7月23日 政府事故調報告

朝から忙しく、亜紀書房の足立恵美ちゃんは中島岳志さんとの共著のゲラを持って来て、それに入れる写真や地図を探して行ったし、4時半には筑摩の金井さんが『千駄木の漱石』の初校ゲラをとりにきて、おなじく図版や写真の相談をして行った。同じ本郷あたりは頭がごちゃごちゃになった。それなのに4時に共同通信の社会部から電話があって政府事故調の報告に付いてコメントを求めたいと言う。私は青島都知事の世界博中止いらい、口頭のコメントというものがいかにゆがめられ、恣意的に使われるか呆れたのでずっと断っている。しかし原発事故について何か発言できる機会を逃すのは犯罪的だと思い、「とても全部に目を通す時間はないけれどこの間の政府の対応も含めて考えていることを言えばいいですか?」と聞いたところ、それでいいというので引受けることにした。今回のN記者は頼むときこそブンやさんらしくちょっと強引でもあったが、直した文を出先まで電話をかけて確認したり、夜中に私が送った質問についても丁寧に応えてくれたし、ちゃんとした人だった。でもこんな状況のなかで引受けたため、私のコメントが的をえたものであったかは疑問である。ここで補足すると、概要などを読む限り、もちろん東電の事故調よりはましだが、国会の事故調よりは後退しているという感じ。スピーディの発表のおくれの指摘など既に言われている事を端切悪く述べているだけ。放射性物質で現場に近づけないというならそのぶん、もたれあい、かばいあいのたるい保安院・東電関係とか、不安がなきかの如き原子力ムラの油断とか、もっと構造的な事を腑分けして、これからの方向性を出してほしかったと思う。莫大なお金使ってやっているのだから。委員の選任、委員の専門性、中での論議、官僚の誘導や操作がなかったかなど、非公開だから全然わからない。政府の審議会や懇談会はたいてい官僚が作文し落としどころを作っていて委員は追認するのが普通である。それとどういう違うプロセスで行われたのか、もちろんメンバーを見る限り行われたのだと思うが、知りたい所である。さっきからPDFを読んでいるが、ちっともすすまん。なんせ数百ページもあるのだ。官庁のホームページとは文書の余りの長さと日本語とは思えない官僚用語にうんざりして途中で読むのをやめるのを意図しているとしか思えない。中学生でも飲み込める概要版を。そして政府はみんなが恐怖におののいている4号機使用済み燃料プールについて刻々の実態を広報すべきであろう。