ゴールデンウィーク中は『青鞜の冒険』の校正。平塚らいてうはわが小学校4年以来のヒロインであるが、反発し、あきれ、いやになり、やっぱりすごいと思う、その繰り返し。らいてうは事業を思いつく、何がなんでもしなければと思う、仲間を募ってやる、体力が続かない、頭痛がする、都会がいやになる、海や山に逃げ出す、これを生涯くり返している。まあ、飽きるのも才能のうち、しかし富や名声のためにしたのではない。茨城に17年に疎開してしまうのは空襲を予見し、食料を手に入れ、戦時体制に巻き込まれないためとはいえ実に見事。そのことがいま東京から九州や沖縄などに疎開している原発避難者の問題と重なって見える。野上弥生子も山川菊栄も白洲正子も実に見事だったしなあ。でも私のシンパシーは日米戦争に勝つと信じてモンペで防火訓練をし、家の下に防空壕を作って、浅草で焼け出されたわが母のほうにある。でも編集の山本さんに「悪口ばかりいってる割には森さん、らいてうに愛情感じますよ」「何だ、好きなんじゃないですか」と言われる。尾竹紅吉は文句なしに好きだなあ。