震災日録 4月8日

きのう夜中にかなり長く揺れた。東北はM7.4。また道路も寸断された様子。

インドは日本からの農作物を全面輸入禁止
韓国は放射能をおそれて浄水場にビニールシートをかけている。
アジア各地で日本に留学した人たちが支援の輪を広げてくれているいっぽう、日本政府や東電のまずい対応が不信をあおっている。原発のコストは安いというが、金でははかれないコストだ。

今日は落ち着いて仕事をしたいが、10倍に増えたメールが入るたび気になって仕事にならず。いわき市の地域紙仲間『日々の新聞』安竜(ありゅう)さんから電話。
「三陸と違って海際でない土地も広いので、うちは大丈夫でした。海のほうは大変な被害です。でも店もやっているし、生活もできています。ガソリンも普通に手に入ります。避難所には物資が過剰状態です。ただ欲しいものと集まるものが違って、お年寄りは賞味期限ギリギリの菓子パンをいくつももらっても、といっています。炊き出しと温かいおかずが喜ばれています。地震だけなら復興に入れるのですが、原発が不気味ですね。
これも風向きや天候次第ですが。でも34万人もいるのでみんな避難はもちろん無理。影響の大きい妊婦さんや乳幼児のいる方は心配です。放射能のことは考えないようにしよう、という風潮も高まって、「がんばろう、いわき」と掛け声をかけたりして、なんかいやな感じになってきてます。いわきからはなれた人への非難もある。
漁業者は打撃です。温泉は表向きは休業でも、原発協力業者さんは泊まって通っているようです。政府や東電も東京や福島市で会見をやっていますが、現場に来てやってくれといいたいです。とにかく情報が少なくて」ということだった。
今日も安竜さんは地域をとびまわっている。

いわきでは2010年11月にもプルサーマル発電による運転に対する反対集会が行われ、3月27日にも前知事佐藤栄佐久さんなどを招いてまさに「ふくしま原発40年--私たちの未来」が行われるところであった。(いまの知事佐藤雄平氏はプルサーマル推進派。なんせ福島・宮城は佐藤さんだらけです)。このイベントは中止。

私は以前、佐藤栄佐久前知事に文化政策について一回だけヒヤリングを受けたことがある。穏やかでえばらない印象の方だった。しかしその後、収賄容疑で逮捕され、知事を辞めた。収賄額は〇円で、原発に抵抗する知事を陥れるための「国家の陰謀」ではなかったかとする見方も強い。『週刊朝日』によれば、もともとは原発推進の立場だったが、チェルノブイリ事故の後に知事に就任、福島原発での事故隠しなどに多くの内部告発があり、それを知事が糺しても経産省はまったく反応なし。原発政策については県や市町村には何の発言権もなく情報も来ない。内部告発は保安院に対してもあったが保安院は何の調査もせず告発内容を東電に横流し。経産省大臣すら蚊帳の外におかれ、官僚と電力会社集団でしきっている、とのこと。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110330-00000301-sasahi-pol
http://eisaku-sato.jp/blg/
これを伝えた『週刊朝日』の編集長が今度は配置転換、一体どうなっているのか。

今日は福島について「フクシマ人」として書いてみました。丸森に行く時は新幹線を福島で降り、飯坂温泉や土湯温泉に寄ったりしていたのになあ。果物がとにかくおいしいところです。

夜、白山のジャズ喫茶『映画館』でスタンリー・クレーマー監督のアメリカ映画『渚にて』を見る会あり。いま見ると、怖くて震える。冷戦の中で1964年、第三次大戦が勃発、核による放射能汚染で北半球は壊滅状態、オーストリアのメルボルンにしか人間は生存していない。アメリカ軍の原子力潜水艦はグレゴリー・ペック演ずるタワーズ船長以下、メルボルンに到着、しかしシアトル辺から無線を受信、そのむちゃくちゃな打ち方から子どもが生存しているのではないか、と救出に向うが――。
終わっても声なし。ガソリンがないため交通は馬車と自転車になる。これいいかも。さいごに船長の恋人モイラが潜水艦を見送るシーンは松浦佐用姫そっくり。
たまたまコーヒーを飲みにきた韓国人留学生は『日本文学研究の大学院に受かったので私は日本に着いたばかりです。でも両親はいま日本に行くなんてと発狂しそうだった』とのこと。