朝、御宿海岸へ。駅に近い構想リゾートマンションには退職した大学教授なども多数お住まいとか。駅から歩いて来られるし、食べるところもあるし、本当はこの方がいいのだが。低い階は津波が怖い。県道は味気ないし、波乗り道路脇はサーファー向けの観光地、日在あたりの裏道はいかにも昔の別荘地らしく、生け垣に囲まれて風情がある。そんな一角に森鴎外の別荘鴎荘の後を見つけたのだった。
御宿は学生時代にきてなんと俗っぽいところだろうという印象。すべて『月の砂漠』一本で南国ムードを演出している。しかしこのところ平塚らいてうや伊藤野枝が御宿を愛して滞在したことを知ったから(前から知っていたのにあまり心に残らなかった)、なんだか御宿が好きになっている。去年きた愛想のいい海の家、潮騒にわらじを脱ぎ、パラソルを借り、子どもたちを遊ばせ、正しい夏が始まる。今日の昼はたんたんめん、よるは魚屋さんに刺身を作ってもらってご飯も炊いて家でのんびり。頼んでいた丸森からの引き上げ本が宅配便で届く。陣内秀信さんたちのサルディニアの本を読む。蝉が鳴き、ひぐらしも鳴く。