8月14日 岩﨑邸

きのうから長男もお盆休みで帰って来たので、夜を徹して話し、こちらは眠たいが朝から仕事。息子たちはゆっくり寝て、昼からは二人で引きこもって甲子園を見て、3時半になったら「岩﨑邸を見に行こうか」と来た。宮大工なのに見たことがないという。親子三人で外出なんて20年ぶり。なんだかうきうき。岩﨑邸は公開されてから大変な人だ。こういう貴族の暮しに憧れる人がおおいのらしい。私はこの家の主、岩崎久彌の伝記を書いてまだ本にはなっていないが、尊敬すべき人である。それにしても戦前の財閥はすごいものだな。いくら孫正義さんがお金持ちでもこんな家に住もうとは考えないだろう。人海戦術でなければ保持できない。庭師、運転手、掃除係、食事係、洗濯係、お運びさん、宴会の時は芸者が着替えた部屋もある。久彌自身の家庭は清潔で妻ひとりを守ったようだが、客の接待には芸者さんがきたのらしい。広大な芝生の庭を眺めながら氷宇治白玉で涼をとる。
憶い出した。この先の庭に西郷が立って、不忍池を見下ろし、アームストロング砲を上野の山の彰義隊に打ち込んだのであった。夕方には京都から乾曜さんが見えたので谷中あたりをぶらぶらした。若い人と話すと心が弾む。