アデアから中くらいの都市リムリックへ。「アンジェラの灰」の舞台なり。後で読みし所によれば、飲んだくれの父とリムリック生まれの母アンジェラ、こどもフランクはアメリカで食い詰めた両親に連れられ母の故郷リムリックへ戻る。しかし寒い北の町は貧しく、男たちはギネスのパイントに憂さを晴らし、弟妹は次々死んでゆく。なら産まなきゃいいのにと思うが、カソリックだし、他に楽しみもないからそうはいかない。便所も共用の臭い家で食べるものもなく、親戚には邪険にされ、朗読のアルバイト、弁当届けのアルバイト、でもひもじくて途中でイモをひとつ失敬、もうひとつ失敬すればイモが入っていたことはわからないはず、と弁当まるごと平らげて殴られる。悲惨極まる少年時代。のちにニューヨークの有名校で作文教師になった著者の自伝。
バスに乗って町をめぐる。ポテトマーケットがあった。大きなカテドラル。ジョン王の城。
モハーの断崖、風つよし。アラン島ゆきの船の出るドゥーランで食事。有名なパブでムール貝を頼んだら、なんとこれにもクリームがかけてある。何でもバターやクリーム、チーズで閉口。アラン島は観光地化しているそうだし、車を置いて船に乗らなければならずあきらめる。あらん編みのセーターを買う。アルウィンの洞窟を見る。バレン高原は白き石の積み重なり、このへん、詩人イエーツの空想のみなもとなり。
ゴールウェイの町、一方通行の見多くてホテル探せず、郊外の新しきホテルに泊まる。
セキュリティ、調度、従業員、申し分なし。小さなステーキ、タラのサラダ。ナカムラ氏、陽気なウェイトレスのススメでジェイムソンをのむ。先生、アップルサイダー、私とヤマモトさん、例によってギネス。