原発20キロまで走ったとき、ガイガーカウンターがあれば、と切に思った。自分でもほしくなって探しているが、品薄、それに5万円以上するらしい。東大の院生の話では「あんなの材料費は5000円もしないで自分でつくれますよ」とのことだから、安く作って安く売ってほしいな。そうしてすべての保育園・幼稚園・学校に配布すべきだ。東京では新宿百人町での調査を毎日は発表していたがこれは地上18メートルでのこと。地上1メートルほどの生活圏での数値も知りたいし、幼児を持つ親は砂場や芝生の数値も知りたいのは当たり前。ホットスポットという言葉もうっかりつかえない。
「柏や我孫子もホットスポットなんですってねえ」「僕の家は柏です」絶句。
「小さなお子さんがいらっしゃると大変ねえ」も気を付けないと「自分ちは子どもがもう大きいと思って人ごとみたいに」ととられかねない。「はやく収束するといいですね」とつぶやくしかない。
若いころ、生きている実感が持てなくて、この公害や核がある地球がいつまで保つのかも予想がつかなくて、戦争を体験し、生き延びて以降、高度成長の中で結婚し、子どもも生まれて普通の市民生活をしている両親を羨んだことがあった。そのとき私は20代で、両親は50代。いま子どもたちが同じような目をしてわたしを見る。「お母さんがオレたちの運までみんな食っちゃってるんだよな」「そう、このヒト、運が強いからね」
若者たちの未来への閉塞感、申しわけない。東京駅のドーム、姿を現す。屋根は登米産、北上の熊谷産業が被災前に送ってあったスレートで葺かれている。これからドームのスカートの一部は津波を生き延びたスレートで葺かれることになる。