4月8日

ポプラ社の倉沢さんとデザイナーの矢萩さんが記憶の蔵に写真を探しにくる。とても寒い。谷根千の初期にわたしが撮った写真をこんどの文庫本の装幀に使い、なかに入れようという。あの頃、ニコンF2を持っていたが、フィルム代、現像代がもったいなく、ひとつの対象で一カットしか撮らなかった。でもまだ閑で牧歌的に町を歩いていた時代。愛情のあるよそ者には撮れないいい写真、とほめられ舞い上がる、今はこんな写真は撮れない。それに写っているほとんどのたてものや人がいない。