12月9日 鷗外記念館で講演

男性の寿命が女より短いのは、生物学的なことだけではなく男は社会で仕事をしてストレスをもって過労だからだと思う。私も選挙演説をしてぶっ倒れ、あんなことをしているから町長や議員は早く亡くなる人が多いのだ、とおもった。会議とか議会とかいう所は緊張を強いられて息がつまり、気がめぐらない。健康のためには選挙は高みの見物が一番かも。
きょうは鷗外記念館で『鷗外の坂』について講演。デザインされた建物であることには代わりはないが、狭い敷地に大きなものが建ったため庭なども手狭なかんじになり、まえの谷口吉郎のバルコニーのひろびろした居心地のよさはなくなってしまった。それとカフェの裸電球みたいな目をさす証明はどうにかならないものだろうか。団子坂側は裏口みたいだし。
この前訪れたフランクフルトのゲーテ記念館に似ている。
講演は人前で話して疲れるがいい出会いもある。きょうは森家の方が見えた。鷗外記念館という名前の場所でご遺族を前に話すのは緊張する。既にお孫さんからひ孫さんの代になっているが、寛容なさっぱりした方で緊張がほどけた。中学のときの憧れの英語の正岡先生もきてくださった。ほかのお年を召した先生たちもみなオクスフォードをでたり、論文をたくさん書いたりして大変な先生方だったが、正岡先生が着任されたとき、なんともさわやかで気品があって、フリージアの香りが吹き抜けるようだった。日本に滞在していたケイト・ミレットに英語を教わった話なんか、どきどきして聞いたものだ。