震災日録 11月16日 尊敬する農業者

山形県長井市の百姓、菅野芳秀さんより野菜や玉子が届く。彼言うに「東京のスーパーなんかで売っている野菜は紙みたいなもんだよ」。長井は9万人の人口の半分を占める都市部の生ゴミをすべてコンポストで肥料化して、農村部で堆肥として使い、有機農作物を育てている。NHKの取材で知り合って以来の友だち。「たまには体を休めに湯治に来てください。いい温泉紹介するから」。同じ日、京都綾部の田中ふきこさんからなし、柿、りんご、銀なんなどいただく。田中さんはご主人が農業をやりたいと帰農し、ご主人亡き後も独りで農園を守ってこられた。「豚の子宮に腕を肩までつっこんで赤ちゃんをなんど、取りあげたか」というすごい方。梅棹忠夫先生の妹さんである。東京でも12月にかけ梅棹忠夫展が開かれるという。いかなくちゃ。四手井綱英先生の本を書いたとき「いい本を出して下さいましたな」とおっしゃった声を忘れない。秘書の方の朗読で読んでくださったのだった。そこへ島根の百姓佐藤忠吉さんからも電話。「津波で亡くなられた方の気持ちは私も土石流で幼い次男を亡くしているから少しは分かる。うちも3度やられましたけん。じゃが今度のは町全体やられてなくなっとる。大変ですな。なくなられた方には気の毒だが、というかその方たちのためにも今回のことをチャンスに世の中をかえなきゃいけん。もすこししたら米を送ります」。三人の尊敬する農業者から連絡がきた。TPPなんてとんでもない、というかんじ。今日は中島岳志さんたちと日本橋の団琢磨暗殺現場へ行った。そしたら東京スカイラインとかいう川下りの舟が来たので乗ってしまう。川から見る東京は不思議な感じ。爽快。