6月22日-23日 小諸へ

島崎藤村や木村熊二のことでずいぶん昔たずねた中棚荘で藤村文学賞の選考。これは一般市民、高校生、中学生などのエッセイを対象とするもの。高田宏さんはじめ選考委員も気の会う人ばかりで楽しみである。選考以外でも今回の地震や原発事故についていろいろ教えられる会話があった。「災害は人間の値打ちのリトマス試験紙」という高田さんの言葉がわすれられない。伊勢湾台風から取材をしてこられた高田さんは遺体から金歯を抜き取るような人もいれば、新妻を流れている家の屋根に押し上げ「お腹の子をよろしく」といって力つきた夫もいた、という話をされた。まるで映画『タイタニック』のようなはなしだ。伊勢湾台風のあと、高田さんはあまりに凄絶な現場を見、泥のなかを漕ぎ回ったせいか体調を崩したという。またチェルノブイリの事故の後、3日で野間宏、針生一郎と三人で反核声明を出したという。そんなことがあったとは知らなかった。