1月31日 先祖になる

池谷薫さんの『先祖になる』というドキュメンタリーを京橋に見に行った。陸前高田に住む木樵のおじいさん77歳。家は津波で二階まで水がきて、消防団員だった長男をなくした。それでも避難所へ行かず、仮設にも入らず、ついには山の木を切って家の再建を果たしてしまう。その頑固爺ぶりに手を焼く奥さんの気持ちもよくわかる。死んだ長男の嫁をいたわる気持ちとそれにやっかむ妻との相克。そして近くに住む風来坊の後輩、彼は「直志さんが凄いのは当たり前のことをしているひとだからですよ」震災を取った映画の中でいままででベスト、と言い切れる。池谷さんと佐藤直志の幸福な出会い。「仮設には入らない。一年も仕事をしなかったら人間だめになる。もらいグセが付く」本当にそう思うなあ。仮設にいる人を悪く言うわけではない。仮設の人に仕事が見つからないことに忸怩たる思い。77でも働いていれば気分は20歳。