3月20日

きょうは岩波映画で数々の名作を作った時枝俊江さんをしのぶ会。「絵図にしのぶ江戸の暮らし」「文京ゆかりの文人たち」「坂ーー暮らしの中の風景」など谷根千でも何度も上映して来た。時枝さんは1929年生まれ、三井鉱山につとめる父の元に生まれた。時枝文法で有名な時枝誠記は遠縁だそうな。東京女子大をでてはじめスクリプターとなり、やがて1951年、草創期の岩波映画にうつって文革の中国を扱った「夜あけの国」などを作る。個人的なことは一切語らず、一人暮らしで住んだマンションを処分して「国境なき医師団」や「由布院文化記録映画祭」に寄付するよう言い残されたと言う。映画祭で映画の合間、おかっぱ頭の時枝さんが、暗がりの石段に腰を下ろして煙草をすっているのをお見かけしたが、なんともかっこよかった。私は監督の前で「絵図に見る江戸の暮らし」を解説して冷や汗をかいたこともある。時枝さん、私たちの町をこんなにちゃんと記録してくださってありがとうございました。