震災日録 7月26日

「おたがいさま」という本をポプラ社から出しました。宣伝させてください。この10年くらいに書いた提言型のエッセイを集めました。町で楽しく暮らすためのアイテム、銭湯、居酒屋、子育て、介護、折々に感じたこと、時々怒ったこと、千駄木在住の倉沢紀久子さんが編集してくれました。タイトルは「おたがいさま」。これは去年のうちから決まっていた。こどものころから毎日きかされていたのは「おたがいさま」と「もったいない」。でも後者はノーベル平和賞受賞者マータイさんが自分の名前の発音にも似ていると広めてくれたから、私は「おたがいさま」をはやらせたい。そしたら3・11がおこり、今出すにはタイムリーすぎる題だな、とおもいましたが。意外に「きずな」「たすけあい」「がんばれ」「つながる」などは多用されたが「おたがいさま」は聞かれなかった。きのう水道橋のエレベーターでの会話。「押すなよ」と50代くらいの男性。「俺も押されてんだよ。おたがいさまなんだから、そうおこらないでよ」と70代くらいの男性。周りにいた女性陣、にこにこ。この前は人数オーバーで降りた若い女性におじいさんが「ごめんね、ごめんね、次のに乗ってね」と声をかけ、みんなにこにこ。死んだふりして押し合うよりは声をかけるとそこに「おたがいさま」の共同体が生まれる。そう、おもいませんか? 往来堂書店はじめ地域の書店で、絶賛されずに発売中。1400円。