今89歳の母の聞書の冊子を作っている。「私の浅草、家族の千駄木」。幼稚園の上組で2・26事件を目撃、16歳で下町の大空襲を生き延び、疎開先で二度のコメ作りをし、歯科医となった母にはいろんな面でかなわない。30年、いろんな人のオーラルヒストリーを聞いてきたのに、灯台下暗し、身内の話は聞いていない。父の話は聞かないうちに他界した。
母の育った戦前の浅草の写真を入れたいな、と思い、台東区に問い合わせてみた。デジタルでお貸ししますというのはいいが、借りたい趣旨と申請書を書いて申し込み、それを審査して二週間で用意ができたら送るが、一度は窓口まで来てもらわなければならない、とのこと。8月中に仕上げたいので、間に合いっこない。
デザイナーの板谷さんがこんなのあるよと、ニューヨーク市立図書館のサイトを教えてくれた。そこにはキーワードさえ入れれば、パブリックドメインのタダで使える写真が出てくる。浅草も何枚かあり、一瞬のうちに使いたい写真がタダで使えることになった。このくらいのサービスしてほしい。
「東京人」連載中の証言を求めに吉祥寺まで行く。また一人素晴らしい男性に出会って嬉しかった。話し足りず、豪雨の中を飲みに行く。