で一旦あがって本をビニール袋にしまってから今度は肩までといわず首まで深くつかる。これまでだ!までひとり我慢比べを堪能するべし。
 それから頭を洗ったり身体を洗ったり、すでにじゅうぶん汗をかいているので垢が落ちやすかろう。特にわっしのような敏感肌にはナイロン製のあかすりでゴシゴシなんて厳禁なので、この順番になってしまう。あと、せっけん、シャンプー、リンスは‘シャボン玉’製のものが好ましい。“人にやさしいものは自然にもやさしい”をモットーにした北九州にある無添加せっけんの製造会社のものだ。合成界面活性剤はアトピーのもと。一般人でも海川をきれいに。ちなみにシャボン玉は坂本龍一が応援している。この辺では根津の‘根津の谷’か、お茶の水の‘ガイア’で購入できる。もちろん無添加であればどこのメーカーのものでも構わないのだが。
 さて、そうして風呂本来の用事が済んだらいよいよ足湯の開始。これは本来アトピーの治療が目的であったが、今では目的が逆転しているかもしれない。とにかく時間の許す限りリラックスしよう。湯舟のへりに腰掛けて、足だけつけて文庫本を読み耽る。これが心身にとてもよい。足だけつけているといつまでもつかっていられるし、サウナのように全身汗が流れ出る。ここで汗の玉ができないところがアトピーの患部とわかるし、一日の疲れもとれる。なんといっても風呂で読む本に勝る読書なし(とは同感な方もこのページを読む向きには多かろう)。風呂で読む小説は他の場所では一切読まず、風呂だけで読み続ければ終りまで一気に読まずとも、ずっと同じ環境同じ精神状態で読めるから入り易いのだ。こいつはほんと、お試しあれ。もちろん公共浴場でも、少し勇気を出して。最初は白い目も多少はあったのかもしれないが、でも今になってみるとそのほとんどが好奇心であったものと知る。
 こうしてまだ初音湯暦3年の山崎であるが、今では数人の風呂友もできたしますます初音湯が楽しみになっている。こないだは話はしたことないが顔は知ってるくらいの初老の男性に(男湯なんだから男性は当たり前か)、「失礼ですけどおたく山崎さんていうんでしょ」と声をかけらた。なんでも「散歩の達人」をみて「あぁ、このひと風呂屋で本読んでる人だ」と気付いたのだそうだ。「古本屋さんだから風呂屋でも読んでるんだ」と思ったらしくて恥ずかしかったが(本当は初音湯以外ではほとんど読書はしていないので)、妙にうれしかった(しかもその方、その後、「山崎さんは‘ボンフォト通信’にも書きはじめたんですねぇ、あれいつも送ってもらってるんで読んでるんですよ」と話しかけてこられた、これまた恥ずかしくもありうれしいようでもあり)。そしてこのくらいの年の方が「風呂屋で読書」を認知して下さってるようなので安心した。いいエピソードだな。
 さぁてと今日は少々長湯をしすぎた、そろそろあがろう。もっぺん肩まで首までつかって、仕上げは水をかぶる。左肩、右肩、頭、もういっちょ、左、右、頭。

 脱衣所でのんびりしたら、とん鈴に一杯やりに行きますか。
 では次号、わっしの好きな店:とん鈴編 でお会いしませう

注:上記‘初音湯の入り方’には、女湯では厳禁な行為が含まれているらしいので女湯利用者は慎重に
  (一度神原が他のおばちゃん客に怒られたことあるそうな、納得いかないが)
  では問題。その厳禁な行為とはなんでしょう。
  (ヒント:神原はまだ銭湯で本を読んだことはない)
  こたえは明日深夜に。お楽しみに!

(山)

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匿名2008年4月12日(土) 16時53分
先日、行って来ました。良いですね、初音湯。その後、このサイトを見つけました。山崎さんの記述とおりです。白湯、良いです。完全にファンになりました。
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