7月20日 お上の事

鷗外記念館の映像資料として録画。団子坂上から見た感じよりは、中は良かった。しかし280坪のところにギリギリ建てているので庭も狭くなったような。地下が展示スペースだそうだ。鷗外の半生、女性観、こどもたちとの付き合い、好きな作品について話した。「最後の一句」のいちの「お上の事はまちがいがございますまいから」ということばが3・11以降、何度も耳にこだまする。これは難しい作品だ。ふとした事で良心が曇って間違いを犯し死罪を言い渡された大阪商人の父のために、いちらこどもたちは身代わりにしてください、と奉行所に申し出る。お白洲でいちが目を見開いて行った言葉。「お上の事に間違いはございますまいから」。この言葉の意味はなんでしょう、ってヒロシのときの共通一次に出たけど、むずかしいなあ。もちろんいちはお上を信じているわけではない、これは皮肉でもない、江戸と言う問答無用の時代に、商人の娘が武士に対して言ったぎりぎりの抵抗である。保安院にも首相にも文部省にも、お上の事に間違いはございますまいから、と目を見開いていってやりたい。