3月5日

きょうは浅草でおはなし。ビューホテルって初めて中にはいる。
浅草の方を前に浅草の話をするのは難しい。浅草は好きだけど。もう少しいいたかったこと。
浅草は怖い。小さな頃、行きすがりのヤクザが私の手の甲で煙草を消そうとした。
浅草は早い。浅草寺も仲見世も伝法院通りもすぐしまる。
浅草はレビューも映画も消え、食べるところだけになってしまった。
浅草には一見の客からぼったくる店もある。
浅草は地元の常連だけ大事にして、地方からやっと訪ねた客をないがしろにする店もある。
その辺をどうにかしてほしいなあ、と言いたかった。
由布院などは旅館組合で提供するサービスや料理の品質向上を計っているし、横浜中華街では絶対、反社会的勢力を町に入れないパトロールをやっている。あれほど安全なチャイナタウンは世界中にない。渋谷のセンター街や歌舞伎町でも行政ぐるみで風紀向上や町の清掃をしている。浅草ではどうなのだろう。
定番の浅草観光案内をくり返すメディアにも問題は大有りだ。
黙ってても客の来る有名店でなく、まじめに地道にやっている小商いや職人さんに日が当たるような情報発信はできないか?
そうおもう。

『旅愁』、ローマにいるピアニストのマニーナとエンジニアのデヴィッドは同じ飛行機に乗りあわせたが、故障でナポリに降ろされる。直すのに2時間はかかるとナポリ観光をしている間に飛行機に乗り遅れ、しかたなくナポリでつかの間の時間を過ごすが、愛し合ってしまい、しかも乗るはずだった飛行機が墜落。二人はこの世から姿を消して愛の生活を営もうとする。出来過ぎだよ。そしてフィレンツェの景色の良い丘に家を構えるが、いろんなところから足がつき、アメリカからデヴィッドの妻と息子がやって来る。マニーナはアメリカでリサイタルを開き成功、しかしデヴィッドを家族の元に帰すためフィラデルフィアのリサイタルをキャンセルして南アフリカへ。
まあローマ、ナポリ、フィレンツェの1950年ころの景色を堪能するだけで楽しいが、話としてはむちゃくちゃ。マニナは隙だらけで見つけてもらいたがっているみたいだし、なぜ失踪した二人があんな豪邸に住めるのか、妻は別れると言っているんだから別れてやり直せばいいのに。つかの間のラブアフェアを楽しんで妻の元に戻る男の定番映画。それになぜ南アフリカなの? アメリカ人目線で、イタリア人がデブで野卑な原住民みたいな描き方なのも失礼。
音楽はいい。クルト・ワイルのセプテンバーソングはいいな。それとラフマニノフの2番が淀川長治の『日曜洋画劇場』で流れていたのはこの映画のせいか? 主役のジョン・フォンティーンは大昔の東大教授の父親を持つ日本生まれ、両親が離婚して父は日本人メイドと再婚、姉のオリビア・デハビランドとは仲が悪く、『風とともに去りぬ』の役を取りあったり、4度も結婚したり、気球のライセンスを持っていたなんて、誰かこのの人の伝記を書いていないかと興味がわく。美人だけどかなり過剰な印象。ジョセフ・コットンは『第三の男』のほうがよかった。