震災日録 1月13日 あくまで敵を間違えないように!

1954年に杉並婦人団体協議会の会合があった。奥むめお参議院義員の講演が終わる頃、1人の女性が立ち上がった。和田堀の鮮魚商菅原トミ子。「第五福竜丸のことでマグロに放射能が含まれているというので、魚が売れなくて困っています」と彼女は言った。そのあと「これは風評被害なので魚を買ってください」とは彼女は言わなかった。「私たち杉並魚商組合では原水爆実験禁止の署名に取り組んでいます。1人でも多くの方に署名していただきたいんです」これは『原水禁署名運動の誕生』(丸浜江里子著、凱風社)という本に書いてあるそうだ。これから読むつもり。トミ子さんは敵を間違えていない。
福島の人から「東京のための電力なのに」「私たちは東京のためにひどい目にあった」という発言を何度か聞いた。気持ちはワカル。でもそういわれると福島と東京の住民は連帯できなくなる。正しく「東京電力のための電気」といいましょうよ。地方にお話に行くと感ずることだが、東京の住民はみんな六本木ヒルズに住んで、毎日新宿で朝まで遊んでいるかのように思っている人もいる。谷根千に来てみてよ。けっこう狭いアパートでしょぼい暮らししてるから。敵を間違えないように。そうえなくても向うは分断を図ろうと思っているのだから。