震災日録 8月27日 丸森の問題

きのう見た丸森斎理屋敷も国の登録文化財だが、かなりいたんでいた。佐藤館長がしっかり直しますよ、と頬笑んでいたので、丸森は山間部でそれほど被害がないし、とほっとしたら町役場の旧知の加藤あけみさんから、「丸森も地震でめちゃくちゃになった道路工事、放射能の除染などに膨大な予算がかかり、大変です」という趣旨のメールがきた。行政も個人ももう負担の限界だ。かといって貧者の一灯ですむわけがなく、大企業に一棟ずつボンと寄付してもらって、「このたてものは東日本大震災で被災しましたがサントリー(たとえば)の寄付により修復できました」とか、プレートをつけたらどうかしら。

斎理屋敷の前に新しい直売場があって「買っていってね」といわれたので、どっさり買って重い思いをしてかえったら娘に叱られた。「ホットスポットの農作物の安全性を確かめず、そこでディスカッションもしないで買ってくるのはおかしい」というのである。たしかに丸森の人はのんびりしている。役場の検査では「人体に影響ない」程度しかセシウムなども検出されてはいない。そうでなくても放射線量が高くて農作物が売れなくてがっかりしている町の人に議論などする気になれなかった。私は50過ぎているし1回のことだしいいか、と5年住んだ町に義理立てしたのである。しかし娘は「内部被曝は外部被曝よりはるかに危険。国の許容基準は国際的に見ても高すぎ、丸森町民の健康を考えて土壌汚染についてもっと話し合うべきだった。そして農産物被害については東電に対して農業者と一緒にたたかうべきだ」とゆずらない。結局、ガスパッチョ、サンラータンスープ、野菜カレーなどはみんな私のおなかにおさまりそう。これ難しい問題だなあ。

放射能は目に見えない。こんなにおいしいのに。