震災日録 4月30日 お出かけ着

前に、喪服がほしいと言ってきた被災地の人のことを書いたが、「お出かけ着がほしい」「お洒落着がほしい」と言っている人もいるという。着のみ着のままで避難所ではトレーナーやジャージーを着ていても車で町にいくときもある。お葬式も入学式もある。お古でよかったらお洒落着を送りたい、という人はけっこういるので(だってお洒落着の新品を買うと何万もするんだから)そのマッチングも誰かやれないかなあ。
避難所に送るのではなく、石巻に小さいお店を出したらどうかしら。古着でうんと安くお洒落着を売ったら。私はタイの奥地へときどき古着を持っていくが集落の人にただでは提供しない。そうすると施しとか慈善になってしまう。うんと安く売る。そうするとタイの人がお客さまで私は買ってもらった人になる。それでイーブン。

被災地でお花屋さんをはじめた人のことを読んだ。もともとはじめる予定だった。こんな時に始めていいのかしらって、とまどいながらはじめたら地域のひとがみんな喜んだ。毎日白いリボンを結んだり、棺をお花でうめたり、悲しかった。でも最近入学式とか、誕生日とか華やかな色のお花を渡せるようになって嬉しい、と。

「真の危険」に付いて語るのは難しい。いま野菜が売れない、売りたいと思っている人に、田植えをしなくちゃと思っている人に、ここの幼稚園に通い続けたいと思っている人に、海に舟を出したいと思っている人に、「放射能の値についてどう思いますか」というのはとても難しい。
いっぽう「このままでは夏のピーク時の需要に応えられない可能性も出ている」という東電吹聴やのメディアに乗って「電気がなくちゃ暮らせない」「夏にクーラーがないなんて耐えられない」「ドイツやイタリアはフランスの原発電力を買っているだけ」という論調も高まっている。
いま原発は55のうち、15は止まっている。すくなくともずっと止まっていてもらいましょう。