12月15日

昼過ぎより「まちや紳士録」の東京初の試写が谷根千記憶の蔵で。若い伊藤監督が妻とともに八女に住み込んで撮った伝統的建造物群保存地区の一年。松川八洲雄「ムカシがきた」「飛鳥を造る」など単立の文化財の修復や再建を扱った映画はあったが町並みと人々の暮らしに光を当てたのはこれが初めてか。古い町を新鮮と感ずる若いIターン者。原発避難で新しい仕事を作ろうという家族。建物を直す職人さんたち。雨が振れば庭があふれ雨漏りがし、湿ればナメクジが出る驚き。でも若い彼らは、何代も続く町人、町医者のような建築家や元公務員のような人々に見守られ町に定着して行く。

衝撃の話題作や大傑作とはいいがたいが、見ていて気持ちがよくなり、少し自分の暮らしを考え直す。そういう映画だ。八女に行きたくなるし秋の人形芝居も見たくなった。