5月25日

朝、高野博さんの案内で、初めて陸から女川原発を見る。まえ金華山ゆきの船の中からとおくに望んだ。そのくらい集落からは外れた山陰にある。

午後、荒浜フォーラムに出席、震災当日、宮城県警発表で荒浜で200人の遺体発見とのニュースに驚いたものだが、あれは誤報だったようだ。それにしても仙台市は、山の方は山形市と境界を接し、荒浜には海がある。政令指定都市だけど自然もゆたか。ビル街から15分も走れば海水浴ができたのだ。ここはNHKのドキュメンタリー『イナサ』『イグネ』の舞台。イグネという屋敷林に囲まれた昔ながらの豊かな暮らし、イナサと呼ばれる夏の風に呼応した漁師たちの暮らしがあった。津波はそれを根こそぎにした。松林はすこしばかりのこり、伊達政宗の土木事業貞山堀が海と並行に走る。これは海上が時化のさいにも安全に物資を運ぶためのものであった。

仙台市はここを災害危険地域に指定して、再建築不可としているが、ここに戻りたいという住民二十数世帯が黄色いハンカチをはためかせて、残る意志を示している。