赤毛のアンシリーズを再読するのが今の楽しみ。大昔何度も詠んでいるので、おお、覚えているよ、この台詞という感じ。でもあれだけ美しく優秀で想像力もあって大学で文学士になったアンは結局ギルバートのお嫁さんになって終わりか。がっくり。少女の頃憧れた幸福な家庭は今となってはぞっとしない。マリラやリンド夫人の目になっている自分。「赤毛のアン」はアボンリーの町づくりの話しでもあった。このところ何年もタイにいっていないので、コカレストランで娘とタイスキ。

帰り、三菱一号館、中央郵便局（もはや郵便局とは言えない）、東京駅、丸ビル、新丸ビル、工業倶楽部、銀行倶楽部と歴史的建造物コースを歩く。オフィス街が観光地になったのと、こんなに飲食店があって過当競争にならないのかに、ためいき。「ペニンシュラも出来たのよね」というと娘、「何それ、インシュリンみたいな薬？」

仕事に夢中でご飯を作りたくない。それで2時の根津教会の縮小社会研究会の前にどこかで昼ご飯を食べようと1時ころ家を出る。本郷通りの玻璃城（ボーリージャ）はランチのシステムがよく変わる。一回カウンターの担々麺を期待したが、そこは500円のぶっかけランチを食べるところになっており、二階ではおかゆが1300円もするので予算とあわず。根津神社S字坂を降りかけると、坂右上の古い下宿屋に確認申請が。ついにこの建物も壊すか。根の津にいくと「ちょっとお待ちください」と女性。どのくらい、と聞くと、「ちょっとお待ちください」とこんどは上から押さえ込むように言った。といっても待つ場所はなく、自転車を置く場所もないのであきらめる。不忍通りの芳房にも待つ人2、3人、海上海も満員、土曜の谷根千はこんなことになっている。結局、アンクルでエゾシカのステーキを食べて至極満足だったのだが。「はやっている店の威を借るバイト」のせいでどれだけ店との縁が切れたことか。打ち上げは根津の車屋だった。30年で初めて入る店だが、つまみはだし巻き卵はじめかなりおいしい。東大のゼミコンパが多いらしいと敬遠していたが、惜しいことをした。

同窓会に行けなかったら、名簿が送られてきた。結婚して幸せそうな人、幸せじゃないといった人、結婚しない人、結婚したが別れた人、また再婚した人、それぞれの顔を思いだす。私たちの時代は男女雇用均等法以前で、ほとんど大学に行った進学校だが、大会社に就職はコネでもなければほとんど不可能だった。医療と法曹関係にはかなり仕事をしている。悲しいのは140人くらいのうち、もう7人もなくなっていること。才能に満ちあふれた、少女時代の元気な彼女たち、女性の平均寿命が85歳なのに、これはどうしたことか。都市の知識欲と向上心の強い女性たちの、生きてもがいて道を探していく上でのストレスを思う。

もと政治学徒としては見逃せない映画が岩波ホールでやっている。「イスラエルのアイヒマン」「全体主義の起源」を書いた哲学者、ハンナ・アレントの伝記映画。

むかし読んだ本が今肉体と背景を持って立ち上がる。ユダヤ人亡命知識人であるアレントはナチのホロコーストに関与したアイヒマンのイスラエルに置ける裁判を傍聴し、アイヒマンのアルゼンチンでの拉致、イスラエルでの裁判などの正当性を問い、アイヒマンの思考せずに上の命令に従う役人根性を「悪の陳腐さ」と表現した。またユダヤ人コミュニティ・リーダーのナチ協力も指摘したために同じユダヤ人やシオニストから激しい非難を浴びた。いま「東京オリンピック」に反対を表明しづらく、町会や商店街のお歴々が招致のフラッグやポスターを貼って歩くのを見ると、日本でも大政翼賛のあの時代をおもわないでもない。

「よしあしは後の岸の人にとへ　我は颶風にのりて遊べり」という与謝野晶子の歌を思い出す。平塚らいてうの「烈しく欲求することは事実を生む最も確実な真原因である」という「元始、女性は太陽であった」の最後の一文も。

＊今は超満員なので、もうすこしあとでいってみて。でもこの映画が混んでいるのに一筋の光明を見る。

天気もよいし、おもいたって新国立競技場建設地を見に行く。青山一丁目でおりて神宮外苑銀杏並木を歩く。私はバロック的空間は権威的だし、歩いても退屈なので好きじゃないが、けっこうみんなに活用されているものだ。銀杏採り、バギーのお母さんたち、弁当を使う会社員、読書の人、ホームレスの人、ジョギングの人、タクシー運転手さんの昼寝、こういう空間が都心にあってよかったね。

このへん神宮外苑は宗教法人・明治神宮の敷地と管理らしい。明治神宮はレストラン、バッティングセンター、フットサルクラブ、テニスクラブ、結婚式場、ゴルフ練習場、小さな球場なども経営しているらしい。明治神宮は明治天皇を神としてまつったもので大正時代に作られた森だ。いまはデザイン展が開かれている。

聖徳記念館も20年ぶりくらいではいっていた。施設維持協賛金500円。ちらほらお客がいた。しかし写真撮影は禁止。オリンピックに来た外国人にそういうとなぜ、と言われるだろう。フラッシュ焚かなければオーケーが普通だ。明治天皇は神様だから不敬というわけか？でも教会でキリストやマリア様の像も写せるわけだし。青年館では宝塚をやっていて楽屋入り口にファンがたくさんスターのお出ましを待っていた。

ぐるっと回って、東京体育館、ザハの新国立と並ぶ図面を見るとちっぽけに見えるが、どうしてこれだけでも大きい。これで15メートルの規制以下だとすると75メートルの新国立案はものすごく高く、ものすごく大きな建物であることが実感できた。マンションでいうと20階だ。それも29万平米の延べ床面積という。

3日ほど前、1年ぶりにカラオケというものをしたのだが、本当に歌が下手になって、しかも古い歌しか歌えないことに気づいた。その日は他にも歌うことが好きな人ばかりで、私は「ああそういえばこんな名曲もあった」と驚くばかりで、今度この歌を練習しようと行っても次の日になるとさっぱり覚えていない。結局私の歌ったのは「飛んでイスタンブール」「異邦人」このへんはやや軽かったが「越冬本線日本海」とか重いなあ。情念だなあ。今の歌は軽やかだ。いつも歌っている「難破船」「愛の暮らし」「ラヴ・イズ・オーバー」「涙の連絡船」「アドロ」なんかも重たすぎでやめ。シャンソン歌うときざだしね。「ラノビア」を歌ったら若い人がきょとんといしているので「ええ？この歌知らないの？」といってしまった。これ、一番おじさん（おばさん）臭い行為なのだとか。

「イミテーション・ゴールド」を姜信子さんが一番、二番を私に譲ってくれたがわたしが歌うとすごく重い。帰ってきて息子にあんたのいつも口ずさんでる「ゆず」のうた教えて、と言ったのだが「お母さんには無理」でおしまい。

大阪のリッツ・カールトンでフレッシュジュースが冷凍容器入りでフレッシュ（絞り立て生ジュース）でないことがわかった。これを果たしていくらで売っていたのだろうか。今までお客はフレッシュでないことに気がつかなかったのだろうか？リッツといえばダイアナ妃などが滞在していたパリの名門ホテルを思い出す。高そうで近づいたことはないけどなあ。

この前乗った、トルコ航空のコンフォートクラス（ビジネスより下）ではフレッシュオレンジジュースとハンドメイドレモネードがウリだった。それでフレッシュオレンジジュースを頼んだところ、スチュワーデスが、紙パック入りのジュースを注いだので、そうじゃなくてこっち、と指差したら、なんとスチュワーデスは「これだってフレッシュよ」と舌打ちしながら、いやいや替えてくれた。本当はレモネードも頼みたかったが、剣幕におびえて飲みのがしたのが残念。いつもはワインにするが、アルコールが入らない方が、体は疲れない。快適な時間でした。

イスタンブールの紀行文を書く。その合間に電気料、水道代、固定資産税の支払い、水道代の振替依頼、ペシャワール会への寄付、ペンクラブの会費支払いなどなど。経産省前のテント日誌にたいへんな情報が載っていた。もとスイス大使という方が安部総理に手紙を出したという。

安倍晋三内閣総理大臣殿
平成25年9月27日
村田光平

拝啓

時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

福島事故は確実に世界の安全保障問題となった感を深くします。その収束に最大限の対応をせず、未だに東電の経営の危機として対処している日本に対してついに世界は下記の通りたち上がりました。

1．ゴルバチェフ大統領の顧問を務めたＹａｂｌｏｋｏｖ博士、アーニー・ガンダーセン氏、カルディコット女史等17名の著名な科学者はこのほど潘基文国連事務総長宛に嘆願書を発出し、事故収束のため直ちに専門家および市民による中立の監視機構を設置すること、事故処理からに東電を除外することなどを訴えました。

http://www.nirs.org/fukushima/expert-ltr-bankimoon-09-2013.pdf

2．米ロサンゼルス在住の日本女性がオバマ大統領宛嘆願書の署名をインターネットを通じて集め始めたことです。福島原発事故に関する情報を日本政府・東電に任せることなく、米国および国際チームが収集して提供するよう要請する署名で一億人分を集めたいとしています。

http://petitions.moveon.org/sign/president-obama-urgently.fb31?source=c.fb&r_by=8607670

3． 食糧及び健康問題に関心を寄せる『ナチュラル・ソルーションズ・ファンデーション』は、日本政府と東電による事故処理は信用できないとして、各国政府にも国際機関にも依存しないＮＧＯの監視機関を創る動きを始めております。

4．著名な退役軍人でクレボーン・ぺル上院議員特別顧問を務めたスコット・ジョーンズ博士は別添のとおり4号機が崩壊に向かいつつある中で国際協力を拒み続け、オリンピックの準備に浮かれる日本をタイタニックにたとえ、東京開催を自然が許さないと断じております。

電力会社と一蓮托生の関係にあることが致命傷であることが立証されました。日本政府による名誉挽回が急がれます。

貴総理によるご決断が待たれます。

敬具

元大使でも勇気ある人はいるのだな。