3月9日 その2

息子は「日本は良いことをすると報われるどころか、損をする社会だ」という。満員の社内で女の人の背中にゴミがついていたので取ってあげたかったが、痴漢と間違われるのがいやでとうとう取れなかった。いつも後ろ向きに車両に乗り込んで手はあげてる。お兄ちゃんみたいに谷中墓地で迷っている子を近くの家に保護してご飯を食べさせたりしたら誘拐で捕まりかねない。お母さんみたいに時間を使って社会運動すれば政府や企業ににらまれ、売名だなんていわれて。
留学生に聞いた話。「西ヶ原の駅で怪我してたおれたおじいさんを見つけ、助け起こしたいが、なにか事件に巻き込まれるのも困るとおもって110番したら、突然パトカーが4方向から現れ、手をあげろ、と銃を向けられ、電信柱にへばりつけられた。そして身体中を探られ、長々と尋問された。結局おじいさんが意識を取り戻し、僕のせいで倒れたのでも汚したのでもないとわかるまでなん時間もかかり、しかもお礼も言われなかった。警察は犯罪を取り締まらなければならない、わかるだろ、となんどもいわれただけ」。この前もトルコ人の人に聞いた。「駅で女性が乱暴されそうになったのに仲裁にはいり、女性を助けたら駅員が来て警察が来て、とっつかまって調書を取られ、女性は何度もこの人が助けてくれたんです、と言っているのに聞く耳もたず、今回は許してやる、でもこれは警察の仕事だ、といって謝りも感謝もされなかった」と言っていた。
これ背の高い様子のいいアメリカ人だったら警察の対応は違うのだろう。アジア系の外国人への偏見がある。うちの子どもたちも自転車を盗難と思われ、パトカーに追いかけ回されたことが何度もあるらしい。「児童虐待をあれだけ見逃して、自分の自転車に乗っている人を追いかけ回すのはひどい」「しかもちょっとおいといただけの自転車を警察こそ持ってって。どっちが盗難だ」「バイクの騒音取り締まるほうが先なんじゃないの」