6月30日

朝からとっても勉強になる『記録映画の保存と活用を考える』国立近代美術館フィルムセンターのとちぎあきらさんが大分ゆかりのフィルムをもってきてくれた。『美の哀史』は戦後はやくに撮られた大分の磨崖仏。『長大コンクリートアーチ橋』は制作者・鹿島建設にも原盤が無いという。『湯の町と火の山へ』(川喜田壮太郎監督)は由布院や阿蘇の風景、愛妻が映っている。1946年というが長い羽織に派手な模様、耳隠しという大正デモクラシー的なおしゃれ。川喜田半泥子のむすこのいってみれば金持ちの贅沢な旅のフィルム。それぞれに面白い。
それにしてもフィルムアーカイブに携わる国家公務員は日本には6人しかいないそうな。韓国には100人、アメリカに1000人、ロシアには6000人いるという。これは山崎に聞いた話。東京オリンピックなんかするよりこっちにお金を回せと言いたくなる。
『こまどり姉妹がやってきた』(片岡英子監督)洋物の方が好きだった子ども時代、厚化粧の着物の演歌、こまどり姉妹より、ザピーナツの方が好きだったなあ。こまどり姉妹は北海道の炭坑の鉱夫を父にもち、貧困から好きでもない歌の門付、ラッキーなデビュー、やっかみ、父母の死、恋愛、病気、一難去ってまた一難。これは再現芸術と化した貧乏伝説かとさえ思ってしまう。お二人が仲が良いのはよくわかるが、「歌が嫌いだけど貧乏だったから」というこまどり姉妹より、『歌が大好き、きれいなおべべも着たかった」から芸者になったという小梅姐さんのほうが好きだ。
『日本国憲法』(ジャン・ユンカーマン監督)
この作品の概略を述べるのは難しい。「憲法9条は2000万の犠牲者をだしたアジアの国にとって謝罪と受け止められている」というフレーズが頭に残った。日本軍の空爆や地上戦によって死んだ人々もいれば、戦場となって巻き込まれた人々もいる。日本人にとっても息子や夫を戦場に連れ去られないという保証なのに。
『立候補』(藤岡利充)これが今回のベストではないがショック。泡沫候補という日本語のなんともいえないおかしなぴったり感。大阪府知事選に出た4人の泡沫候補を追いかける。編集が見事というかフレッシュ、いやいやあざとい。爆笑しながら、たいして政策も無いじゃないか、とは思いつつ、自分は有権者としてマック赤坂以上のことをしているか?と自問自答せざるを得ない。最終日の阿部首相の街頭演説にさざめく日の丸、マックへの帰れコール、日本は恐ろしいことになっている感じ、それに立ち向かうマックに一票! 橋下徹の人格の冷たさとマキャベリズムもよく透けてみえる。
『タケヤネの里』(青原さとし)日本人の暮らしに深く根を下ろしたタケ。その文化をオーソドックスな手法でこれでもかと描ききる。音もすばらしい。でも11本の果てに2時間はちょっとこちらも電池切れ。
打ち上げは由布院料理研究会の板前さんたちのプレゼント、大変おいしゅうございました。
ことしもいってよかったなー。