震災日録 4月27日

4月27日 権上さんからの情報

岸田衿子さんがなくなった。昭和4年生まれ、母と同じ年。
ものすごくユニークな方。芸大で油絵を学んだのに詩人だった。1ヶ月前くらいにも電話をいただいて、「すぐ来て、ピアノを弾いてちょうだい」といわれたのに。
谷中の高台におうちがあったがいることは珍しくて、北軽井沢か冬は湯河原にいた。かなしい。子供たちも遊んでもらった。そのときの衿子さんのくりくりいたずらっぽい笑顔を忘れない。彼女は八ッ場ダムにずっと反対だった、

尊敬する友人、権上かおるさんからきた有用な情報を今日は列挙します。

谷根千工房の後を借りていただいた市民科学研究室のHP。ぜひ。(3月24日)
http://www.shiminkagaku.org/

■放射能対策(3月24日)

●服装
フードの襟に毛皮が付いているものは、汚染物質がつきやすいので、ふちの毛皮部分は外して着用する
洗濯物は当面、乾燥機か室内で乾燥させる

●水道水の131ヨウ素汚染対策
妊婦さんと乳幼児の飲料用を優先して考えることを原則とする
ペットボトルを買い占める対応は慎む
1)活性炭、炭(シンプルな活性炭の浄水器、水に炭を入れておくなど)に
水道水を接触させて回収は、非常に有効 *
2)貯め置き 冷蔵庫でも冷凍庫でも可 ヨウ素は気体のキセノンになる
ヨウ素の半減期は8日間だが1日程度の溜めおきでもかなり減衰する
冷蔵庫や冷凍庫であれば、もう少し期間を延ばせるので 有効
3)煮沸で揮発性のもの仮に吸っても、飲むよりまし で 有効
4)中空糸膜浄水器 あまり ヨウ素には有効でない

炭素(炭や活性炭)とヨウ素は非常になじみがいい。1)2)3)の組み合わせで対応を。
*活性炭や炭が入手困難な場合、割り箸をアルミホイルにつつんで焼いて炭をつくりペットボトルの水にいれれば少しは取れるかも しれない
ただ、今回公表されたもの以外にも、様々な放射性核種がいろいろ検出されていますので、それらを含めて正しく評価する必要はあ ると 思いますが、まず退治できるところのヨウ素を除きましょう。

●雨の後
地表面の粉じんは、舞い上がり粉じんなりやすい。放射性物質がついているかもしれないので対策として、マスクを着用しましょう。

■放射能対策(3月26日)

政府が基準値以内だから水道水は即座に影響を与えることはないという際には、参照している基準値は緊急時に使用するものであ り、WHOの 基準値と比べれば30倍緩い、米国の基準値と比べれば3000倍緩いものだということを、伝えるのが本当の意味で  の対等なコミュニケーションのような気がします。

○[Bq/kg]の単位での比較
■I-131
-米国:0.1Bq/kg
-WHO:10Bq/kg
-日本:300Bq/kg

■Cs-137
-米国:7.4Bq/L
-WHO:10Bq/L
-日本:200Bq/L

*出典
-米国の基準値:以下のURLから入手できる資料の13ページの表に掲載
http://water.epa.gov/lawsregs/rulesregs/sdwa/radionuclides/compliancehelp.cfm
-WHOの基準値:以下のURLから入手できる資料の203ページのTable9.3に掲載
http://www.who.int/water_sanitation_health/dwq/fulltext.pdf
-日本の基準値:以下のURLから入手できる資料の27ページの表3に掲載
http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/bousai200307.pdf

○[mSv/year]の単位での比較
-米国:0.04mSv/year
-WHO:0.01mSv/year
-日本:50mSv/year

*出典
-米国の基準値:以下のURLから入手できる資料の11ページの表に掲載
http://water.epa.gov/lawsregs/rulesregs/sdwa/radionuclides/compliancehelp.cfm
-WHOの基準値:以下のURLから入手できる資料の198ページに掲載
http://www.who.int/water_sanitation_health/dwq/fulltext.pdf
-日本の基準値:以下のURLから入手できる資料の119ページの付属資料12に掲載
http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/bousai200307.pdf

○許容する影響の度合い
-US:Some people who drink water containing beta and photon emitters in excess of the MCL over
many  years may have an increased risk of getting cancer.
-WHO:発がん確率の10E-4の上昇
-日本:核種による周辺住民等の被ばくを低減

*出典
-米国の基準値:以下のURLから入手できる方法
http://water.epa.gov/lawsregs/rulesregs/sdwa/radionuclides/basicinformation.cfm
-WHOの基準値:以下のURLから入手できる資料の198ページに掲載
http://www.who.int/water_sanitation_health/dwq/fulltext.pdf
-日本の基準値:以下のURLから入手できる資料の27ページに掲載
http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/bousai200307.pdf

○WHOと日本の基準の比較にあたっての留意事項
WHOの基準は、原発事故発生後一年以内は使用するなと要求している。原発事故発生後1年以内は、IAEAの1996やその他 のガイ ドライン値を使えとのこと。

for the first year immediately after an accident, generic action levels for foodstuffs apply as described
in the International Basic Safety Standards (IAEA, 1996) and other relevant WHO and IAEA  publications(WHO,  1988; IAEA, 1997, 1999).

なお、ここで引用されているIAEAの1996に掲載されている飲料水のガイドライン値は、以下のとおり。
■I-131
100Bq/kg
■Cs-137
1000Bq/kg
*出典
以下のURLから入手できる資料の289ページのTABLE V-I.
http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PubDetails.asp?pubId=5202

■放射能対策(3月28日) 子供たちへの放射能の影響を防ぐために

丹羽博美さんが書いた文章のあるサイトです。こどもたちへいかに災害を伝えるかが、非常に具体的に記述されています。
http://noharajp.net/openforum/article/28

* 増田講演(11/4/2)

* 吉井質問

* 1980東電パンフ・期待に応える原子力

* 水産物の放射性物質の検査結果についてが出ました。(4月3日)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/kakou/kensa/pdf/20110330_data_sheet.pdf

これによると銚子港で3月24日に水揚げされたカタクチイワシからRadioactiveCaesium(137-Cs) 3.0(Bq/kg)が
検出されました(基準値をオーバー).
カタクチイワシは回遊魚です.丁度,11月頃から5月頃までは,南下する親潮に乗って茨城県から千葉県沿岸を経て相模湾にやっ てきます.そして,食物連鎖の栄養段階(TL)が3なので,植物プランクトンー動物プラントンを経てカタクチイワシに移行したものか  直接海水から摂取したものと考えられます.早すぎるので後者ではないかと考えますが如何でしょうか.それにしても、保安院の海水 に出た放射線物質は拡散して薄められるとの見解は事実ではないと考えます.カタクチイワシは海洋食物連鎖のkey speciesで
す.いずれ、高次捕食者に移行することが予想されます.

■ NHKドキュメンタリー「原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~」(これすごく面白い、森)

原発は原爆を薄めるための「毒をもって毒を制す」原子力平和利用の話。
正力松太郎、読売Gの役割は聞いてはいましたが、映像で見せられると、ここまでかと思います。セリーグ(実質ジャイアンツ)が開催 日を遅らせるのに抵抗したこともわかる気がします。武谷三男氏も登場します。 配信サイト

■連絡(4月5日)
1)京大の今中哲二さんらが行った、飯舘村周辺での放射線計測のレポートがアップされました。

なぜ避難指示が出ないのかわかりません。
2)海洋汚染
拡散「最初は南北沿岸」仏が予測 仙台湾到達後、東西に
夕刊 読売新聞 4版1面
3)日本土壌肥料学会「情報:放射性核種(セシウム)の土壌-作物(特に水稲)系での動きに関する基礎的知見」
4)福島第1原発:東電、ベント着手遅れ 首相「おれが話す」
毎日新聞 2011年4月4日 2時33分(最終更新 4月4日 14時56分)
■情報(4月6日)
1はカット
2)上関原子力発電所(山口県)
ご存知の方も多いと思いますが、中部電力の予定原子力発電所で、4つの漁協のうち人口500人くらいの祝島の漁協が先祖から伝 わる海を売り渡すことはできないと反対の立場に立ち、長年建設できないでいました。
ところが、上野にパンダが運ばれた日に強制着工を開始し、今日現在(4/6)島民より多い人数を投入して、発破作業を行っている そうです。この反対運動の記録映画が東京では現在、新百合ヶ丘、16日から渋谷、あとで東中野で上映されます。
素晴らしい映画で、東京の映画館で終わると満場の拍手が起こるそうです。機会がありましたら是非ご覧ください。
東京電力もこの期に及んで、3月31日に福島第一7,8号炉の建築計画を県に提出し、県から突っぱねられているそうですが、電力 会社の体質は一向に変わらないようです。 映画のオフィシャルサイトです。
3)福島第1原発事故、昨年議員が同様な事故の可能性警告
2011年 3月 28日  16:52 JST
この吉井議員が本日質問に立ったそうです
衆議院TV
*「経済産業委員会」をクリックしてください。
4)東京都が4日付けで水の汲み置きのすすめを掲載

■4月12日
本日レベル7にあがり、いっそう不安感を持ったことと思います。しかも解決への道のりは全くと言っていいほど知らされません。

1)上記と関係あるのかどうかですが、

東大の原子力工学者(事故直後によくNHKに出ていらっしゃった関村氏ほか8人)が、福島原発の現状と今後の見通し?に
ついて、ウェブで見解を公開しました。なんと4月11日のアップです。なんでこんな遅く!専門家なんだからもう少し早い対応を!
と思うのは私だけではないでしょう。
http://sites.google.com/site/nuclear20110311/
以下は、増田善信さん(気象学者・広島の黒い雨の雨域を調査・原爆症裁判証人でもあります)の急いで
書いていただいた批判です。

「事故の経緯と今後の可能性について」という表題であり、「どのように備えるかを含め、とりまとめを試みたものです」というから、もっと 具体的な解決法が提案されるのかと思ったが、せいぜい以下のことが唯一の提案のようです。

・γ線空間線量率の把握のみならず、固体放射性物質からのα線、β線の検出と核種同定や中性子検出を行えるモニタリング箇所を 追加することを含めて、モニタリング体制を強化する

・仮に「ドライベント」や「水素爆発」がおこった場合には、モニタリング情報を公表、共有することによって、屋内退避等の措置をとる べきかについて、原子力安全委員会が定める基準等に基づき、速やかに判断できるよう適切な情報を得られるようにする

・モニタリングポイントを増やし、モニタリング情報を公表するというのは徒然ですが、将来ではなく今すぐやる必要がある。以下問題 点を列記すると

1,事故との関係で「燃料プール」が問題になっていたが、そのことがまったく触れられていない。

2,3号機はプルサーマルであることも触れられていない。

3,水漏れが続いているのはどこかに穴が空いているからで、それを塞ぐことが最優先されるべきだと思うがまったく触れられていな  い。一体どうしたら冷温安定化すると思っているのだろうか。

4,放射能の問題でいえば、原子炉の中の放射能の量は今までの運転履歴によって大まかに予測されるはずである。その数値さえ   だしていない。あるいは出すことを要求していない。もし水蒸気爆発などで放射能が出るとすると最大どれだけの放射能が出る    か、その総量を出して、最悪の場合を想定すべきだと思うが、一切なされていない。

5,終息するまでの時間はどのくらいを考えているのか。それによって、注水した水が敷地内に溢れる可能性があるが、そのことにも   まったく触れていない。

これが原子力の専門家集団の見解とは驚きです。

■4月17日

ようやく本日東電から6~9カ月の見通しが発表されましたが、シナリオ通り行けばいいのですが。

●東京電力「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」

http://www.tepco.co.jp/cc/press/11041702-j.html

1)添付PDFは、増田先生が気象庁のホームページからとって、等値線を描いたものです。最高値47.5マイクロシーベルト/時間の 地点は、100時間で4.75ミリシーベルト/時間ですから環境基準は25時間でオーバーするという強さです。すなわち、ここに1日い  ると環境基準をオーバーします。しかし、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の教授のがんの発生リスクは1シーベルト/年ですか  ら、まだ3年近くここに滞在したときにやっとそのリスクの値になるのです。気象庁は自動的に天気図の等圧線を描くプログラムを持っ ているのですから、等値線を描いた図を公開すればいいのにと、先生は思っておられます。

2)増田図をいただいた後に以下がありました。ほぼ傾向は同じと感じました。

放射線量分布 北西へ飛散裏付け 福島大が地図化/2011年04月14日木曜日河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110414t63010.htm

3)シイタケ出荷停止
池上先生(大妻女子大学名誉教授)のお話にも、野中先生(新潟大学農学部)の中にも、しいたけは放射性物質をなぜか蓄積しや すいのお話がありました。原木栽培は特に注意ですね。

福島県、地域設定に疑問 露地シイタケ出荷停止指示/4.15河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110414t61014.htm

露地シイタケ出荷停止 福島東部16市町村産/4.15河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/04/20110414t61013.htm
4)ポスト原発
今後、「原発をなくせば、エネルギー不足になる」に対応することが必要です。

*風力・太陽光エネが原発を逆転 福島事故で差は拡大へ

2011.4.16 共同通信配信で、「米シンクタンク‘ワールドウオッチ研究所’が、2010年の世界の発電容量は、風力や太陽光などの 再生可能エネルギーが原発を初めて逆転したとする世界の原子力産業に関する報告書を 原発は、安全規制が厳しくなったことや 建設費用の増加で1980年代後半から伸び悩み、2010年の発電容量は3億7500万キロワット。一方、再生可能エネルギーは地
球温暖化対策で注目されて急激に増加し、風力と太陽、バイオマス、小規模水力の合計は3億8100万キロワットになり、初めて原  発を上回った」といくつかの新聞社が報道しました。元の具体的データを探しましたが、行き着きませんでした。

■4月26日

1)新潟大学土壌学のHP

1960年代に行われた「放射性降下物の土壌ー植物系における汚染とその除染に関する研究」について、当時研究された先生   (83歳・存命のただお一人の方)の許可を得て、野中研究室のブログで随時公開されています。野中先生のコメントもていねいに説 明いただいています。(これは是非ご覧ください--森)
http://blog.goo.ne.jp/soil_niigata

2)校庭などの活動時間の指針を文科省が発表しましたが、放射線管理区域よりも高い濃度を許容するものと各方面から非難の声  が上がっています。以下、(電子)署名活動も瞬く間に3万筆以上が集まっているそうです。

【署名】子どもに「年20ミリシーベルト」を強要する日本政府の非人道的な決定に抗議し、撤回を要求する

http://blog.canpan.info/foejapan/daily/201104/23

3)東京の降下物中の放射性物質、過去50年とこの1カ月がほぼ等しいという結果です。

表から集計したところ、1957年から2010年までの核実験由来のセシウム137の東京都における降下物量の合計は、
7,043Bq/m2でした。

以下のサイトから、上記の集計で使用した表を入手しました。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/top.jsp

また、上記の原典からデータを取り出して集計していると思われる記事は以下にもありました。
以下の記事では、1957~2009の東京の合計で7,095Bq/m2と集計しています。

http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1428

2011年3月20日から4月23日までの35日間でみると、東京都新宿区においるセシウム137の降下物量の合計量は
6,901Bq/m2です。したがって、東京においては、過去50年間に降下したセシウム137の量と、福島原発事故以後から現在ま での35日間で降下したセシウム137の量がほぼ同じということになると考えられます。

個人的な情報提供は削除しましたが、これだけでも戦慄すべき情報が満載です。