3月11日

古きよきアメリカ映画『哀愁』、ビビアン・リーとロバート・テイラーの美男美女。戦時下のロンドン、ウォータールー橋で空襲にあって二人は知り合う。休暇中の将校とバレーダンサー。結婚しよう、そうしよう。でも式は午後はあげられず翌朝、部隊へ戻れと命令。踊り子は舞台をキャンセルしてクビになり、彼の戦死の公報を見て絶望、生活のために街娼になる。しかし男は生きていた。もういちどやり直そうとするビビアン、しかし自分の過去を消すことはできない。身分を乗り越えて結婚しようという矢先、彼女はウォータールー橋で自動車に飛び込んで命を絶つ。鷗外の『舞姫』ではないが、当時のバレリーナもかなり差別される職業だったみたい。しかしこの男はばかだ。舞台に穴をあけさせたらどうなるかを予想できないのか? なぜ彼女に金を渡すなり、婚約者として自分の親族の庇護を受けさせるなりしないのか? してたら『哀愁』の映画は成立しません。結局、気配りのないピンぼっちゃま(ピンクの頰をしたエリート青年)ね。玉の輿ものはあの頃はやったけどね。『足長おじさん』も『麗しのサブリナ』も『マイフェアレディ』も。あんなご大層な家の嫁になるのも気詰まりだ。結婚しなくて正解かも。でもビビアンもロバートもボギーもみんな50代でなくなっているのよ。