震災日録 4月12日

今年は花見をする暇も、気分でもない。自転車を走らせる間、お林稲荷のさくら、千駄木の郷のさくら、そして安田邸の見事なしだれ桜に見ほれ、心慰められる。

たれこめて 原発のゆくえもわかぬまに 待ちしさくらはうつろいにけり

先週サトコが夜中に帰ってきたので「おそいわね」といったら「仰木家で私の誕生日やってくれたの」という。「あら、まだ早いじゃない?」「何いってんの? もうとっくにおわっているよ」と娘の誕生日すら忘れていた。

きょう、原発はレベル7になった。チェルノブイリとおなじ。出ている放射能は10分の1とか、この期におよんでまだいっているが、1ヶ月で10分の1なら、これから1年出続ければ、同じ以上出るだろう。ニュースも基準値の10倍100倍でても「基準値以上」としかいわなくなった。

中国整体の先生は「原発どうしてる?」が挨拶。100万人いた中国人の7割は帰国したって。ぼくもこわいなーという。「日本はいいけど、中国で地震あっても義援金送っちゃだめ。みんな政府の人のものになっちゃうから」「日本の地震は唐山地震の360倍の大きさで3万人? 唐山は20万人。唐山で同じ地震が起きたら300万人くらい死んじゃうのかな」。予想がつかない。国連機関で働いていた人に聞いたら「現地に千円とどけようと思ったら1万円寄付しないと」。日本も同じではないかしら。

9日の鎌倉の大江健三郎さんの講演は桜井さんたちが行って撮った。10日の日比谷でもは荒川さんがとって来た。2500人に増えた。高円寺にはサトコ。2万人くらいきたって。映像ドキュメント「宇沢弘文と語る」いいですよ。必見。

「東電の供給する電気を使っていた私たちも同罪だ」という女性に映画会であった。違うと思う。毒入り餃子を買って食べた人が、それを作って売った人と同罪だなんてことはありえない。東電は営利会社で、できるだけコストを下げ、できるだけ株主にもうけさせるため住民や議員や心ある学者の疑問にこたえず、老朽原発を点検もせず使ってきた。電力という商品を多く売るため、オール電化住宅を奨励し、風呂でもトイレでも何でも電気なしでは使えないような仕組みを作り、消費者にこたえるといって夏のピーク時にあわせて原発をふやして電力を製造した。「電力供給」という言葉はまやかしだ。これでは「お客さまの要望に応えて」になってしまう。「電力濫造」とでもいったらいい。
きのうの株、出来高1位は東電、2位システムトラブルのみずほ、3位三菱UFJ 、4位原発製造の日立、5位おなじく東芝、むべなるかな。