11月30日

昨日夜遅く民宿ユーハイムに帰って、まだお風呂入れますでしょうか、とはさすがに聞けず、朝になってこのへんで一番近い温泉はというと民宿のお母さん、穴井キワさんがうちの実家は杖立温泉で、前はそこで民宿をやっていたから、入れてあげると車で連れて行ってくれた。
閉めてしまうのはもったいないような宿で、小さいながら温泉はいつでも入れる状態で、ありがたくいただいてからコタツでついついはなしを聞いてしまった。キワさんの人生は小説みたいで、お父さんが突然消え、お母さんが別のところへ再婚してしまうなど、「小さい頃は悲しいことが多かったのよ」という。
なんと戦前に結婚、旦那さんは12年、戦争に行っていて、その間子供を育てながら新日鉄に定年まで勤め、いまも運転はする、山には登る、御産は3度とも自分でしたとか。「だって私もとは産婆だもの」。道を小走りに行く、ほっそりかっこいいド迫力のキワさんを見習いたいとさいきん弱気な私は思ったのでした。
この日、高橋さんとチャンポンをたべ、豊礼の湯まで送ってもらう。オパール色の広い露天風呂独り占めだ、向こうには禿げ山が見える。荒々しい風景。だからハゲの湯というのかな。ちがいます、峐湯です、と息子さん。高橋さんが小国のPRに全国回るときも、会場を見回して差し障りがあるときはこの名を出さない、杖立とか岳の湯とかある町です、というのだと聞いて大笑いした。とにかくすんばらしいの一言。よるは下の「森のふくろう」で温泉蒸しでビール。