震災日録 5月9日 相撲を久しぶりに観に行く

朝、タクシーに乗った。運転手さんが「もう自分たちの収入は時給700円くらいで、生活保護を受けた方が収入ある。保険もタダだし、住宅もタダだし。原発で1時間1万円で作業員を募集したらすぐいっぱいいなったというじゃないですか? わたしだって行きたいですよ。もうこの年になったら、あと何年かすれば死んじゃうんだから」

母を連れて大相撲の技能審査会へ行く。その道々話すことが面白い。「NHKは毎回同じニュースで進歩がないから。朝7時の一回見れば充分よ」「オレオレ詐欺が来たらやっつけてやろうと待ち構えてるんだけどまだ来ない」「この前新聞の勧誘員が来てなにをお取りですか、というから、あんたの知ったこっちゃない、といったの。その前にはとってくれと土下座したの。で、土下座しなくちゃとってもらえないくらい内容のない新聞なの、と聞いたら、イヤ、いい新聞です、というじゃない。だから子どももいるんだろうに、もっと自分の仕事に誇りを持ちなさい、といったのよ」最後に、「最近の男はだらしないわね。いつからだらしなくなったか知ってる? 郷ひろみが二谷由利江と結婚するとき、記者会見で泣いたでしょ。あのときからよ」

技能審査会のあいだもいろいろ話す。「わたしの時は何たって双葉山、でも玉の海のほうが好きだったわ。透き通るような肌で。羽黒山というのもいたけど鶴岡じゃないね。鶴岡出身は出羽嶽文ちゃんだけ。あの人はよくうちにきたけど斎藤茂吉の弟分で、うちにくるとかもいの上に頭が出てたし、通りの角におそば屋があって天丼八つとか、親子丼六つとかぺろっと食べちゃうの。あとは前の木村庄之助くらいかな。鶴岡は。柏戸は本名は富樫と言って鶴岡に多いのよ。今日出ている上林というのも多い。おとうさんは魁皇が好きだったからきょう勝ってよかった」

被災地のこどもたちか、セーラー服の集団がいた。

白魚のようなる相撲、隠岐の海

栃乃洋、豊の島、黒海、荒海、田子の浦、三杉磯、春日波、お相撲さんの名前は海に関するものが多い。